カタールのOPEC脱退は何を意味するのか
2018年12月04日付 Cumhuriyet 紙

カタールのOPEC脱退の発表は、精神的な影響を及ぼしうる象徴的な動きとして見受けられている。この決定は、サウジアラビアの主導で一部諸国がカタールに制裁を断行したことにより始まった外交的危機の延長である、との意見がある。

カタールは、2019年1月に石油輸出国機構(OPEC)から脱退することを発表した。

カタールのエネルギー相サアド・シェリダ・アル=カアビは、昨日12月3日に開いた記者会見で、液化天然ガス(LNG)の生産に専念するためにOPECを脱退を希望すると述べた。

アナリストや専門家らは、カタールが強大な産油国ではないという理由から、この決定がOPECの決定機構あるいは石油市場に対して直接的な影響を及ぼす見込みはないと述べている。

ロイター通信社に対し、OPECの関係筋は、「カタールは大産油国ではなかったが、組織の歴史において重要な役割を担う国のひとつだった」と語った。

カタールは、原加盟国5ヵ国に次いで、創設から1年後に初めて組織に加わった国であり、57年間OPECに加盟していた。

アナリストらは、カタールの今回の決定を「精神的な影響を及ぼしうる象徴的な動き」として見ており、背景にある真の理由は、LNGの生産ではなく、サウジアラビアとの間に生じた外交的危機であると指摘している。

RBCキャピタルマーケッツ商品戦略責任者およびアメリカ中央情報局(CIA)元アナリストのヘリマ・クロフト氏は、ブルームバーグ社に向け発表を行い、この決定が持つ象徴的な力は大きいと説明した。

クロフト氏は、「LNG生産への専念は、OPECに加盟していることと相反しない。このことは、地政学的な差異が解決できないほどに深刻になったのだと多くの人が須らく述べる理由となった」と述べた。

■「カタールはサウジアラビアの重圧に不満だ」

OPECで11番目に大きい産油国であるカタールは、一日およそ60万バレルを生産しており、石油の総生産の2%未満しか供給していない。OPEC最大の産油国であるサウジアラビアは、一日およそ1100万バレルを生産している。

カタールは、年間7700万トンのLNGを生産しており、2024年までに生産量1億1000万トンを目指している。

今回の決定の背後にある真の理由は、LNG生産というよりも、カタールがサウジアラビアをはじめとする当該地域の国々との間で抱えている外交的危機であるとの意見もある。

OPEC加盟国のサウジアラビアとアラブ首長国連邦は、非加盟国のバーレーンとエジプトとともに、2017年6月以降カタールと断交をおこなっている。断交の理由として、カタールが「テロ組織」を援助していることが挙げられている一方で、カタール政府はこうした主張を否認している。

キングズ・カレッジ・ロンドンの政治リスクアナリストであるアンドレアス・クリーグ氏は、「カタールは、当該地域およびその組織におけるサウジアラビアの重圧が、自身にとって有害であると考えている。この問題は、カタールが外的影響から離れ、独立した市場および国家としてしがらみを断つことと関係がある」と述べた。

■近年弱まるOPECの力

非加盟国が2016年に当組織と協力しはじめたのち、世界最大の産油国であるロシアとサウジアラビアが直接会談をおこなったことで、OPECの決定機構は機能不全に陥った。

また、北米での石油生産の増加も、OPEC加盟国の大部分を占める中東に不利となる形でパワーバランスの変化を招いた。

アナリストらは、次のように述べている。「象徴的とはいえ、組織の現在の決定機構が衰退し始めたタイミングで出された今回の決定は、OPECが自身を政治的交渉以上に、完全に経済的な利益のために集結した組織として位置付けたことに対して、重い一撃を食らわせるだろう。」

アルジェリアの元エネルギー相およびOPEC元事務局長シェキップ・ハリル氏は、今回の決定が「精神的な影響」を与えるだろうと述べた。

ロイター通信社に対してハリル氏は、「今回の決定は、サウジアラビアが昨年を通して単独で決定を下していたことを踏まえ、他の国々にとってもモデルとなりうる」と述べた。

1980年代のイラン・イラク戦争と1990年代初頭のサダム・フセインによるクウェート侵攻といった、当該地域の最も多難な時期にあっても、産油国はOPECに加盟しているというアドバンテージを利用し、石油政策において協力関係を続けてきた。

OPEC史上、脱退した国は3ヵ国である。しかし、内2ヵ国は後に再加盟した。最近ではインドネシアは、2016年に明らかな石油輸入国となり、加盟国の立場の凍結を余儀なくされた。

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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:45850 )