Sedat Erginコラム:なぜロシアは、シリア問題でトルコに協力するのか
2018年01月31日付 Hurriyet 紙

トルコがアフリーンで始めた「オリーブの枝作戦」で得た最も重要な結果の一つは、ロシアとの関係がより親密になったことであり、これはお互いの協力に大きな加速をもたらした。

ロシアは、アフリーン軍事作戦でなぜトルコに領空を開いたのか?シリアでトルコを援助する姿勢をとることにはどんな目的があるのか?
この質問の答えを探すとき、以下のような予想と観察をすることができる。

1)ロシアの国益に見合うから
ロシアのこの動きは、最近の対トルコ関係で優勢な一般的な方向性と一致している。ここで注目されるのは、ロシアのトルコにおける経済的、政治的、そして地位的スケールでの大きな利益である。アフリーンでトルコを支持することで、自国の利益を得ているのだ。天秤の片方にはトルコの利益を、もう一方にはシリアのクルド人を置くと、前者の方が重くなるのは明らかである。こうした態度をとることで、二国関係の一般的な均衡の中で、アンカラに対する手中のカードと交渉ポジションをより強くさせることも計算しているかもしれない。また、ここでの態度が、トルコの世論におけるロシアのイメージに良い影響を与えるだろうことは議論の余地がなないだろう。

2)司令塔であることを示している
ロシアは、2015年から現在まで、シリアの内戦に関わっている。戦場にいる兵士の存在をもって、反体制派勢力に対しバッシャール・アサド政権を擁護している。トルコに向かって踏み出したこの一歩は、シリアで政権をより強くする主要戦略をサポートするものだ。ロシアは、シリアにおける最も有力な司令塔としての自らの地位を再度固めている。このようにして、シリアのあらゆる方策の最終分析がモスクワでも行われていることを示しつつ、中東に対するロシアの影響力を高める政策基盤を築いている。これもロシアの指導者ウラディミル・プーチンの、ロシアを再び強力なグローバルプレーヤーととするという目的をサポートするだろう。

3)トルコの重みをとりこみたい
ロシアは、シリア均衡の今後のプロセスにおいて、地域のもう一つの重要なアクターであるトルコと緊密に連携するよう計算している。シリアの将来を形づくるこの時代に、ソチで行われたシリア国民対話会議のようにイニシアティブを発揮し、自ら望む方向での解決を主張するときに、トルコと対話・協力関係の中にいることは、モスクワの机上の手をより強くするものとなる。

4)トルコをアメリカから遠ざけている
ロシアのこの動きは間違いなく、アメリカに対する政策と無関係とは考えられない。トルコとアメリカの間で意見の不一致がより深刻になり、これによりNATO内で深刻な亀裂が生じることは、ロシアの視点からするとまったく悲観的な状況ではない。むしろ、この動きをもって、アメリカが反対すると分かっている軍事作成の開始に貢献し、アンカラとワシントンがお互いに、以前よりも遠ざかる方向へ道を開いた。モスクワの視点によると、西洋から遠ざかったトルコは、よりロシアに近くいる必要性を感じるだろう。

5)アメリカのクルド計画を抑えている
ロシアはまた同時に、アメリカがクルド人を利用して北シリアに根を張り、ここから直接自らの指示で動き、国家を形成できるだけの人口を持つ地域を形成することを妨げようとしている。

これにより、クルド人に対しても、シリアでアメリカと運命を一つにすることには高い代償を伴うことを示している。
また、アフリーン危機でトルコを前に、アメリカから待っていた援助がなかったというシナリオが、シリアのクルド人たちとワシントンとの間に問題を起こす可能性がある。これもまた、ロシアの政治的な目的をサポートする二次的結果である。

6)アンカラとダマスカスの間を取り持とうとしている
トルコのPYD(クルド民主統一党)に対する軍事作戦は、ビナリ・ユルドゥルム首相が述べたように、ダマスカスでバッシャール・アサド政権と間接的に接触する結果をもたらした。戦場に両陣営の兵士がいる限りは、少なくとも何か事故が起きた時に対話の道が開かれていることが必要だ。モスクワが、この必要性を通じて、アンカラとダマスカスの政権間の氷を解けさせることを望んでいると予測することができる。ロシアは、アンカラとダマスカスの間の対話と、関係を正常化させるための懸け橋の役割を引き受け、アサド政権をより強固なものにすることを目標としているかもしれない。

7)イドリブで政権の手をより楽にしている
自由シリア軍がシリア北部のアフリーンでPYDに対峙しこれに注力したことで、間接的な結果がもう一つ生まれた。それは、反体制派の手にあるイドリブ地方に対する計画において、ダマスカスの体制側を一定度楽にするだろうということだ。国際社会の注目がトルコのアフリーン攻撃に向けられたため、イドリブ地方の反体制派から占拠しつつある戦線への進撃において、アサド政権が感じる国際社会からの圧力はより弱いものとなるだろう。

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( 翻訳者:内山千尋 )
( 記事ID:44281 )