エルドアン大統領、武庫川女子大から名誉博士号
2019年06月27日付 Hurriyet 紙


レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は日本の80の女子大を研究することでトルコでも女子教育を発展させていくと話した。

G20首脳会合に参加するため日本を訪れたエルドアン大統領に、武庫川女子大学から名誉博士号が与えられた。

武庫川女子大学で行われた授与式で講演を行ったエルドアン大統領は、大統領自身とその一行への歓待に対し大学側に感謝を示した。

エルドアン大統領は、名誉博士号を与えられたことに対して、武庫川女子大に、そして学長と理事会メンバーに心からの謝意を表しつつ、大学側から自身に名誉博士号が贈呈されたことを誇りに感じていること、そしてこの博士号をトルコと日本の友好関係の新しいシンボルとして終生誇りとともに大切にすることを述べた。

今日6月27日が日本で新たな確証を得る機会となったことを述べたエルドアン大統領は、武庫川女子大学がバフチェシェヒル大学とトルコと築いてきた親密な協力関係を強固にし、持続していくことを信じていると述べた。

エルドアン大統領は日本には800の大学があること、このうち10%は女子大であることを述べ、「これは無論、実に私たちにとってはとても意味のあることでもある。実際、我々の国にこのような女子大はない。あったとしてどうなるのかはまた別の問題だが、日本はこの点においてとても重要な例であり、現在我々が訪れている大学においても幼稚園から小学校、中学校、高校、そして大学・・・大学では1万の学生、その他でも2千の学生を抱えているということはまた別の意味を持つ。この機会に私は大学運営者、学長、理事会全ての関係者を個々に褒め称えたい」と述べた。

エルドアン大統領はG20首脳会合とともに実現した日本への訪問がこのような意義深いプログラムで始まったことに大きな幸せを感じていると述べ、G20の期間中と訪問期間中に行われる会合が国々と全人類の利益につながることを願った。エルドアン大統領は以下のように話した。
「私たちはアジアの最東と最西にある2国です。間には何千キロもの距離があるにもかかわらず、トルコ人日本人間の親密さと近い協力関係は評価されています。交通とコミュニケーションが発展した現代社会よりずっと前にも、私たちは良い時も悪い時も常に隣で支え合ってきた。異なる文化、異なる信仰、異なる言語を有しているにもかかわらず、これほどに近く、愛をもって接しあい、共通項のある2国は他に存在しない。日本人の優秀さを表わすのに「七回転んでも八回起きあがることができる(七転び八起き)国民」と言われている。日本人は勤勉さ、勇気、鍛錬と決断によってどんな困難も乗り越えてきた。歴史の中でとても辛いトラウマも経験し、日本人はいつも1からやり直してきた。トルコ人の2200年以上の歴史もまた、全く日本人と同じように1からやり直しの、灰から生まれ直す歴史である。

■「全ての困難の後は必ず楽になる」

エルドアン大統領は「私たちの信仰によれば全ての困難の後は必ず楽になると言います。また、これも私たちの信仰によるのですが、最初は難しく逆境のように見えることの多くが後になってよいものになりうると言います」と述べた。個人の政治的活動においても、トルコ国民の過去においてもこの傾向の何百もの例を見出すことができると述べたエルドアン氏は以下のように言葉を続けた。

「私自身が政治家としてのキャリアの中で,朗読した詩によって収監され、一部の人々にはいわゆる最期、終わり、死として見做されたが(注)、私たちの前には全く新しい道がひらけた。1999年にある裁判所の判決で終わりを迎えることが望ましいとされた私たちの物語は、2001年から新しいアイデンティティと活力を得てより力強いメンバーとともに、いわゆる、再び復活を遂げた。同じように、我が国の過去においても、最初は私たちを苦しめる、悲しみと困難を与えた事件がもっと後に良い方向へと導いたのを見た。私たちの歴史でレパントの海戦というのがあります。この戦いで司令官はこのように言いました。『彼らはレパントで私たちのヒゲを剃り落としたが私たちはいつの日か彼らの腕を切り落とすであろう。切り落とされたヒゲはまた生えてくるが腕は元には戻らない。』ですからこの種の敗北は終わりではなく、その後でちょうどあの日本のことわざに関して表現したように立ち上がることへの導きになる、ということがあるのです。」

