米土関係修復へ、最初の課題はマンビジュ
2018年02月16日付 Hurriyet 紙

アメリカ・トルコ間で2日間続いた危機的会談の後に壊滅状態となった二国間関係が、正常化に向けて動き出した。シリアにおけるYPG支援やFETÖといった問題を解決するための仕組みが確立される予定だ。まずは、マンビジュ(トルコ語名メンビチ)におけるYPGテロリストらのユーフラテス川以東への撤退が課題となる。チャヴシュオール外相とレックス・ティラーソン米国務長官は、共同記者会見前にアンカラ宮殿を訪問した。チャヴシュオール外相は、アンカラ宮殿の壁にかけられたアタテュルクの写真について、ティラーソン国務長官にその写真の解説をした。

アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は昨晩アンカラに到着した後、最初にタイイプ・エルドアン大統領とメヴリュト・チャヴシュオール外相とともに会談を行った。ティラーソン国務長官は、両NATORI同盟国の関係性を再度軌道に乗せること、そしてトルコとアメリカがシリアつながりで再び協力関係を築くための一連の提案を行った。トルコがメンビチにおけるYPG構成員をユーフラテス川以東へ撤退させること、そしてそこでアメリカとトルコの同盟軍を展開させることなどを含む一連の提案は、昨日アンカラ宮殿における二カ国外相会談において議論された。両NATO同盟国は、重要な決定を下した。二カ国の代表は、YPGやFETÖ、S-400といった問題を解決するための仕組みを確立する予定だ。

■重要段階にいる

チャヴシュオール外相はティラーソン国務長官と昨日行った記者会見において、アメリカとの信頼関係回復のため、まずはメンビチにおいてアメリカが実行する具体的なステップを見せてほしいと述べた。チャヴシュオール外相は、以下のように続けた。

「われわれは今、このように重要段階にいる。この関係性を再び軌道に乗せることができるか、あるいはより悪化することになるかの分岐点だ。昨晩から明示しているわれわれの意思により、根本的に両国の関係性を再び正常化させる件について相互に合意に至った。達成に向けて行わなければならないステップがある。互いに期待を寄せている。われわれが行うステップについては、YPGをユーフラテス川以東に撤退させる件を確定することが必要だ。その適用についても共に確認する必要がある。メンビチは95%がアラブ人の都市であり、YPG構成員らがこの地を管理すること、あるいはこの地で安全保障を確立することは、決してこの土地が安定に至らないことを意味する。YPGがこの土地から撤退し、安全が確立された後に、アメリカとはこの件について共にステップを進める事が可能だ。しかし、まずはYPGがこの地から撤退することが必須である。これがその他事項よりも優先してアメリカと交わした約束である。」

■トルコと約束した

ティラーソン国務長官は、「われわれの関係は危機的状況にあった」と述べつつ、トルコ政府との直近の緊張状態について言及した。

「トルコ・アメリカ間の関係は、非常に深淵且つ重要なものだ。これは利益に基づいた単なる同盟関係ではなく、時代の試練を乗り越えた関係である。トルコの国境安全保障に関する懸念は、深刻に受け止めている。これらの課題を解決していくにあたり、特に市民に被害が及ばないようにすることをわれわれは求める。われわれはこの緊張状態が高まることのないよう努力する。」このように発言したティラーソン国務長官は、さらに以下のように続けた。

「第一にメンビチの問題に取り掛かる。われわれが尽力していく課題の最優先事項がこの問題である。もちろん、それ以前にアメリカには約束すべきことが若干ある。これらの約束はまだ果たされていない。課題解決に向けた作業グループの中で、われわれはこれらの約束についても尽力していくつもりだ。メンビチの問題は、このチームにおいて優先事項の1つとなるだろう。北シリア全土で活動を継続するつもりだ。特定分野における連携はより密接な形で継続し、ジュネーブ・プロセスを支援していく。なぜなら、これが平和且つ安定したシリアへ到達するための唯一の方法であるからだ。トルコもこのように安全な方法で国境を守ることになる。トルコが安全な方法で国境を守ることは、もちろん重く受け止めている。NATO同盟国のメンバーがこのような懸念を抱えているとしたら、もちろんわれわれはそれを真剣に受け止める。」

■メンビチにおける同盟軍

「アメリカは、メンビチでの同盟軍が管理下にあることを確認したいと望んでいる。われわれは、他の勢力がこの地に再び侵入することを望まない。これは、もちろんわれわれのもちろんわれわれの議論における根本の1つとなる。なぜなら、メンビチは戦略的に重要な都市であるからだ。われわれの管理下に置くことを、まずは評価の第一段階とする。この問題をクリアした後、ともに活動していくつもりだ。われわれはイスラム国に勝利する。もしこの周辺で、シリア国内で他のテロリスト集団が存在すれば、それらに関しても行動を起こすつもりだ。」

「(アメリカがテロ組織であるYPGへ武器を供与したことについて)現状、国防総省の昨年度予算において、イスラム国との戦闘に対して十分な割合の予算を配分した状況だ。これに追加して必要経費として割り当てられたという情報源はない。」

