Abdulkadir Selviコラム:選挙結果のメッセージ
2019年04月01日付 Hurriyet 紙

投票所からは与党にも野党にも重要なメッセージが発信された。

有権者は安定を求めたが、与党にも警告を与えた。壷を壊すことなく発するべきメッセージを発信したことになった。

この選挙の衝撃はアンカラだった。しかし、イスタンブルは、息をきって見守る競り合いの場になった。与党は公正発展党(AKP)の周りに、野党は、共和人民党(CHP)の周りに集まった。しかし、この際、選挙協力から最も利益を得たのは民族主義者行動党(MHP)だった。当選した自治体首長の数は二倍となり、AKPの政治的主張に色を与えた。

CHPのケマル・クルチダルオール党首は、この選挙で時に党を敵に回す代償として保守派から票をとり、信仰心に敬意を示し、国民に感銘を与える候補者たちを出馬させた。選挙結果はクルチダルオールのこの選択が正しかったことを明らかにした。今後問われるのはクルチダルオールはこうした面をCHPの運営に反映させるのかということである。

選挙は、安定と経済が議論となった。エルドアン大統領とバフチェリ党首は選挙に重要な影響を及ぼした安定のメッセージが国民によって受け止められたと述べた。正しいが、有権者は貴金属商の秤のような繊細さで結果を出した。安定を守ったが、経済も選挙に影響を及ぼした。

■HDPの影響

この選挙の衝撃は人民の民主主義党(HDP)であった。エルドアン大統領は昨年6月24日の選挙後に行ったバルコニーでの勝利宣言でクルド人同志に感謝を述べた。クルド系有権者は今回も結果を定めるのに重要となった。[2017年]4月16日の国民投票で「反対同盟」、昨年6月24日の総選挙で「民主主義集結」という名の下でCHPと連携したHDPの票がこの選挙でもCHPへ流れたと思われる。

選挙結果は、南東部で任じられた管財人を通じた政策がいい意味で反映されているように見える。管財人たちを通じて自治体の行政サービスに触れた地域住民は、ある場所では「サービスに感謝する」と述べる一方で、票をHDPに投じた。一部の地域ではAKPが初めて選挙の勝利を手にすることになった。

この選挙の衝撃は民主左派党(DSP)だった。DSPと至福党は選挙の勝者にならなかった。しかし、敗北させた党になった。

■エクレム・イマームオールのプロフィール

地方選挙は、善良党にとって運命的な選挙だった。CHPと同盟を組んで、成功しようとしていた善良党の計画が実らなかったのが明らかになった。メラル・アクシェネル党首にとって警報が鳴り続けている。しかし、同じことをクルチダルオール党首について述べることは不可能である。CHPの中で選挙の夜の緊急会議を待ち構えていた面々にとって計算は大いに狂った。なぜなら、クルチダルオール氏は選挙で力をつけ、現れてきたからだ。しかし、CHPももはや、モスクで[死者を弔って]ヤースィンを読む、他人の信仰を問題としない、中道右派にも向けて発言できる、静かな力として、[イスタンブル市長候補]エクレム・イマームオール氏を手にすることになった。

■エルドアンの評価

エルドアン大統領が選挙の結果に関して行った最初の演説によると、投票所から発信されたメッセージを受け取ったようだ。もちろんこのことはこの先、AKPの政治方針、発言に反映するのだろうか。党は改めて改革的かつ自由主義的な性質に戻るのか。これは根本的な問題である。エルドアン大統領は、演説の中で、ある意味で新しい時代の道しるべを示した。大統領は、選挙がAKPへの信用を再活性化させたという見解だ。「我々は選挙で第1党となった」と述べた。

この厳しい選挙戦の後、エルドアン大統領は、選挙結果を民主主義の成熟として受け止めることを示した。「勝利も敗北も国民の評価である。民主主義の必然である」と話した。

ここで、一息ついてクルチダルオール氏とバフチェリ氏の選挙に関する評価にも触れたい。バフチェリ氏はこうした重要な場面で発言を行って政治の流れを変えてきたリーダーである。選挙の夜にバフチェリ氏は早期選挙を呼びかけるかという期待があった。MHP党首の彼は「早期選挙の問題は完全に日程からなくなった」と述べた。クルチダルオール氏も早期選挙の呼びかけを行わなかった。これらに、エルドアン大統領の「この先4年半ある。この先を見据えよう」というメッセージを付け加えたい。

さらに、選挙の夜、バフチェリ氏は連合を続けるか、CHPと善良党の間で国民連合は続くのかという問いかけがあった。エルドアン大統領とバフチェリ氏は共和連合が続くと述べた。クルチダルオール氏とアクシェネル氏は国民連合が続くと宣言した。つまり連合は選挙から力をつけ、現れたといえる。

しかし、何よりも重要なことは、与党と野党で党首たちが選挙の夜に早々に早期選挙はないというメッセージを発信したことである。とりわけ重要なことである。今日4月1日。トルコには新しい政治的構図と選挙なしの4年半がある。

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( 翻訳者:鈴木 唯 )
( 記事ID:46561 )