今日多くの国が羨みながら見るところのトルコ–日本間の親密さの基礎が悲しい事件によって作られたと訴えたエルドアン氏は129年前に発生した、そして532人のトルコ人船乗りが犠牲となったエルトゥールル号事件がトルコ–日本間の親密な関係の始まりを導いたことを述べた。

エルドアン氏は、「私たちは政治家として、あなたたちは学者として532人の船乗りの犠牲の上に積み上げられたこの古い親密関係を強化し、新しい世代に受け継いでいく義務があります。トルコと日本の間の政治的協力関係の発展、戦略的パートナーシップの基盤強化はこの視点からとても重要です。」と述べた。

エルドアン大統領は、日本の安倍晋三総理大臣と行った会合で、2国の関係が様々な分野で深まっていることを強調したことを述べた。
エルドアン大統領は、2019年が日本で「トルコ文化年」と制定されたことに注意を促し、一年にわたってトルコの豊かな文化財産を親しい日本人に紹介する多くの活動が予定されていること、これらの最初のイベントが東京で実現することを明らかにした。エルドアン大統領は「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」と題されたトプカプ宮殿の展覧会が東京で高い関心を集めていることを述べ、三笠宮彬子女王とともに展示会を訪れることを明らかにした。

エルドアン大統領は、訪問期間中に別に東福寺において世界で最も素晴らしい7人のアーティストの一人として紹介されるアラ・ギュレルの写真展が始まることを伝え、全日本人をこの意義深い展示会に招待した。

■「シリア難民のために370億ドル以上の支出を行った。」

エルドアン大統領はトルコが位置している地域で近年痛ましい事件が発生していることを指摘し、以下のように述べた。

「我が国の南部の隣国であるシリアで8年間続く内戦によって、西部では不法移民、東部では不安定な状況に苦しんでいる。アフガニスタンからイラン、北アフリカからイエメンとリビアに広がる危険地帯に私たちの国はあります。地理的かつ歴史的、文化的そして人類に結びついた理由でこの危険地帯で発生するあらゆる事件に注意を払う義務があります。シリアとイラクをはじめとするこの地域の全ての危機において、民主主義、自由平等と権利を私たちは主張します。少し前にも知られたように、国境付近に留まっている360万人以上のシリア人、その他イラク人、アフガニスタン人を足すと400万人に達する。決して差別を行うことなく私たちは門と心を開放し、一部の人の反対はあったもののこれを実現しました。国連の計算によれば今日までシリア難民のために370億ドル以上の支出を行った。」

エルドアン大統領はトルコが過去2年間、人命救助支援において国内収入に対する割合が世界で一番になったことを強調した。

エルドアン大統領はトルコへの支援が平均で20億ユーロであることを指摘し、「この過程で残念なことに多くのヨーロッパ諸国が高い壁の後ろに隠れ有刺鉄線の後ろ側で平安を求めることを望んだ。子供達の小さな死体を抱きしめる母親や父親の嘆きや刑務所で撮影された拷問の画像、無垢な子供達の涙は、残念なことに行動を起こすのには足りない。」と話した。

エルドアン大統領は地域で、また世界で起こっている全ての危険がまず女性を標的にすること、シリアで最も高い代償を払っているのが女性であることを明らかにした。

エルドアン大統領はパレスチナで続く占領と封鎖も、最も女性たちを苦しめていると示し、「今日、イエメンで、ミャンマーで、イラクで、アフガニスタンで最も女性たちが苦しんでいる」と述べた。

エルドアン大統領は、様々な国で増加する文化的な人種差別も最大の犠牲者が女性、特に難民女性で構成されていることに注意を促し、服装や見た目の理由で最も多く差別に晒されるのも女性であることを強調した。

