日本の大学でクルド語授業が開講
2019年04月20日付 その他紙


私たちが暮らす土地から1万2000キロ離れた日本で、近年クルド語への関心が高まっている。そのような流れの中、日本の大学でクルド語が選択授業として開講された。またヌビハル出版が刊行する日本語-クルド語の文法書と辞書が本棚に並んだ。東京外国語大学クルド語講師ワッカス・チョーラク氏が、オンライン・メディア「イェニ・ヤシャム」紙のネースィルヴァン・ギュネル記者へ、日本人のクルド語への関心を解説した。以下、インタビューの全文を掲載する。

■日本で初のクルド語辞書とクルド語文法書が出版されました。ご自身も大きく貢献されたこれらの成果ですが、どのような必要性を感じてのことでしょうか?

-共同製作の一つの成果として、日本で初となるクルド語の辞書と文法書が出版されました。自分の専門分野においても初の事です。ここ5、6年の間、中東で続く紛争の渦中にクルド人が存在していました。イスラム国に対抗するこの勇敢な闘争で、クルド民族の名前は世界中で報道され、称賛を以てその動向が追われました。この多分には日本人も漏れる事はありませんでした。日本の人々、メディアそして政府の一般的な見解は、クルディスタンを支配し、バラバラにして搾取する国々の見方と同様でした。このことの、そもそもの理由は2つあります。1つは、日本の歴史を鑑みると、クルド人との対話が存在してこなかったという事、更にはクルド人に関する仕事を行っている人々が、外交的なネットワークとアカデミックな領域との関係を持っていなかったということでした。

もう1つはというと、日本におけるトルコ、イラク、イラン、シリアそしてアラブ諸国の巨大なロビーの存在であり、彼らがこの分野で活動を行っているという事です。学術界で彼らの言葉が影響力を持っている、もしくは彼らのように思考する人々が発言力をもっているのです。そして勿論の事、これらの影響の結果、このような見方が政府や国家にも流れ込みました。歴史的な繋がりも、勿論無視する事はできません。私たちも日本で生活を営むクルド人として、この分野において何かしらの新しい事を始めたいと考えたのです。とりわけ日本人がクルド民族と、クルド語について知識を得られるようにしたいと思いました。一つの民族を理解する最良の道は彼らの感情の世界へ入る事です。そしてこれは、言語によって達成出来ることです。そこで、このような仕事を始めたのです。これは一つの入り口に過ぎず、これからも続いていきます。アカデミックな領域において、日本人がクルド語を学ぶことが出来るような組織や書籍がこれまでなかったのも、上述した見解の主要な影響によるものです。

■日本人のクルド語に対する関心はいかなるものなのでしょうか?

-以前は、ただ中東に関心を抱く人々だけが興味を示していました。しかしながら、シリア北東部でのイスラム国の敗北、女性たちの闘争、これらの闘いにおけるクルド人の存在感は、もちろん日本人の関心を引きました。これ以降、基本的な疑問の数々と共に、クルド人とは一体何者であるのか、クルド文学とは一体何かといった疑問を探求するようになったと言えるでしょう。現在、私が教鞭をとっている東京外国語大学において最も高い関心を集め、また好んで選ばれる選択授業はクルド語です。この事実もまた、私たちに日本の他大学における履修プログラムにおいても、クルド語の授業が開講するであろう、という事を示しています。

■東京外国語大学でクルド語の講師を担当していらっしゃいますね。お住まいになっている国では、クルド語とその文学へは一体どのようなアプローチが存在しているのでしょうか?

