エルドアン大統領「標的はクルド人ではなくテロリスト」
2019年10月10日付 Hurriyet 紙

エルドアン大統領は、トルコが作戦によって人口統計学的な構造を変えるだろうという主張を否定し、「私たちは、望まない場所へ誰も無理矢理送り込むことはしない。クルド人との間に一切の問題はない」と述べた。

エルドアン大統領は、人口統計学的な構造を変えているのは民主統一党/人民防衛隊(PYD/YPG)であり、彼らは戦争犯罪を犯していて、このことはアムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書でも確認されていると述べた。

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、「平和の泉」作戦を開始する以前に、「私たちは国境地帯で脅威を受けている。国境地帯で生活する人々に平和と幸福と安全をもたらすことが、私たちの責務だ。このために私たちは行動する」と述べた。大統領は、作戦に関して重大な偽情報が流されたこと、トルコが人口統計学的な構造を変えるだろうという主張がなされたことを明らかにした。また、トルコには隠された動機や計算はないと話す一方で次のように述べた。
「トルコにはそのような不安の種はない。もしあったのならば、私たちはアル・バーブやジェラブルスやアフリーンで実行していたはずだ。人口統計学的な構造を変えているのは、クルディスタン労働者党(PKK)であり、PYDであり、イスラム国(IS)である。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチも、その報告書で、テロ組織PYD/YPGは戦争犯罪を犯していると明らかにしている。私たちの計画では、難民たちは来た場所に戻らなければならない。そう考えているが、誰も望まぬ場所に無理矢理送るつもりはない。クルド人との間に一切の問題はない。」

エルドアン大統領は、セルビアからの帰国中、飛行機でセルビア訪問について述べ、アレクサンダル・ブチッチ大統領およびその一団と有意義な会談を行ったこと、6年ぶりにトルコ-セルビア-ボスニア・ヘルツェゴヴィナ3国サミットを実現したこと、第2回サミットを5月にサラエボで、第3回をトルコで開催予定であることを話した。

エルドアン大統領がユーフラテス川東部に向けた作戦を開始する前に述べた内容の概略は、以下の通りである。

隠された動機はない:
私たちの行動に隠された動機はない。アル・バーブやジェラブルス、アフリーンでこのことは明らかになった。それどころか、これらの地域をその持ち主に渡した。インフラや公共設備に多大な投資をした。ジェラブルスでは、病院から学校までたくさんの建築作業を行った。アフリーンでも私たちの活動は継続している。

計画の準備はできた:
安全地帯の目的は、国境での安全を確保することと、難民たちが自分たちの土地に帰ることだ。もし国際寄付者会議を開催することが可能なら、あるいは物的な支援が可能なら、その地域に住居を造り、人々はそこに定住することができる。私たちは、こうした行動を取るための計画を立て、その準備をした。私たちが作った冊子を、国際連合(UN)で会った指導者たちに配った。平和回廊や安全地帯で、これらの行動をどのように行っていくかを説明したのだ。「あなた方に支援をしてほしい。早急に行動を起こそう」と伝えた。彼らは「すばらしい」と言ったが、どこからも音沙汰がない。私たちはもはや遅れをとるつもりはない。しかも国境地帯は脅威にさらされている。国境地帯で生活する人々に平和と幸福と安全をもたらすことが、私たちの責務だ。このために行動する。

PYD/YPGは戦争犯罪を犯した:
本当の意味で偽情報はある。「トルコは人口統計学的な構造を変えようとしている」と人々は言っているが、トルコにそのような懸念はない。そのようなことがあるのなら、アル・バーブやジェラブルス、アフリーンでそうしていたはずだ。人口統計学的な構造を変えているのは、PKKであり、PYDであり、ISである。ISに対する闘争についていえば、シリアにおいてトルコ以外に真剣に戦っている国家はない。このことも、アル・バーブではっきりと示した。こうしたことに加え、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチも、そのレポートでテロ組織PYD/YPGは戦争犯罪を犯したと明らかにしている。

標的はテロ組織:
私たちの計画では、難民たちは来た場所に帰らねばならない。そう考えているが、望まない場所に誰一人無理矢理帰すつもりはない。私たちとクルド人との間に一切の問題はない。問題はテロ組織なのだ。現在、安全地帯に関して取ろうとしている行動の標的は間違いなくテロ組織であり、テロ組織をここから排斥することが目的だ。

ISの人物5千人を逮捕:
現在までISの人物約5千人を逮捕した。PYD/YPGの者に注目すると、彼らはクルド人だけではなく、フランス人やドイツ人、オランダ人も含まれている。こうした者たちすべてから成り立っている。