エルドアン大統領は、女性が道端で侮辱されたり仕事場でハラスメントを受けたり、社交の場から排除されること、同様に世界中多くの国々で女性または子供達が最悪の環境下で働かされていることを伝えた。

エルドアン大統領は「長い間安い労働力として見られていた女性たちの労働と額の汗は搾取されている。」と述べ、労働賃金から、社会的権利まで女性たちに見合う可能性が残念なことに与えられてこなかったことを述べた。

エルドアン大統領は差別の増加、女性たちを意図した排外的な政治の蔓延、家族の概念が侵食される時代にトルコとしては過去17年間で女性の権利問題において多くの歴史的改革に着手したことを強調しつつ以下のように述べた。

「個人的に、政治で問題に取り掛かる時はどこでも女性たちに寄り添った、彼女たちとの協力関係の中で動くことにいつも気をつけている。40年間の政治活動で実行したすべての成功の裏側には必ず女性たちの努力、働き、自己犠牲があります。4年と半年にわたるイスタンブル広域市長の仕事で政治だけでなく全社会的活動において女性が一番に活躍していた。12年にわたる首相時代には女性たちの問題解決をいつも優先していた。5年間の大統領生活においても同じ感覚で動いている。」

エルドアン大統領は、女性が労働、行政、生産、教育とトルコの今後に参画することを最も重要な目標としていることを述べた。

エルドアン大統領は政治への女性の参画を促すため自らが創立者であり、党首である政党であらゆるレベルで女性を優先していることを述べ、「トルコ政治の歴史の中で私たちのように女性を取り入れ、女性を優先し、より多くの女性を政治の場に据えた政治行動は他にありません。」と評価した。

エルドアン大統領はAKPの女性勢力が450万人のメンバーを抱え、とても強力になったことを説明し、「大学教授から理事会、教師職、外交職、建設業、金融業までのすべての職業の分野で女性の割合は以前よりもずっと高くなっていることが明らかになっている」と述べた。

■「公務員の女性の割合は38%を超えた」

エルドアン大統領は公務員職における女性の割合が38%を超えたことをアピールし、自らの政権の間に女性の労働参画の割合28%から約34%に、女性公務員の割合はというと25%から約30%に上がったことを報告した。

エルドアン大統領は働く900万人以上の女性がトルコをより強力な国にすること、そして生産と成功によって自信をつけるということを述べ、「もちろんこの数字は全て重要な進歩です。しかし、私たちにとって全く満足できる数字ではありません。この先も、女性が人生のあらゆる場面で正当な機会を得られるよう努力を続けるつもりです。

どんな状況においてもトルコとして民族的アイデンティティ、信仰、肌の色に関わらず、抑圧され、不当な扱いを受けている人々を守り続けていく。良心が砂漠と化した現代において人類の良心としての、権利、平等と自由のための戦いを私たちはこれからも必ず続けていく」という表現を用いた。

武庫川女子大学が自身に授与した名誉博士号が自らに、困難な戦いにおいて力と勇気を与えるものであると述べたエルドアン大統領は、「この大学またその他80の女子大を研究します。現在、大使にもこれをさせています。この研究によりトルコでも女子教育を発展させていきます。数千キロを超えてあなたたちのように良心をもった友好国がいることを知るのは、トルコが、またトルコ国民の意識も高めることになるだろう。」という評価を行った。

授与式に関して学長と大学理事会に感謝を示したエルドアン大統領は、武庫川女子大学がトルコの大学またはトルコと築いた絆をさらに強めていくであろうと述べた。

エルドアン大統領は経験の共有と学生・研究者交換プログラムをはじめとしてあらゆる分野で可能な協働を進めていきたいとも述べた。

[訳者注:エルドアン大統領は、イスタンブル広域市長時代の1997年に公の場で朗読したズィヤ・ギョカルプの詩「兵士の祈り」の一節を理由に有罪判決を受け、1999年から10ヶ月間服役した。]

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( 翻訳者:黒川なつみ )
( 記事ID:47047 )