イスラエル:イスラエルはアラブ諸国を懐柔してヒジャーズ鉄道の再建を企む (2)
2018年06月25日付 al-Quds al-Arabi 紙


■倒錯したヒジャーズ鉄道:イスラエル、アラブ統一に向けて働きかける

【本紙】

民族主義諸政党が率いた「国粋主義的」国家の軌道が、国家的にも社会的にも政治的にも失敗する段階へと達したのに伴い、一部の王政の国々が旗手となった。こうした王制の国の一部は、アラブ首長国連邦のように、アラブの現状に及ぼす影響力が微少であった。そこでそれらの国々は、逆に自らが知る政治に基づく新しいプロジェクトを提示した。そのプロジェクトとは、政治的イスラーム主義の潮流への対抗である。これは、米国にせよロシアにせよイスラエルにせよ、世界の支配的な国々と調整しつつ、(金銭を)支払う者に対する忠誠による軍事・治安面を拡大していく政策に集約される。

ドナルド・トランプ米大統領が台頭するのに伴い、前述の国々はアラブ世界における最大の政治変革に向けた門戸を開く呼びかけに貢献した。このため、これら最大の変革を表すために、「世紀の取引」という文言が流布した。この「世紀の取引」は、パレスチナ人にイスラエルへの従属を強いるのみならず、アラブ世界の形をことごとく変質させ、今回こそは本当にアラブ世界を統一してしまうのである。「世紀の取引」によって、第1次世界大戦のプロジェクトが完遂される。ヒジャーズ鉄道は、ハッジの巡礼者をトルコやイスラーム世界各地からメディナに輸送するためではなく、イスラエル人のカネやモノをドバイ、ジャッダ、メッカに輸送し、サウジアラビア人、アラブ首長国連邦人、エジプト人、バハレーン人のビジネスマンをハイファ、テルアビブ、エルサレムに輸送するために復活するのである。

このような倒錯したやり方でヒジャーズ鉄道を再建することによって、イスラエルは、「アラブ世界統一」のモデルを創り出すことに成功する。ヒジャーズ鉄道を破壊したアラブ大反乱から始まり、アラブ民族主義政党が主導した軍事クーデターを経て、米国とイスラエルの計画に完全に加わることで自分らの王国を護持を求める君主制に至るまでの現代アラブの物語において、最も象徴的な皮肉としてイスラエルの国旗がはためきながら。

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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:45061 )