「EUは肯定的」

(EUは全体として否定的な態度とテロ組織への共感を示しているが、これらに注目したとき、どんな反応を期待するか?)
EUは全体として、現在肯定的だ。さらに、肯定的なだけでなく、たとえばイギリスは「支援も可能だ」と言っている。フランスからも同様の反応がある。

失言:(AKPのキャンプでの「福祉党」発言)
私たちは、中央決定執行委員会(MKYK)および内閣のメンバーとして夫妻たちで夕食を食べた。その食事の席で、過去から今までの思い出を語った。私も福祉党での思い出を語った。そこで知ちょっとした言い誤りがあった。それが話題になった。

「目的はテロ国家の建国」

私たちは、クルド人を殺害し虐げるテロ組織と戦っている。この点はとても重要だ。クルド人と戦い、彼らを殺害しているのは私たちではない。PYD/YPGだ。私たちは彼らとも、ISとも戦う。覚悟を決めてISと戦い続けているトルコを、ISと戦っていないかのように見せる者たちの真意を疑っている。安全地帯の建設によってISとの戦いを弱めるようなことは決してしない。むしろISと戦い続けていく。しかし私たちは、こうした言い分に隠れて南部国境にテロ国家を建国しようとしている者たちを許しはしない。彼らの目的は、ユーフラテス川の東部にテロ国家を建国することだ。もはやこのような企みをさせてはいけない。テロ組織を別の組織でもって排除することはできない。PYD/YPGはアメリカと同盟を結んでいると言う者もいる。マルクス主義・レーニン主義の組織は、どんなものであってもアメリカと友好的であると理解することはできない。私たちは、子どもの頃からアメリカはいつも共産主義と敵対していると知っている。今や、どんなものであれ友好関係を築いていると理解することはできない。

トランプ大統領の決断:
トランプ大統領は、ユーフラテス川東部から撤退すると発言した。しかしその発言から現在まで撤退はなされていなかった。ところが、現在行っている会見や電話会談でのアプローチに注目すると、もう撤退の決断は出ているものと分かった。現在行われている撤退はその証拠だ。そのことも分かった。もっと高い割合であってほしい。そして事が円滑に進んでほしい。なぜなら私たちは、アメリカ軍や連合軍と対峙するようなことは決して望まないからだ。

ツイートせざるをえない:
逮捕されているISの者たちに関しては、私たちの仲間が調査を続けている。このことは、トランプ大統領との会談でも議題になった。トランプ大統領も私たちも仲間に指示を出した。共になにができるかを仲間たちが考えてくれている。トランプ大統領は安全地帯について正しい決断をした。私たちは、10月6日の夜に行った電話会談でご本人と決断したのだ。しかしアメリカ軍と安全保障にかかわる官僚は、大臣たちの指示を実行していない。政治家やメディアは、トランプ大統領に対して圧力をかけようとしている。彼もまた、この圧力を弱めるためにツイートを通じてメッセージを出さざるを得なくなっている。私たちは建設的なアプローチをすることと、即座に毅然として行動を取ることを続ける。 

グラハム氏は不誠実:
(反トルコ的な環境とアメリカ政府の複雑な状況について)
この殿方(リンゼー・グラハム上院議員)は不誠実な人間だ。なぜなら国連総会で面会を求めてきて、私が面会を受け入れ、面会した。この面会でもそういった印象を受けた。さらに、以前トルコを訪問した際も、大統領官邸でご本人と面会した。ご本人にはモニターを使って、PYD/YPGとの戦いがどんなものであるか、この戦いがアフリーンではどのように展開しているかを説明した。彼らは多くのことを知らず、テロリストのトンネルなどについても知らなかった。帰国後、PYD/YPGがテロ組織であることや、クルド人とは関係ないことに関してメッセージ・発言があった。今はたいへん奇妙な発言をしている。その発言は、トランプ大統領を追い詰めるようなものだ。私は次のように言わざるを得ない。私は、知っていることを率直に申し上げている。彼は、私のそばでトランプ大統領に連絡をしている。トランプ大統領はそのとき飛行機の中にいる。私たちはトランプ大統領と会話した。リンゼイ氏は「今日帰国し、明日会いましょう」と言った。その後、トランプ大統領と会談をし、彼が会見をしたあと、リンゼイ氏がこの発言をしている。耐え忍ばなければいけない 。

「11月13日はワシントンD.C.に」

トランプ大統領とは互いに個人的な関係があり、この関係を続けている。続けている一方で、トルコ-アメリカ関係も強化をしようとしている。F-35戦闘機に関する発表もある。彼は「部品はトルコが作る」と言っている。現在の構図がこのようならみんなで考える必要がある。神が望むのなら、11月13日はワシントンD.C.にいて、対話の機会があるはずだ。私はこのような発言を、特定の人間からの圧力を防ぐための言葉だと捉えている。現在、初めの段階で特定の兵力が撤退しているということは、私たちに本当の意図を示している。トルコと敵対するつもりはないと言ったのだ。

