イスタンブル市長選TV討論、勝者はどちら?
2019年06月18日付 Hurriyet 紙

ビナリ・ユルドゥルム氏とエクレム・イマムオール氏の討論を、トルコ全国が息を飲んで見届けた。両氏のパフォーマンスはどうだったのか、2人の候補による討論は、有権者の選択に影響したのか?そしてイスマイル・キュチュッカヤ氏の司会進行はどうだったのか?イスマイル・キュチュッカヤ氏はミスをしないことに集中していた。公正に進行を行うことに注意を払っていた。ストップウォッチを使用したのは適切な判断であり、番組を妨害しなかったことが良かった。民主主義に相応しい素晴らしい番組であったが、興奮には欠けていた。

エクレム・イマムオール氏は、番組に一早く登場したことで良いスタートを切った。妻や息子と一緒の写真撮影に応じたイマムオール一家は洗練された服に身を包み、フィルムから飛び出したかのようだった。青のネクタイは今や彼のシンボルとなった。

ビナリ・ユルドゥルム氏は、番組に遅刻したのがマイナスポイントとなった。彼は、妻と娘とともに保守層へ向けてポジティブなメッセージを送った。一家の父たる貫禄があった。赤のネクタイは、自信を表すここ一番の選択だった。

番組冒頭で両候補が互いにペンをプレゼントしたのは見事な振舞いだった。番組終盤で家族写真を撮らせたのも良かった。両候補とも落選の原因となるようなミスは犯さなかったが、どちらかが明らかな優位に立てたわけではなかった。さて、この番組は有権者の選択に影響を与えたのか?私は世論調査を行う各社の代表に尋ねた。

■イフサン・アクタシュ社長[ゲナル調査社]:「AKP派の有権者は刺激を受けた」

1. 番組はどうだったか?
「全体としては良かった。かなり長い間この手の討論は行われていなかったため、トルコ中が番組に釘付けだった。」

2. エクレム・イマムオール氏のパフォーマンスはどうだったか?
「自身の立場以上のものは出せていなかった。」

3. ビナリ・ユルドゥルム氏はどうだったか?
「彼は討論の人ではない。堂々として、落ち着いた、静かな人だ。イマムオール氏(の発言)に対しずっと『それはウソだ』と言っていたのは効果的だった。番組中は良い答弁をしていた。」

4. イスマイル・キュチュッカヤ氏の進行はどうだったか?
「せいぜいこの程度だっただろう。」

5. 番組は有権者の選択に影響したか?
「AKP支持の有権者には良い影響があった。AKP派の有権者に刺激を与えた。」

■イブラヒム・ウスル総局長[アナル調査社(ANAR)]:「素敵な写真だった」

1. 番組はどうだったか?
「良い番組だったと思う。国、民主主義、政治文化に非常に大きく寄与した。」

イブラヒム・ウスル総局長は、両候補のパフォーマンスをまとめて評価したいと述べた。
「両候補とも経験不足が課題だった。イマムオール氏もユルドゥルム氏も、相手と討論することに慣れていない。
両陣営も両候補も準備が出来ておらず、放送前に、相手の弱点を確かめてこなかったようだ。
どの有権者層に向けて演説をすべきかを前もって決めていなかった。そのため、票を獲得できたであろうサブグループにメッセージを届けられなかった。」

2. イスマイル・キュチュッカヤ氏の進行はどうだったか?
「良かったと思う。とても強い政治的・社会的圧力があり、すぐさまソーシャルメディアからの圧力がかかる中で、両候補のスマートな討論を実現させた。家族写真は、テレビ的に大成功だった。トルコの政治的緊張を和らげる、素敵な写真だった。」

3. 番組は有権者の選択に影響を与えたか?
「影響しない。なぜなら迷っている有権者はいないからだ。候補たちが影響を及ぼすことのできる小さな集団はいたが、彼らにメッセージを届けることはできなかった。」

■ヒルミ・ダシュデミル社長[オプティマル調査社]:「期待以下だった」

1. 番組はどうだったか?
「期待していたものには少し及ばなかった。」

2. エクレム・イマムオール氏のパフォーマンスはどうだったか?
「エクレム・イマムオール氏はもっと良くやれたはずだ。自制していた。最も重大だったのは、オルドゥ県知事への返答だ。ウソをつき続けようとしたのが、番組中最大の不利だった。」

3. ビナリ・ユルドゥルム氏はどうだったか?

「ビナリ氏は、番組中ではより良かった。もう少しだけ相手を挑発させるような口調でもよかっただろう。しかし、そうはしなかった。そういった点で、大きなチャンスを逃してしまった。」

4. イスマイル・キュチュッカヤ氏の進行はどうだったか?
「進行はとても制御されていた。」

5. 番組は有権者の選択に影響を与えたか?
「3月31日はビナリ・ユルドゥルム氏に投票したが、6月23日はエクレム・イマムオール氏に投票しようという人々がいた。ユルドゥルム氏は自身の支持層を強固にしたという意味で、一つの結果を出せるだろう。」

■ムラト・サル社長[コンセンスス調査社]:「有権者に影響なし」

1.番組はどうだったか?
「まあまあだった。政治家たちが演出するオープンセッションというのはせいぜいこの程度だ。0対0の引き分けだ。」

2.エクレム・イマムオール氏のパフォーマンスはどうだったか?
「登場から退場までの間で特に大きな失点はしなかった。しかし、ビナリ・ユルドゥルム氏に投票しようとする人々の票を奪うことはできなかった。」

3.ビナリ・ユルドゥルム氏はどうだったか?
「ビナリ・ユルドゥルム氏は最初とても疲れているように見えた。番組に遅刻したのは良くなかった。彼のプロジェクトはとても魅力的だった。」

4.イスマイル・キュチュッカヤ氏の進行はどうだったか?
「ベストを尽くしていた。ただ、これまで一度も討論番組を仕切ったことがないので物足りなかった。しかし討論を妨害することはなく、引き下がっていた。それゆえ候補たちは感謝していた。」

5.番組は有権者の選択に影響を与えたか?
「有権者の選択に影響したとは思わない。票が一方から他方へ移ることはなかった。投票に行かない人々を動かすほどの番組にはならなかった。」

4人は以上のように述べた。6月23日、最後に意思を示すのは有権者だ。

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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:46993 )