■共同記者会見において:YPGは「テロ組織の延長」

アメリカ・トルコの会談後、共同記者会見が行われた。事前に用意されたテキストには両国の合同戦線の相手となるテロ組織の名が記載されたが、その中にYPGの名は出てこなかった。しかし、「テロ組織の延長」という表現でYPGは記載された。共同記者会見では以下のように述べられた。

・トルコ共和国並びにアメリカ合衆国は、同盟及び戦略的な関係として互いの安全と防衛に対して相互主義且つ明確な関係性を築くと約束する。

・65年間に及ぶNATO同盟関係、及び戦略的パートナーとして両国の市民関係、共有する目的、そして利益の向上、さらには世界全体における民主主義や法の優位、並びに個人の自由を高めるため、われわれはともに歩み続ける。

・アメリカはトルコにおいて2016年7月15日に起きたクーデター未遂事件を非難し、トルコが民主主義の道を選択した政府とトルコ国民による完全な連帯感の中にあることを明言する。

・両国は長年にわたる同盟関係に照らして、二国間で発生した問題を解決することを約束する。両国は、この目的に向けて結果重視の仕組みを構築することで合意した。これらの仕組みについては、遅くとも3月中旬までに実行に移していく予定だ。

・合同の課題の中には、国際的な問題でもあるテロ組織との闘いや大量破壊兵器拡散への対抗、シリアやイラクを含む中東に持続的な平和と安定をもたらすこと、エネルギーの安全強化、そして過激化や暴力行為につながる過激主義、並びに反イスラム闘争といった多くの危機的課題を含むことが相互に確認された。

・トルコ共和国並びにアメリカ合衆国は長年続く同盟国として、テロリズムとあらゆる形式や方法で共に戦う決定をしたと互いに確認した。トルコとアメリカは、イスラム国やPKK、アル・カイダ、その他すべてのテロ組織及びこれらの延長にある集団らと戦うことについて決定したと繰り返し述べる。両国は、それぞれの国民を直接対象としたテロの脅威に対する自衛権を認める。

・トルコ並びにアメリカは、シリア全土及び国家の統一を保全することを約束し、それを確認した。これに伴い、シリア国内における既成事実の形成及び人口動態の変化に向けたすべての企てに対して決然とした態度で対抗する。シリアの変化及び安定を強化することについて、協調関係にあることを決定した。

・トルコ並びにアメリカは、シリア危機に対し政治的解決策のみが議論可能であり、これを可能とするには政治的転換が不可欠であるという事実を提案することで、国連安全保障理事会2254決議で明記された安定のパラメーター、及びジュネーブ・プロセスの範疇において、この問題が議論されるために連携を強化することを承認する。

■会談でアタテュルクについて語る

メヴリュト・チャヴシュオール外相は、公式訪問を目的にアンカラを訪れたアメリカのレックス・ティラーソン国務長官とともにアンカラ宮殿で会談した。両名は共同記者会見前にアンカラ宮殿を回った。チャヴシュオール外相がアンカラ宮殿の壁にかけられたアタテュルクの写真について、ティラーソン国務長官に説明をした。

■CNNアメリカ「外交儀礼は崩された」

アメリカのTVチャンネルであるCNNは、レックス・ティラーソン米国務長官とタイイプ・エルドアン大統領間の会談において、通訳としてメヴリュト・チャヴシュオール外相のみが同席したことについて外交儀礼は崩されたと報じた。ニュースでは、アメリカ側には通訳またはメモを取る担当も同席しなかったと伝えられた。オバマ大統領時代に国務省報道官を務めたジョン・キルビー氏はCNNに対して出したコメントの中で、米国務省側に通訳が同席しなかったことでティラーソン国務長官の主張を完全に伝えることができなかった可能性があると話した。トランプ政権の国務省関係者の一人はCNNに対し、ティラーソン国務長官への通訳をトルコ人の外相が行った件について問題はないとの認識を示した。

■ロイター通信「トルコ政府はアメリカに対し、メンビチでの合同軍配置を提案した」

ロイター通信は、トルコがアンカラを訪問したティラーソン米国務長官に対し、YPGがメンビチから離れ、且つユーフラテス川以東へ撤退すること、そしてアメリカとトルコが合同でメンビチに軍隊を配置することを提案したと報じた。匿名のトルコ人関係者の言葉としてロイター通信が報じた内容では、アメリカはトルコのこの提案を評価したと伝えられた。

アメリカのAP通信は、「アメリカとトルコは危機の瀬戸際から戻った」と伝え、険悪な形で緊張状態が続いていた二国間関係が正常化へ向けて変化していくことで合意したと報じた。AP通信は、両国が作業グループを設置することで合意に達した一方、和解内容の詳細は「不明確」であると伝えた。

フランスのAFP通信は、「トルコとアメリカは、トルコ政府の国境を越えた軍事作戦により数週間にわたって続いていた緊張状態の後、連携して活動していくことで合意した」と報じた。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:44384 )