「平和回廊となる」

(シリア北部で行われている活動について、トルコがとても慎重になっているのは明らかだ。タイムスケジュールに関してコメントはあるか?)
ここには実は3つの側面がある。第一に、南部国境のすぐ下をテロリストの道にさせないことと、この地帯を平和回廊にすることだ。平和回廊として、今後のプロセスを安全地帯として強化する。第二に、シリアの国土全体を守ることだ。これは断固として主張する。これは、ある者たちにとっても手本となるだろう。私たちは、シリアの一体化と団結に賛成だ。第三に、祖国から排斥され、追い出され、恐怖とともにその地を去ったシリア人たちが、もう一度自分たちの家や土地に還れるようにすることだ。以前にも話したように、「私たちはある晩突然にやって来るかもしれない。」今、私たちが時間を割くことは、こうした戦いの最中にある軍隊や国家、国民にとっても正しくない。しかし何といえばいいのか、「いつも…」 

アダナ協定:
(シリアの領空について)
領空といえば、そこにアメリカの領空はない。国際的な領空がある。そこはシリアの領空である。アメリカのものではないのだから、その領有権もアサド政権のものである。彼らは、アサド政権に招かれてそこにいるのではない。私たちはアダナ協定に基づいてそこにいる。アダナ協定によれば、政権がPKKに対する措置を取らないのならば、私たちの軍がPKKを追う権利を持つ。

「アサド政権との関係はロシアを介して」 

(アサド政権から作戦に対するメッセージはあったか?今後、協力や協働はありうるか?プーチン大統領との会談はあるか?)
シリアでのアサド政権との関係は、ロシアを介して継続している。9日にプーチン大統領と電話会談を行った。5つのセッションである行動をとった。ソチで1つ目の行動に出て、その次はアンカラで、テヘランで、再びソチで、もう一度アンカラで…、またテヘランで、という予定だ。これら全てを行う一方で、あることを強化している。それはアスタナ・プロセスだ。イドリブをはじめとする地域にむけて取るべき行動について話し合っている。シリアの権利と利益のため、そしてシリアの人々のために行動している。取っている全ての行動はそのためのものである。シリアの人々が私たちに敵対しているというのは問題ではない。シリアの部族たちは私たちがすぐにでも来ることを望んでおり、彼らはとても多大な支援を用意してくれている。

諜報組織がコンタクト:
(共和民主党(CHP)によるシリア会議と、アサド大統領との関係構築の呼びかけに関して)
つまりこの者たちは私たちのことを全く知らないようだ。シリアでは今まで100万近くの人々が命を失い、1200万人が移住している。100万人が殺害されたシリアで何が起ころうとも、私たちは協力してヴィジョンを描いていく。クルチダルオール党首は、ここにいる360万人だけが見えていないのか?この難民たちは、観光旅行でトルコに来たのではない。私たちは、彼らが自分たちの土地から逃げる原因となった者と、どうやってこのことを話し合うのか?私は話さない、それは別の問題だからだ。我が国の諜報組織は、組織同士でコンタクトをとっている。なぜか?当該地域に幸福と平和をもたらすためだ。しかし立ち上がったところでアサドを放免するために労力を割くことは、少なくとも彼ほどの大きな罪を引き受けるということだ。

「今団結しないでいつするのか?」

(ユルマズ・オズディル氏、ムハッレム・インジェ氏、ウウル・デュンダル氏などの反対派から応援のツイートがあった。)
このことはとても嬉しく思っている。これが、国家の団結した状態だ。この国の8200万人は、このようなときに団結しないでいつするのか?8200万人がそれぞれ孤立して、最終的にはテロ組織になってしまう。政治の世界でもテロ組織に背中を預けている者たちは、今回の事に関わっていない。
(クルチダルオール氏は「私たちはいやいや賛成するだろう。平和に暮らすこと以外に何をすることがあるか?」と述べた。それについてコメントはあるか?)
平和のために差し伸べた手に、もし報いがあるのならありがたいが…。無駄ならば何も言えることはない。私は、芸術家たちと他の同胞たちの助けに、一個人と国家として感謝している。

扉は開かれている:
(政党連合は変化しうるのか?)
一度連合を強化したり緩和したりするアプローチはあり得るかもしれない。私たちの願いは、人民連合という信条を墓場まで持ち続けることだ。しかしこの連合をより豊かなものにできるのなら、2023年の選挙をより力強く迎えられる。扉は開かれている。(対して野党側の政党連合の)名は「国民連合」だが、国民の支持を得られたなった連合が弱体化し、分裂することは極めて重要だ。

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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:47764 )