アククユ原発差し止め訴訟、政府側「事故は心配の種ではない」
2018年05月11日付 Cumhuriyet紙


アククユ原発差し止め訴訟でスキャンダラスな専門家レポートが公になった。起こりえる原発事故で被害が限界値を超えることはあり得ない、という。

メルスィンで建設予定の原発プロジェクトの土地利用ライセンス取消をめぐる訴訟で、裁判書類の中にスキャンダル満載の専門家レポートが含まれていた。

レポートではチェルノブイリやフクシマの被害について取り上げており、「起こりえる大事故被害を検討したところ、放射線による市民の健康への影響・安全性に関し、トルコ原子力エネルギー委員会(TAEK)規制で規定されている限界値を超えることはないことを示している。」としている。

この専門家レポートに反論を表明したメルスィン県医師会アリフ・アリ・ジャング弁護士は、レポートでは原発について美化が施されていると指摘した。

メルスィン核反対プラットフォームに属するフル・ウウルハン医師は「事故の結果、拡散する放射線が人体の健康に及ぼす害は何世代後になっても現れる可能性がある。非常にリスクが大きい」と発言した。

■全て問題ないとのレポート結果だが・・・

メルスィン医師会を含めた市民団体は、トルコ原子力エネルギー委員会、アククユ核株式会社に対し「メルスィン郡、ギュルナル郡、ビュユケジェリ町の境界付近で建設が計画されているアククユ原子力発電所への許可の付与」をめぐり、土地利用ライセンスの取消を求める裁判を開いた。

裁判書類として提出された専門家レポートでは原子力発電所に選ばれた土地は建設に適しているとされている。

レポートでは発電所の冷却水はアククユ湾から取水し、アクサズ湾に排出すると記載されており、冷却水は十分な量で使用に適していると書かれていた。

レポートの「(略)…起こりうる大事故の被害は、放射線による市民の健康や安全性に関するTAEK規制の限界値を超えない」という断定が注目を集めた。

レポートでは以下のような表現もあった。「アククユ原発プロジェクトでは、合計4台の原子炉を建設現場で安全に管理するための安全保護地帯を設けた港エリア、燃料保管施設のある住居地区、その他地区の各地区において、物理的及び核の安全を含む、通常運営の場合と事故が発生した場合の環境への影響について、放射線による市民の健康・信頼性と環境保護のために必要なすべての対策が取られることで、結果、原子炉の設置場所として適した現場が用意されるという意味で十分であると評価する」

■不十分なレポート 

メルスィン医師会のアリフ・アリ・ジャング弁護士は、異議を表明する意見書の中で、専門家は調査不足のままレポートを準備した、と指摘した。 

ジャング弁護士は「レポートでは3か月目に故障した原子炉を成功事例として紹介し、一方で実証されていないロシアの技術をあたかも実証されたかのように記載している」と述べ、このように言葉をつづけた。

「海へ排出される廃水が海の生態系へ及ぼす影響についての検証が本レポートでは不十分だ。
排水による海水温度の上昇は海洋生物の構成や多様性に影響するだろう。
原子力発電所の非信頼性、最も危険であることは、科学的また過去の苦い経験から証明されている。
高価であり、燃料の安全な保管はいずれにせよ不可能であり、監視は難しい。人間や生物の生活圏と同じ場所に置くべきでない技術である。」

■被害は事前に想定できない

メルスィン核反対プラットフォームに属するフル・ウウルハン医師は専門家のレポートの断定へ以下のとおり反応を示した。

ウウルハン医師は「原子炉の事故がもたらす被害は予想しきれるものではなく、事前にわかるものではない。

チェルノブイリで起きたように放射線を帯びた雲がどの方向へ向かうか、またフクシマで起きたように放射性物質が海へどのぐらいの割合で混ざるのか、大体どのくらい空気、水、土壌を汚染するのかについては、誰もわからない。

さらに、事故の結果、飛散する放射線が及ぼす人体の健康への被害は、その時だけにとどまらず、何世代後であっても現れる可能性がある。この危険性は決して看過できないものだ」と述べた。

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(翻訳者:山口 南)
(記事ID:44779)