Sedat Erginコラム:プーチン・エルドアン会談の2テーマ会談を読む
2019年01月25日付 Hurriyet 紙

一昨日、モスクワで行われたレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領の会談の結果は「イドリブ及びユーフラテス川東岸-安全地帯」と2つのテーマのもとで評価できる。

1つ目から始めよう。イドリブでの危機は特に急を要するものだ。なぜなら、昨年9月のソチ合意でエルドアン・プーチン両大統領が決定した、イドリブにおける「非武装地域」の設置に関して、今月初め以降、全ての計算が狂っているためだ。テロリスト集団・アルカイダ系のタハリール・アル・シャーム(HTŞ)が、トルコが支援するグループを後退させて勢力圏を広げていることで、イドリブの情勢は非常に緊張したものになっている。

ソチ合意ではHTŞへの制御に関する議題が出ず、アレッポからラタキア、ダマスカスへの連絡線であるM4・M5道路の安全を保証して2018年末までに通行を可能にすることは叶わず、HTŞはイドリブにおける境界線の非武装地帯から撤退するどころか、逆に同地で支配領域を拡大した。

エルドアン・プーチン両大統領の会見を批評するならば、両陣営ともにソチ合意に違反するものを取り除く、即ち合意を履行するために一部新たな措置を講ずるとい う件で見解の一致をみていると言える。エルドアン大統領は「このような行為に対しては手を携えて対処し、決定事項を迅速に適用する」と述べれば、プーチン大統領は「同地では問題があり、我々はそれを見ている…。同地方での緊張を緩和するために協力して措置を講ずることが必要だ」と述べた。

この言葉から、近いうちにトルコとロシアが協力してイドリブにおけるHTŞの支配を崩すことに向けた行動に出ると読み取れる。可能性としては、ある段階まで順を追った軍事作戦の構想など、HTŞに圧力をかけて後退させる目的での軍事作戦が起こりうる。いずれにせよ、HTŞに対し段階的な措置を講じることで難民が大規模に発生しないように調整することが疑いようなく重要だ。



「安全地帯」のテーマに移ろう。この件については、両陣営の会見ではイドリブの件のような全面的な一致は見られなかった。まずプーチン大統領の言葉を分析しよう。

A)ロシアの大統領は、ユーフラテス川東岸に関する問題が、まず「シリア政府とクルド人の代表者達の間での対話」によって解決されるべきという見方であり、つまり同地の主要アクターをアサド政権とクルド人の代表者達であると見なしている。

B)プーチン大統領は、特に「安全地帯」に関して「正当な政権はアメリカを歓迎していない」、「国連安保理でこのことに関する決議はなされていない」と述べたうえで、アサド政権をユーフラテス川東岸を統治する正当な政権だと発言し、また外国勢力が同地に入ることができるように国連安保理の決議に向けた調整を行なっている。

C)プーチン大統領は同時に、トルコとシリアの間で1998年に調印され、両国がテロ対策で協力することを想定した「アダナ協定」の履行が必要だと主張している。本協定の履行を提案することで、トルコとシリアが対話に入るよう仕向けるという手を打ったことになるのは疑いようがない。

D)さらに「安全地帯」に関して「特に安全保障の観点で、トルコの国益をも尊重している」と述べた。別の場面では「全てのテロリストとの戦いに関して、トルコと意思を共有している」と述べている。トルコがテロに関して抱く懸念を理解した上で、今後の問題解決に際しこの懸念を払拭する必要性を受け入れたと説明もできる。



ロシアの大統領は、これらの発言により、A)一方ではシリアの戦場で協力関係にあるアサド政権との、B)もう一方では安定した関係を発展させてきた「アスタナのパートナー」トルコとの間でデリケートなバランスを築いたことになる。プーチン大統領は主目的である「ユーフラテス川東岸の土地を再びアサド政権の支配下に置く」きっかけを作ろうと動いている一方、この地で形成される仕組みがトルコの安全性に配慮すべきことを担保しようとしている。

エルドアン大統領はプーチン大統領と並んで記者会見を行い、安全地帯の話題になると「この件に関して、ロシアとの間にいかなる問題もない」と述べ、会談の間この件でプーチン大統領が柔軟な姿勢を見せていたと世論に印象づけた。

これらからわかるように、プーチン大統領はここまで見てきたような外交政策によって、シリアの今後に関する交渉において自身の交渉の余地を広げることを狙っている。

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( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:46173 )