「海を超えてきたのだから、小川ではおぼれまい」ロシア・イラン・トルコ首脳会議
2019年02月14日付 Hurriyet紙


アメリカ合衆国がシリアからの撤退を決めた後、トルコとロシア、イランの指導者が初めてソチで一堂に会した。エルドアン大統領は、シリア問題に関する首脳会談を終えると記者会見を行った。西側そして湾岸の諸国を非難し、「シリア危機の政治的解決の希望がこれほど生じたことはかつてなかった。海を越えた今、小川でおぼれることはあるまい」と述べた。

エルドアン大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、イランのハサン・ロウハーニー大統領とソチで3首脳会談を行った。会談後、首脳たちは共同の記者会見に臨んだ。エルドアン大統領は、会見の冒頭で、ホスト役を務め、手厚いもてなしで迎えてくれたプーチン大統領に対し謝辞を述べた。また前日イランで起きた自爆攻撃について、ロウハーニー大統領を前にして全イラン国民に哀悼の意を表明し、「我々は34年の間テロと戦い、何万人もの市民がPKKのテロで犠牲となった国として、兄弟であるイラン人の苦しみはとてもよく分かる」と述べた。エルドアン大統領は、記者会見で次のように述べた。

■将来はこれによって解釈される

我々は、イドリブ協定に従って、課せられたことを実行し続ける。シリア政権が停戦に応じた時点で、ロシアとイランの大統領に私の意見を伝えた。イドリブの緊張を緩和させ、停戦状態を守り、挑発的な動きに対しては共同で戦う決意を確認した。トルコは、我が国の南の国境全体に、テロの回廊が形成されることを許すつもりはないことを特に伝えておきたい。安全地帯の確立を含め、この方向で打ち出す方策に、アスタナ和平の三カ国(トルコ・ロシア・イラン)の協力を期待したい。さらに、将来は98年のアダナ合意の枠組みの中で解釈することも述べておきたい。」

シリアからの撤退を決めたアメリカが、シリア北東部に監視部隊を置くという案をNATO同盟国と協議したことについて質問を受けると、エルドアン大統領は次の様に答えた。
「NATO加盟国であるトルコは、アメリカ合衆国の撤退表明はトランプ大統領の意見であり、大統領の僚友たちは残念ながら同じ考え、同じ見解を共有していないと見ている。しかしながら、これが確定事項で、発言した時点から措置が講じられたのなら、今ごろはより違った展開があっただろう。今は4月、5月のことが話し合われている。今後どうなるか、現時点では不明で、計り知れない。」

■私たちが期待するスピードはまだない

「憲法委員会」の設立とシリア難民の現状に関連する質問についてエルドアン大統領はこう答えた。
「特に憲法委員会のついての取り組みは、もちろん私たちが望んでいるスピードはまだない。しかしここ最近、国連事務総長のシリア特使の取り組み、努力は明瞭である。今願うのは、まず、一刻も早くこの委員会が設立され、シリアの人々が自らの将来を、自らの意思で定められるようになることだ。シリア危機の政治的解決の希望が、かつてはここまで生じたことはなかった。海を越えた今、小川でおぼれることはあるまい。混乱や今後も続くであろう政情不安で生じる環境にも負けず、プロセスを確実に成功させなければならない。我々は親愛なる友人と共に、委員会設立のプロセスを最短期間で完了させるために合意にこぎつけた。」

■湾岸諸国に語るものは多くいる

エルドアン大統領は、トルコには360万の難民がおり、シリア出身の難民のための予算から出される支出が350億ドルに達すると述べ、次のように語した。
 「今、彼らの帰還を加速させるために、まずこの地に再び平穏を取り戻さなければならない。平和の確立が必要だ。紛争がない全地域の統治を強化する必要があり、この地でも一歩を踏み出すつもりだ。しかしこの歩みを進めるときに、彼らをテントに避難させようというのか?我々は、この全ての場所で安全な地域を確立させよう。そしてそれらの地域では、シリア人の兄弟に住居を建設し、彼らにはその住居に帰還してもらいたい。彼らにその機会をもたらそう。しかしそのために西側がしていることと言えば、機会があれば話題に出すだけだ。湾岸諸国でもこれについて語る者は大勢いる、そして語るだけだ。

