オランダ極右政党、トルコ系住民の選挙権奪う法案提出
2019年02月16日付 Yeni Safak 紙


オランダの極右政党、自由党(PVV)のヘルト・ウィルダース党首は二重国籍国民の国内選挙における投票と被選挙権を禁止するための法案を議会に提出した。ウィルダース党首は、法律の目的を「トルコ系とモロッコ系の有権者に支持されている平等党を国会や地方議会、市町村議会から排除するため」と発表した。

オランダの最大野党で極右政党の自由党(PVV)のウィルダース党首は、二重国籍者の投票権や政治活動を不可能にする法律案を提出した。ウィルダース党首は法律のねらいは「トルコ系とモロッコ系の有権者に支持されている平等党を国会、地方議会や市町村議会から排除するため」と発表した。左派諸政党はウィルダース党首の法案を「馬鹿げていて、オランダ社会にとっての脅威」と評価した。

ウィルダース党首はオランダ第二院における極右政党PVVと平等党員の間で長時間にわたった激しい論争の後に、動きに出た。
PVVのウィルダース党首は「議員になるために必要なのはオランダ国民であることだ。しかし皆さんがご存知のように、基本的に(トルコ系は)トルコ系の利益のために活動している。エルドアン政権の最大の支持者たちだ」と述べ、また、平等党は「敵対者の密かな支持者(スパイ)」を指す「大五列」であると述べつつ、「平等党を国会、地方議会や市町村議会から遠くに追いやれれば、素晴らしくなる。」との見解を述べた。

◼️「議会で我々を黙らせることに成功できずに、今も法改正をもって黙らせようとしている。しかし(自由党は)成功できないだろう」

平等党のトゥナハン・クズ党首は自由党(PVV)が徐々に自由を制限する1政党に変貌したと述べ、「議会で我々を黙らせることに成功できずに、今も法改正をもって黙らせようとしている。しかし(自由党は)成功できないだろう。」と話した。

クズ党首はこのことに関して発行された新聞発表で、自由党(PVV)はこの法律によって130万人の有権者の声を聞くことを妨害したがっていると述べ、(我々は)二重国籍者が選挙や参政権を手にすることを望むと言及した。

クズ党首はウィルダース党首と自由党は恐怖のためにこの法案を提出したと述べ、「平等党はウィルダース党首に対して2014年以来、強く厳しい論争を行なっている。民主的手段では平等党に対して闘争を行えないがために、我らが平等党の候補者を黙らせるための法案を提出したのだ。この無謀な行動はウィルダース党首の時代が終わりに到達したことを示している。」との評価を述べた。

◼️ウィルダース党首はこの法律によって60万人のトルコ系とモロッコ系の有権者だけではなく、6万人のドイツ系と3万人のベルギー系をも二級市民にしようと動いている

クズ党首は「ウィルダース党首はこの法律によって60万人のトルコ系とモロッコ系の有権者だけではなく、6万人のドイツ系と3万人のベルギー系をも二級市民にしようと動いている。トルコ系とモロッコ系を敵視するだけでなく、ドイツ系とベルギー系をも敵対視している。」と主張した。

クズ党首はウィルダース党首の「二重にパスポートをもつ人々はオランダの利益を十分に守ることができない」との見解を「ナンセンスだ」と評価し、以下のように述べた。:

「重要なのは一人の人物が示した行動である。尊敬するウィルダース党首の振る舞いを我々が見るに、イスラエル大使館で、国会以上の時間を過ごしているように見える。」

ウィルダース党首の法案に、対立する諸左派政党から返答があった。フルンリンクス(緑の左派党、GL)のイェッセ・クラーヴァー党首は、ウィルダース党首の法案を「馬鹿げている」と評価した。
クラーヴァー党首はこの法案はオランダを分極化すると強調し、「我々を分断より統合へと導く多くの事柄がある、まずはそのことが言及されるべきだ」と述べた。

労働党(PvdA)のローデウェイク・アッシャー党首はというと、Twitter上の投稿で、以下のように言及した。
「自由党(PVV)の法案がどれほどに遺憾か。ヘルト(・ウィルダース)氏(には)オランダで対立者と意見を議論できるように(願う)。しかし特定グループの民族的ルーツを理由に排斥することは、単にこのグループの自由に対してだけでなく、我々全員に対する脅威ともなり得る。」

ウィルダース党首は法案の受け入れについて楽観的であると述べ、オーストラリアでも類似の整備が行われたと主張する。

しかしウィルダース党首のこの法案は改憲を必要とするため、実行はとても容易なものではない。

オランダでは改憲のためには非常に長いプロセスを要する。この種の過激な法案が、幅広い人々の支持を得たうえで、上下院の2度の表決が必要だ。

表決では上下院で全体の3分の2の同意が条件として求められる。改憲のためにはこれでも十分ではない。改憲の承認のためには新しい国会議員を総選挙で誕生させ、成立した新たな国会でもこの法案が受理されなくてはならない。 

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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:46310 )