女性と大地を讃える祭り「エスファンデガーン」
2019年02月18日付 Mardomsalari 紙


 「エスファンデガーン」または「セパンダールマズガーン」の祭りはエスファンド月エスファンドの日、つまりゾロアスター教暦のエスファンド月5日、イラン暦ではバフマン月29日[訳注:西暦2月18日]に行われる。

この地、この天を讃えよう
この地と天のあいだにある、善きもの全てを讃えよう
賞賛するに値するもの、敬虔な人々が崇拝するにふさわしきものを讃えよう
砂漠で有益な動物の魂を讃えよう
真実を求める男たちの魂を讃えよう
真実を求める女たちの魂を讃えよう
生をもたらしたあらゆる土地において
真実の道を求めてきた男女は、今も、そしてこれからも求め続けるであろう
(ファルヴァルディーンヤシュト、153–154段)

 本紙によれば、エスファンデガーンは、「エスファンド」あるいは「セパンダールマズ」という女神(アヴェスター語では「スペンターアールマイティーSpenta Armaiti」、パフラヴィー語では「スペンタルメドSpandarmed」)を讃える祭りであり、最上の謙虚と忍耐を意味する。

 セパンダールマズは天国では愛と謙虚を示し、物質世界では大地を見守るものは、彼女とともにある。女性もまた、肥沃な地のような存在であるということから、大地のように善い行いをする[生みをもたらす]女性に価値を置くエスファンデガーンの祭りが行われるようになった。

 このようにして、エスファンデガーンあるいはセパンダールマズガーンの祭りは、イランにおいて、女性を敬う日となった。この日はマルドギーラーン(男性から女性へ贈り物をする)という名前で、ペルシア文化のなかで機能してきた。

 アブー・ライハーン・ビールーニーは『古代民族年代記』の、「イラン人の暦に関する章」75章において、エスファンデガーンについて次のように記述している。「エスファンダールマズ月5日(エスファンダールマズの日)は、エスファンダールマズの祭りである。2つの名前に調和するように、『知性と忍耐』を意味する。エスファンダールマグズは、大地と、善行をなし、敬虔な、配偶者を愛する穢れなき女性を守護する天使である。この月とこの日は特別である。この女性たちの祭りでは、男性たちが彼女たちに贈り物をする。この儀礼はセパーハーン[現在のイスファハーン]やレイ[現在のテヘラン南部]、そして『パフレ』[現在のイスファハーンやレイ、ハマダーンを含む地域]の他の都市でも残っており、ペルシア語では『マルドギーラーン』と名付けられている。」(セピーテマーンの勝利の大軍、p.305)

 ビールーニーは『占星術教程の書』においても、「マルドギーラーン」について、自ら[山本啓二、矢野道雄によれば、ペルシア語版がビールーニー本人が書いたものであるかどうかは不明。イスラーム世界研究 vol.3, no.2(2010年3月), p.305]、ペルシア語で次のように記述している。「エスファンダールマズ月5日であり、ペルシア人はそれをマルドギーラーンとよんでいる。なぜなら女性たちは夫にお願いをし、その願いは男性が叶えてくれるものであるからだ。」(pp.259-260.)

 近代に入ってから、女性はこの日に新しい服を着たり、靴を履いたりするようになった。寛大、敬虔であり、善い行いをし、自身の結婚生活においてイランのために[原文ママ]素晴らしい子供たちを産んだ女性に感謝する。エスファンデガーンの日では、女性は男性から贈り物をもらい、女性は家事や家族のための仕事を休み、夫や息子たちがこの仕事を代わるようになった。

 アーリア人の古代儀礼の偉大なる守護者であるゾロアスター教徒は、エスファンデガーンの日を勤勉で敬虔な女性の名において讃え、多くの都市や村で、この日を女性の日、母の日の名で祝っている。彼らはアーデリーヤーンと呼ばれる神殿に集まり、女性たちや、彼女たちの社会的地位の高さについて話し合う。勤勉な女性たちを讃える歌を歌い、様々な料理を出すなどして、互いをもてなす。皆で喜びを分かち合い、エスファンデガーンの祭りを盛大に祝う。

 他にも、この日は「マルドギーラーン」の日以外にも、「農民の日」としても知られている。これは大地の緑を育てる者と大地が緑となったことを祝うために行われる祭りである。なぜなら、ノウルーズや春の訪れが近く、農民が耕作を始め、農業が始まる時期だからである。

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( 翻訳者:KM )
( 記事ID:46363 )