資金も豊富、武器等にも極めて多くの額を費やしているのに、こうしたことについては、現在望まれるだけの数字に達していない。そろそろ一つの疑問符が浮かぶことを期待したい。我々は戦場と化したシリアを再び立ち上がらせる。」

■フメイミム空軍基地について措置を取る

エルドアン大統領は、安全地域の構想を、自国の安全保障への不安の解消に資する限り支援するとして、「詳細についてはアメリカとの話し合いを続ける。この構想に対してロシアからも賛成を得られたことを嬉しく思う。この件では協力して行動していきたい」と述べた。

■重火器は見つからなかった

エルドアン大統領は、シリアにあるロシアのフメイミム空軍基地が攻撃されないよう、あらゆる種類の措置を取っていると明かし、以下のように説明を続けた。
「我々はイドリブ協定の維持を重要視している。地域で共同警備を始める件についても、防衛大臣らの間で合意に至ったことに満足している。非武装化が完了した地域で無人航空機が行った捜索では、重火器は見つからなかった。イドリブ空域飛行で見せた協力関係を、アフリーンならびにユーフラテスの盾作戦の展開地域でも披露することが非常に重要だ。これらの飛行作戦に、フメイミム基地も参加するだろうことは間違いない。」

■テロリストの攻撃を無罪放免することはない

ロシアのプーチン大統領はユーフラテス川東部に関連して、1月23日のモスクワ会談でも取り上げた、1998年にトルコ-シリア間で合意されたアダナ合意について改めて指摘し、「この合意は、トルコ国境にある不安を解消するものと私たちは考えている。イドリブとユーフラテス川の東部は、最終的にシリアの統治下に入るべきだ」と述べた。また、憲法委員会については、「憲法委員会に加わる人々の名簿がほぼ完成し、最終承認が待たれるところだ。シリアにおける政治的解決プロセスの進展は、同国のアラブ諸国との関係正常化にも貢献するだろう」と述べて、次のように続けた。
「特にテロとの戦いに関連する私たちの活動について評価を行い、イドリブ協定についても協議した。シリアでの停戦の実現は、テロとの戦いを害しないものと信じている。イドリブに緩衝地帯を設けるのは一時的な措置であり、テロリストの攻撃を無罪放免とすることはない。アメリカ軍がシリアから引き上げれば、これはシリアの安定化に貢献するだろう。シリアで、恒久平和をもたらすための努力を続けるつもりだ。」

■会談の後は柔道

エルドアン大統領、ロシアのプーチン大統領とイランのロウハーニー大統領、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、会談の後、茶会を催した。プーチン大統領は、エルドアン大統領を見送った後、あるスポーツサロンへ行き、柔道家たちと面会した。プーチン大統領はそのあとで、柔道服を着て畳に上がった。

■トルコの安全保証は重要

イランのハサン・ロウハーニー大統領は、ソチでの3首脳会談ののち、「3つの保障国は、衝突の減少とシリアへ安定をもたらすための努力を続ける」と述べた。

■仲介人の提案

ロウハーニー大統領は、アメリカ合衆国のシリア撤退プロセスに関連して、「ワシントンは、表面上はテロと戦っていると自負するが、背後のプランでは(テロリストを)助けている。私たちの2つめの心配は、表向きではシリアから撤退したとしても、私たちの得ている情報ではアメリカ人はシリアへの干渉を続けるだろう。私たちにとって何人のアメリカ人がシリアにいるかは重要でない。重要なのは、シリア人が自分たちの未来を自分たちで決めることにあるのだ」と述べた。ロウハーニー大統領は、トルコのようなシリアの隣国は、安全保障に重きを置く必要があると明言し、「トルコ政府の安全保障が重要だ。トルコ政府がシリア問題に関与することが必要だ。私たち皆が、シリアの国土の一体性に目を向けることが必要なのだ。クルド人の権利を尊重することが必要だ。またトルコの安全保障を重視することも必要だ」と話した。ロウハーニー大統領は、3カ国会談の前に行われた共同記者会見においても、トルコとシリア政権との間で取り持たれる予定のあらゆる対話を仲介する用意があることを表明した。