-外大で完全に初めての試みです。まだ第二週目が終了したばかりです。とりわけ中東のアカデミックな仕事を行っている方々は大きな関心を抱いています。学者たちとの対話において、基本的な問題は次のようなものでした。私たちが、今日までの活動において、彼らのクルド人に対する見解はトルコ、イラン、そしてシリア政府の見解と同様のものでした。なぜならば、これらの国々の政府による資料を読んでいたからです。しかしフィールドワークを行ってみると、実情はそれまでの知識とは異なり、クルド語とその文学が豊饒なものであるという事を目の当たりにしたと述べています。それからは、従来の観念を取り除き、クルドの言葉と文化を紹介し、発展させていくために貢献したいと言ってくれました。文学では大したものはありません、ただ幾つかの翻訳物があるだけです。しかしながら、私たちの今後の計画ではクルド文学の主要な作品を日本語に翻訳する事を考えています。文学の領域で、私が著した紹介用の記事があります。それ以外にも、更に多くの政治についての書き物と翻訳物があります。

■これまでのお話を伺ったところ、クルド語を教えるという点では、日本ではトルコ以上に安心出来る環境があるのですね。このことに関しては、どんな事を伝えたいと思われますか?

-まずはクルド語に関する活動を、増やしながら続けていきたいと思っています。日本でクルド語が国立大学において公式に教えられているという事は、日本にとっては誇りを持てることであり、トルコにとっては恥ずかしい状況であると見ています。

■日本の文学、芸術、音楽、そして映画では、クルド人に関するどのような作品が存在しているのでしょうか?またこれらの分野でご自身が関わったものはありますか?

-このうちの初めてのものは、ノンフィクション作家、昆虫学者、更には実業家の肩書を持ち、日本最大の建設会社である大成建設の取締役を務めた作家の五十嵐邁氏が1975年に著した、「クルドの花」という題の小説です。この作家は蝶の研究者で、この小説は日本人研究者とアスリという名の少女の恋を描いています。日本文学におけるクルド人とクルディスタンの大地を舞台とした初の小説である点で非常に重要な作品であり、更には作者の処女作です。クルド人を描いた二番目の作品は、日本文学史上の著名な冒険小説作家である船戸与一氏によって、1991年に著された『砂のクロニクル』という題の小説です。作家はこの小説を執筆するためにイランとクルディスタンを旅行したそうです。

この小説は、中東に独立国家の建設を目指すクルド人たちと彼らの闘争をテーマにしたものです。日本人劇作家で演出家の森井睦氏が監督を務め、登場人物のサミルを主役に据え劇団「ピープルシアター」によって舞台化されました。日本人によって書かれた三番目の小説は、近年メディアでも頻繁に取り上げられている難民問題に関し、下村敦史氏が2016年に執筆した社会派サスペンス小説『難民調査官』という題の小説です。1986年に安彦良和氏が描いた、『クルドの星』というタイトルの全六巻の漫画も存在します。クルド人をテーマにした初めての漫画です。また、さいとう・たかを氏の漫画「ゴルゴ13」シリーズでは、4つの物語が収録されている第118巻の最終話「老いた獅子」で、クルド人と民族独立運動を象徴する人物の一人であるモッラ・ムスタファ・バルザーニ氏と彼が繰り広げる闘争が描かれています。

『機動戦士ガンダム00』は、日本の著名なアニメ監督である水島精二氏が監督を務め、黒田洋介氏が脚本を手掛けた世界的に有名な日本のアニメです。トルコ語にも訳されテレビでも放送されました。

24世紀のクルディスタン(作品中の国名は「クルジス共和国」)での戦争から始まり、シリーズ自体は全50話まで続きます。主人公である刹那・F・セイエイは、2008年に「アニメ・ベストヒーロー」ランキングで第二位に選出されました。2015年に出版された『カワと7にんのむすこたち クルドのおはなし』は、野坂悦子氏とアマンジ・シャクリー氏が手掛けた、ノウルーズの祝祭と反乱を描く小学生向けの絵本です。
『シルクロード クルド人問題』と、『東京クルド/TOKYO KURDS』というタイトルの2作のドキュメンタリーもあります。今後、映画が撮影されることになっており、現在そのシナリオが執筆中です。私たちは若手の日本人監督と共同制作しています。小説『クルドの花』も、クルド語に翻訳する事を考えています。私がクルド語に翻訳した日本の昔話もあります。もしも出版が実現すれば、続巻もあるでしょう。

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(翻訳者:堀谷加佳留)
(記事ID:46682)