Abdulkadir Selviコラム:イスタンブル再選挙の風はどこから
2019年05月11日付 Hurriyet 紙

各政党がイスタンブル市長選の再選挙に向けて腕まくりをしている。公正発展党(AKP)は、新たな戦略とともに選挙準備を進めている。

(AKPは)実際のところ、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領が1994年にイスタンブル広域市の市長に当選したときに掲げていた「対面コミュニケーション」戦略へと回帰している。共和人民党(CHP)にも重要な刷新があるようだ。AKPはイスタンブル再選挙に関して、アリ・イフサン・ヤヴズ選挙対策委員長と、広報・メディア担当の責任者であるマヒル・ウナル副党首に権限を委任した。AKPの選挙キャンペーンについては、大幅な変更が予想されている。第一に、宣伝活動の言葉が変わると噂されている。偏った言葉や連続的な言葉の代わりに、寛容且つすべての有権者層の連帯感に基づいた言葉が使用されると考えられる。AKPの選挙戦略について、それを紐解くヒントを共有することは有用だろう。

1.対面コミュニケーションが基本となる。有権者と一対一の関係性が作られるだろう。
2.投票に行かなかった有権者を一人ずつ訪問して回る予定だ。投票に行かなかった170万人の有権者の内、70%がAKP支持者であると考えられている。
3.以前はAKPに投票したが3月31日の地方選挙ではAKPに投票しなかった有権者を特定し、彼らを訪問して回る見込みだ。
4.無効票で投票した29万276人の有権者と対面し、彼らの懐に入り込む考えである。
5.イスタンブルの人口動態マップが公開される予定だ。同市民のグループを中心に県の国会議員らも参加する形で、特別調査が実施されることになる。
6.イスタンブルの選挙で明暗を分ける決定打となったクルド人らに対しては、異なるアプローチが行われるだろう。3月31日の地方選挙では、人民の民主主義党(HDP)を標的とした「クルディスタンに行け」や「テロリスト」といった表現によりAKPに投票しなかった保守派のクルド人らの票を獲得するため、新たな宣伝文句が使用されると思われる。
7.AKPと距離を置く保守派のインテリ層に対し、彼らを説得するプロセスが開始される見込みだ。

■CHPの戦略

CHPも選挙戦略を明確にするため、セイト・トルン副党首やオウズ・カアン・サルジュ副党首、イスタンブル市長選に立候補しているエクレム・イマムオール候補、及びジャナン・カフタンジュオールイスタンブル県知事の4名でチームを発足させた。彼らは広告会社や世論調査機関とともに活動を行う見込みだ。来週にはクルチダルオール党首のもとで集まり、イスタンブル再選挙に向けた戦略について最終決定が出される予定だ。CHPを勝利に導いたアドバタイザーであるアテシ・イルヤス・バシソイ氏もそれに貢献すると予想される。

高等選挙委員会(YSK)が選挙結果の取り消しを決定したことは、政治的な過ちという路線へと転換された。CHP関係者らと対面した際、私はYSKの決定によって形成された「被害者」キャンペーンの反映を計画しているという印象を受けた。CHPは今回の選挙で、有権者らの良心に訴えることを計画している。選挙結果取り消しのプロセスについて語り、有権者らに「良心に従いましょう」と訴えかける考えだ。この戦略は「被害者としてのストーリー」のもとでは行われないだろう。むしろ、良心を強調したあとに「勇気ある呼びかけ」が提唱されると思われる。YSKの決定が出された夜にアーティストやビジネスマン向けに行われた「話そう」という呼びかけがそうであったように。(しかし)これは辛辣な言い方ではなく、むしろ「話す、そして笑う」といった積極的で明るい空気の中で行われることが計画されている。

前回の選挙同様、今回も都会的でモダンな保守層や保守的な都心部の貧困層がCHPのターゲット層となっている。

CHPは3月31日のイスタンブル選を、「地方選挙」以上の盛り上がりとならないよう留意していた。クルチダルオール党首は、「今後は地方選挙が重要となるだろう」と述べていたが、今回は「この再選挙は単なるイスタンブルの選挙ではなく、トルコ全体の選挙である」と述べるだろう。

CHPの選挙キャンペーンは、エクレム・イマムオール候補を中心に構築されることになるだろう。

■DSPは候補者を撤回するか?

では、至福党や民主左派党(DSP)、民主党はどう出るだろうか?彼らは候補者を撤回するだろうか?私は各政党の党首らと会談した。その内容をここで共有しようと思う。至福党は今回の再選挙にも出馬する。なぜなら、彼らが候補者を撤回しても、その票はCHPではなくAKPへ流れると考えられるためだ。

ではDSPはどうか?DSPは、イスタンブル候補であるムアッメル・アイドゥン氏に不出馬の指示を出したが、私がDSPのオンデル・アクサカル党首と話した際に感じた空気は違っていた。アクサカル党首は、「前回の地方選挙では、全体で11万の得票がありました。広域市では3万票がDSPへと入り、8万票が(CHP候補者の)エクレム・イマムオール氏へ入りました。つまり、CHPには投票しない有権者が一定数いる、ということです。彼らは誰に投票するでしょうか?この点について考慮し、検討したいと考えています」と語った。このことから、私はDSPは候補者を撤回しないのではないかという印象を受けた。

民主党のギュルテキン・ウイサル党首とも会談した。彼は、来週には党の決定をはっきりさせるつもりだと話した。

上述した舞台裏の情報は重要であるが、一旦すべて忘れてほしい。重要なのは、6月23日にどこから風は吹くのか、ということだ。そう、問題は風次第なのだ…

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:46767 )