Sedat Ergin:米土関係、新たな対立へ―アルメニア問題制裁
2019年11月01日付 Hurriyet 紙

トルコへの経済制裁案は米国下院で可決された後、上院でも可決されドナルド・トランプ大統領による署名を経て実行された場合、トルコ・米国間の関係は歴史上最も激しい局面を迎えることになると明らかにした上で、この話題を始めよう。

同法案はトルコ軍のシリアからの撤退を求めており、トルコの高官4名に対し経済制裁を発動すると想定されている。対象になるのは、フルスィ・アカル国防大臣、ヤシャル・ギュレル参謀総長、スィナン・ヤイラ第二軍司令官、ベラト・アルバイラク財務・国庫大臣の4名だ。

条文では、これらの4名について米国内の財産の差し押さえ、米国への入国禁止、ビザがある場合その停止など、制裁の具体的な形が記述されている。

法案の内容はこれにとどまらない。米国国務長官が国防長官、中央情報局長官と話し合った結果「シリア北部への侵攻の決定に参加」、「攻撃を主導」、「侵攻を支援」した軍事及びその他の責任者のリストを作成し、このリストに載る人々も今後制裁の対象に加えることを要求している。

下院を通過した制裁案は、米国のトルコに対する武器輸出の停止、またシリアへの軍事作戦に使用される可能性がある軍需物資を供給する外国の組織に対し制裁を適用することを想定している。

先の火曜日、下院432人中403人の賛成で制裁案が可決された。共和党・民主党が意見を同一にするという珍しい展開で可決されたこの制裁案は、米国議会の複雑な議決プロセスの始まりにすぎない。

この制裁案が拘束力をもつには、上院で可決された後に議会の「共同決議」に形を変える必要がある。上院総会にはまだ議決する制裁案は上がってきていない。 しかし、上院ではこれから、今のものと異なる案6つを上院議員らが準備しており、これらが承認のために回付されていることを加味すると、今後数日間で動きがあっても驚きではない。

この間、共和党のリンゼイ・グラハム議員と民主党のクリス・ヴァン・ホレン議員により準備された制裁案は、下院を通過した案と比べるとかなり重い制裁を想定している。例えば、武器の輸出禁止の他、トルコ軍が使用する石油・天然ガスの生産に使用される技術・製品・サービスを提供している外国の個人・組織も制裁の対象にしようとしている。この制裁の対象者リストには、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領、トルコ・国家諜報機構のハカン・フィダン長官らが含まれている。

上院と下院で異なる案が提出された際には、通常では両院の代表者が一同に会した両院委員会が実施され、そこで両者が合意した内容で両院の決議が行われる。

しかし、この方法以外の選択肢がある。上院で可決されそうな法案を同時に下院でも可決すると、両院で同じ件に関する2つの法案が可決されたということになり、両院が同じ法案を可決したために2番目のものが正式な決定となる。下院で可決された法案が上院で可決されるかどうかが微妙な場合、他の可能性が生じる。

これにとどまらない。議会で可決された法案の施行には大統領の承認が必要だ。しかし、トランプ大統領は望むなら拒否権を発動できる。この場合、議会の3分の2の賛成があれば拒否権を無効化できる。つまり、下院で290人の賛成が必要だ。しかし、先の火曜に制裁案が403人の賛成で可決されたことを考えれば、トランプ大統領が拒否権を発動したとしても、それが下院で無効化するのは全く困難に見えない。

上院では共和党が僅差で優勢であるため、そこでもトルコへの制裁について強硬なムードが現れている。回付中の法案には上院の共和党議員の署名もあり、このことは、100議席ある上院で拒否権を無効化する敷居である67名の票を捉えうるということを示唆している。

忘れてはいけないのは、ロシアへの制裁を想定した有名なCAATSA(米国の敵国に対する制裁を通した対抗措置)法は、2017年に上院で賛成98票・反対2票、下院では賛成419票・反対3票で可決されている。

ドナルド・トランプ大統領の政治力は、この制裁案を上院で否決するのに十分なものだろうか?議会はトランプ大統領の弾劾に関する調査を開始し、彼の政治権力が弱まっているということは見逃せない。しかし、共同で策定された制裁案が施行されたとしても、その条文で大統領の「制裁延期の権限」について言及されるか否かが重要な問題となる。下院を通過した制裁案に、このような向きである条項が付与されている。この点からすると、上院でどのような条文が起案されるかが非常に重要となる。

もしもこれら全てのプロセスを排して、この制裁法案が議会で可決され施行されるということになれば、トルコと米国が10月17日に調印した13条からなる合意が議論を生む事態となろう。

なぜなら、この合意の第12条では、米国大統領がトルコに対する制裁を解除することができると規定されているためだ。議会がトルコに対する新たな制裁案を提出することで、政府が合意に基づいて制裁を解除する責任は無効化されることになる。こうなれば、合意が全面的に無に帰すということは明言するまでもないだろう。

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( 翻訳者:神谷亮平 )
( 記事ID:47960 )