■すべてが順調

3カ国協議に先立ち、エルドアン大統領とプーチン大統領との2者会談が実現したが、先に姿を見せたのはプーチン大統領であった。エルドアン大統領はというと、会議室に6分遅れてやってきた。プーチン大統領はその間、起立したまま待っており、イブラヒム・カルン大統領府報道官と言葉を交わす様子が見られた。エルドアン大統領より先に大広間に来たメヴリュト・チャヴシュオール外相は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相へ、ロシア語で「vsyo v poryadke(すべてが順調だ)」と言った。エルドアン大統領が広間に来たあとで会談が始まった。エルドアン大統領とプーチン大統領が率いる両国代表団の会談はおよそ50分続いた。トルコ代表団には、メヴリュト・チャヴシュオール外相、ベラト・アルバイラク国庫財務相、フルシ・アカル国防相、ハーカン・フィダン国家諜報機構長官、ファフレッティン・アルトゥン大統領府通信局局長、イブラヒム・カルン大統領府報道官、イスマイル・デミル防衛産業大臣が臨んだ。

■3国首脳会議で17箇条の共同声明

イランのハサン・ロウハーニー大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そしてレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、昨日ソチで開催された3国首脳会談で17箇条の共同声明に署名した。主だった内容は次の様に要約できる。

イドリブ緩衝地帯の状況を詳細にたどり、テロ組織「シャーム解放機構」の同地での勢力拡大の動きを否定し、これに対する深刻な不安を表明した。
シリア北東部の状況を取り上げ、国権と領土保全を尊重し、地域に安全、治安、安定をもたらすため、現行の同意に従いながら、連携していくことで合意した。
憲法委員会の結成について合意し、3保障国の取り組みの下、委員会の手続き規則案への助言等を含め、憲法委員会の迅速な結成に向けた決意を確認した。
難民や土地から追われた人々が、シリア国内の元々の居住地へ安全に、自ら希望して戻れるよう、然るべき条件を整える必要があると強調した。
シリア問題の他にも、最近の世界情勢と、様々な分野での協力関係を取り上げ、3国間での経済的、商業的協力関係を強化させることを決定した。

■リーダーの前に会談した人たち

フルシ・アカル国防相は、ブリュッセルでの対話を終えると、エルドアン大統領、ロシアのプーチン大統領、そしてイランのロウハーニー大統領の4回目の3国首脳会談のためソチへ向かった。
アカル大臣は、首脳会談の前に、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相、イランのムハンメド・バーゲリー参謀総長とそれぞれ会見した。会談では、シリアの最新情勢について改めて取り上げられ、首脳会談にむけて最終調整が行われたという。

■ダマスカスは安全地帯を承認しなければならない

ロシアのマリヤ・ザハロヴァ外務省報道官は、週の定例会見において、シリア北部に設置が計画されている安全地帯について、シリア政府から承認を取り付ける必要があると述べた。ロシアのスプートニク通信の報道によると、ザハロヴァ報道官は、安全地帯についてロシアがどのような条件で承認するのかという内容の質問に、安全地帯は第三国の国土にあるため、「ダマスカスの決定」を受けて作られる必要があると述べた。

■軍事作戦を含まない

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は首脳会談後、報道向けの説明で、「3人の指導者は、イドリブのテロリストを根絶するためにもう一歩進むことを合意した。イドリブの状況を改善するための方策には、軍事作戦は含まれない」と述べた。

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(翻訳者:宮崎友裕)
(記事ID:46305)