南キプロスの海底資源探査船、エーゲ海に続き地中海で緊張高める
2018年02月11日付 Hurriyet 紙


キプロス共和国のギリシャ側運営政府(南キプロス)の主導により、アンタルヤ公海周辺で一ヶ月にわたり試掘活動を実施し、中規模の天然ガス床に到達したイタリアENI社所有の探査船 Saimpem 12000号が、新たな試掘活動のため北キプロスのガズィマウサ公海地域へ進行した。これに対して北キプロスは強固な反対姿勢を示しており、トルコとの共同探査のため同じ地域でこれに対応する歩みを進めることを発表した。一方でギリシャ側メディアは、探査船がトルコの戦艦に妨害されたと主張している。

トルコと北キプロスからの警告にも関わらず、東地中海を13区画に分割したうえ、グローバル企業に貸与して炭化水素資源の探査を進めるキプロスのギリシャ運営政権は、中東地域に新たな危機を引き起こそうとしている。ギリシャ側から直接、あるいは共同事業として6区画を借り上げたイタリアENI社が、先週、キプロス島西部、別の表現をすればアンタルヤ公海上で、ギリシャ側がカリプソと名付けた第6区画で探査試験を実施したのである。探査活動は1ヶ月続き、同イタリア企業は中深度で1700~2300億平方メートルもの高品質天然ガス床に到達した。ENI社が探査した地域は、一部トルコ側も権利を主張しているアンタルヤ公海にも重なっている。

■「探査船をトルコ戦艦が妨害」

アンタルヤ公海での探査を終了したイタリアの探査船は、前日は、ギリシャ側から借り受けたキプロス島東部の北キプロスのガズィマウサ公海に位置する別の区画へ進んだ。ギリシャ側の主張によれば、イタリア船はギリシャ側がスピアと名付けたこの第3区画で新たに探査を試みたが、昨日トルコの戦艦の妨害に遭ったという。探査船は北キプロスの公海に入る前に停止し、イタリア本部から新たな指示があるまで待機する判断をとった

■トルコとNavtex(航行警報テレックス)が競争

ギリシャ政権筋の情報ソースによれば、トルコは航行警報テレックス(Navtex)と呼ばれる、同地域の海中や上空の通過に対する警告メッセージを通して、同地域での軍事演習が2月18日に開始されることを通達した。このトルコのNavtex FA 78-0198号警報はイタリア企業が同地域で探査を開始する日程と重なっている。ギリシャ運営政権は、Navtex NR 074/18号でこの警告に応じ、トルコからの警告メッセージは違法で無効であると主張。これに対しトルコはさらに0202/18号の新規Navtex警告を発信して、ラルナカ市本部から発された「キプロス」という文言が使用されたNevtex NR 074/718号は、1960年に設立された本来のキプロス共和国を意味するものではないと対抗した。

■北キプロス:「あなた方は、無理やり、危機を作り出そうとしている」

ギリシャ側の一方的な進行に北キプロス政府は強い抵抗を示している。新任の北キプロス大統領補佐兼外務大臣のクドゥレト・オゼルサイ大臣は、外務省の名で文書発表を行い、ギリシャ側はこの地域の緊張を意図的、かつ執拗にエスカレートさせていると批難した。またオゼルサイ外務大臣は、北キプロス政府はトルコとともに、かつてはギリシャ側が分割した地域も包括する形でキプロス島周辺を区画化し、さらに同地域の探査権をトルコ石油合資会社(TPOA)へ供与したと強調し、次のように警告した。
「北キプロス政府として、トルコ共和国とともに対抗の歩みを踏み出すことを辞さない。過去に署名したはずの国際協定や、取り交わされたライセンス供与の内容にも留意して今後、具体的な一歩を進める決断をあらためて強調したいと考えている。」

■トルコの探査船も準備中

トルコは、東地中海におけるギリシャ側の一方的な行動を受けて、まず公海で3D地震探査が可能な「バルバドス・ハイレッティン・パシャ号」を購入。その後12月には深海探査が可能な韓国製の「Deep Sea Metro II号」と名付けられた探査船を購入した。このトルコの探査船は、技術的な調整とトルコ語名称を与えられた後に活動を開始する予定である。エネルギー省のベラト・アルバウラク大臣からもこの船の初任地は東地中海であると発表された。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:44351 )