シリア:ヨーロッパのシリア難民の苦境(1)
2018年08月05日付 al-Quds al-Arabi 紙


■シリア難民は困難な選択に直面(1)

【サーディク・ターイー:本紙】

ヨーロッパ諸国からシリア難民を退去させ、送還するよう要求する宣伝キャンペーンが増加している。これらの国々はシリアでの苦難の数年間に戦火や政府による迫害から逃れてきた人々に対し、一時的に安全な避難所を提供してきた。しかし、ヨーロッパ社会で嫌悪の波が高まるにつれ、複数の極右政党がシリア難民の送還を議題として挙げ、自国の政府に圧力をかけるカードとしてこの議題を用いるようになった。そして、そのことを以下のように述べることで正当化している。「シリアの国内情勢は今日日より安全になった。避難を求める者たちは、テロリストの支配から解放された彼らの街に帰還できる。」

ヨーロッパの立場

右派ポピュリズム政党である「デンマーク国民党」は2017年11月に、法律討論の中で、シリア難民をラッカ市送還するよう急き立てた。同市は、「イスラーム国(ダーイシュ)」からの解放後、完全に破壊された。デンマークの野党第2党を占めるデンマーク国民政党は、「ラッカから来たシリア難民が、彼らの家に帰還する時が来た」と考えているのだ。これは同政党のクリスチャン・チュールセン・ダール党首の発言である。同氏はメディアに対し以下のように説明した人物だ。「なぜシリア人たちが、他のシリア国民のように、デンマークに留まらないのか分からない。家もあり、デンマークからの支援もあるのに。シリアの復興に参加するためだろうか」。つまり、デンマークの極右派は、シリア政府との交渉チャンネルを開設することでデンマーク政府の政策へ圧力をかけ、、ラッカ出身のシリア人を皮切りに、難民の送還に関して譲歩を得ようとしている。そして、いわゆる「一時保護」を得ている残りのシリア人を送還する道筋を開こうとしているのだ。

(2)に続く

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( 翻訳者:藤木郁理 )
( 記事ID:45186 )