あなたの指の中の物語-トルコ初のインタラクティブ文芸雑誌アプリ「見知らぬ乗客」誕生
2019年09月30日付 Cumhuriyet紙


あなたの旅の間中、あなたに同伴する物語の数々が「見知らぬ乗客」とともにやってくる。

「あなたはある鉄道で旅をしている。見ず知らずの誰かがあなたの隣に座り、あなたに物語を聞かせ始める、あなたもその人物の話の続きが気になってそれに耳を傾けています。」
編集長のセリム・ベクタシュ氏は、トルコ初の文芸雑誌アプリである『見知らぬ乗客』をこのように説明している。そのタイトルを初めて聞いたとき、私はパトリシア・ハイスミスの同名小説をアルフレッド・ヒッチコックが監督した、1951年製作の映画『見知らぬ乗客たち』(注:邦題は「見知らぬ乗客」だが原題は「見知らぬ乗客たち(Strangers on a Train)」であり、トルコ語の映画タイトルもこの英訳の直訳が用いられている)からインスピレーションを受けたのだろうと思った。しかしベクタシュ氏によればそれは、素晴らしい偶然だという。

■インタラクティブな文芸誌

出版印刷物において紙がもたらす可能性を逸脱したいという願いから誕生したアプリケーションは、読者へ毎月、トルコのそして国外の物語20作品に加えて、漫画作品も提供している。デジタル環境が提供した可能性によって-私にとって最も興味を引く点はここである-インタラクティブな形で物語を味わうことができるのだ。トルコの多くの人間は、ネットフリックスで配信される映画『ブラック・ミラー: バンダースナッチ』を通して、このインタラクティブ体験を発見したことだろう。『見知らぬ乗客』も読者へ、ある物語がどのように進展するのかということを、展開する各ページ上で選択するチャンスを与える。このような状況は、読者そして物語の作家のクリエイティビティの双方に好影響をもたらすだろうとセリム・ベクタシュ氏は語っている。

ベクタシュ氏は、「デジタル・ストーリーテリングには制約のない世界があります。そしてこれを私たちの手で出来る限りで利用してみたかったのです。」と述べている。古典作品への理解があることで有名なジャン出版社の、テクノロジーと文学が融合したこの新しいツールについて、ベクタシュ氏は以下のような言葉で説明をしている。
「これは私たちが全く慣れ親しんでこなかった体験です。古典作品の出版に慣れ親しんだ一人の人間として、このソフトとアプリケーションは私たちにとって全く異なる世界なのです。ユーザインタフェース設計、フレーム設計・・・これらは古典作品の出版事業では全く考えもしなかった、全く出会うこともなかったものなんです。ユーザーの体験をどのようにしてより高めることができるだろうかと私たちは悩みました。その結果として私たちは古典的な雑誌アプリとは異なりPDFの形でページを開くというようなことは採用しませんでした。ただ「スクロール」を導入したのです。なぜなら現在では誰しもがみな、何かを用いてものを読むときには「スクロール」を行って読んでいます。インスタグラム、ツイッター、新聞、ありとあらゆるものをです・・・また読書体験をより深いものとするために「アンダーライン」、「物語のお気に入り」といったオプションも追加しました。」

■「すべての人に読書体験を」

「見知らぬ乗客」は完全に無料であなたのスマートフォンへとダウンロードができます。(一つの号に掲載される)各物語の四分の一は無料でアクセスができますが、その全編を読むためには購読の必要があります。購読料は非常に手ごろな価格であるとセリム・ベクタシュ氏は語っている。「どんな人でも読書に参加できるように考えたので購読料は手ごろです。デジタル環境下のために非常に沢山の方々へとリーチすることができます、実際のところ世界中の人々に届けることができます。国外で生活をしている読者の皆様にとってこれは重要なことです。読者のみなさんは「注文をしましたが届きません」、「本屋を探しましたが見つかりませんでした」、「前号を読み逃しました」といった問題を生じず、「見知らぬ乗客」をあなたの望む場所で、ポケットから取り出して読むことができるのです。」と語る。
「アプリケーションは、あなたの読書体験をより個人的なものにする可能性も提供しています。ナイトモード、フォント、そしてフォントサイズ設定をあなたが望むようにおこなうことができます。さらにはあなたが気に入った文章にアンダーラインを引いて、違う場所に保存をすることができるのです。」

■「全ての作家の投稿にオープン」

創刊号のテーマは「間違った鍵」であるというこのアプリケーションを今あなたが手にしたのであれば、メヴシム・イェニジェ氏の「知られざる秘密」、ヒクメトヒュキュメノール氏の「私の手にはこれがある」、ミュゲ・イプリクチ氏の「鳥:虹の前と後」、キャサリン・ウェバー氏の「眠っている」とベルカン・M.シムシェキ氏の「最近の私」といった物語を無料で読むことができる。ファトマ・ヌル・カプタンオール、フアン・ホセ・ミリャス、オルチュン・ウナル、ドンナ・ミスコルタ、マリー・レンジ、エズギ・ポラト、ビュレント・アイユルドゥズ、ゼイネプ・カチャル、ブライル・リー、ファーティフ・キュラフチュ、スレッヤ・エヴレン、ハーカン・トケル、オヌル・アクユル、デブリム・フェリト・エドギュの(フェリト・エドギュ氏が長いインターバルののちに初めて雑誌に物語を掲載する。これは5号まで継続の予定だ)の物語を読むためには購読をする必要がある。雑誌は、すべての作家たちにオープンであり、作家たちが願えばすべての巻で特定のテーマに沿った物語をシェアできる。願えばテーマから離れることもできる。次号テーマは「子供のおもちゃ」になるというアプリケーションへあなたの物語を投稿するにはtrendekiyabanci.comのサイトをチェックしてみよう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
アプリの宣伝動画はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:堀谷加佳留)
(記事ID:47755)