ギュレン派の擁護者、米ロス・タウンシップ長落選
2019年11月07日付 Hurriyet 紙

アメリカで行われた地方選挙で、ロス・タウンシップ長のハワード・A・ビアーズ氏が落選した。同氏は、フェトフッラー系テロ組織(FETÖ)の幹部やその支持者が支持し、同組織のペンシルヴァニア州における「擁護者」として知られている。

ミシシッピ州、ケンタッキー州、ヴァージニア州、ニュージャージー州、ペンシルヴァニア州をはじめとするアメリカの多くの州で、11月5日に州知事選挙と地方議会選挙が行われた。
これらの選挙では、地方議員や、タウンシップ長、郡保安官、監査官といった地方指導者も選ばれるが、FETÖの幹部や高官らも住んでいるペンシルヴァニア州のロス・タウンシップ長を決めるために、同地域の人々は投票に向かった。

組織と密接に商業的関係を持っていたとして町の人々の反感を受けていた、ペンシルヴァニア州の地方指導者は落選した。

■FETÖの擁護者、選挙に敗れる

ペンシルヴァニア州のモンロー郡に属するロス・タウンシップの首長職をめぐる戦いは、既に共和党のもとで地方政治を司っていたハワード・A・ビアーズ氏と、民主党の対立候補であるジェームズ・K・ザホロイコ氏によって繰り広げられた。ビアーズ氏は地元の人々から、FETÖと密接で不正な関係を持っているとの訴えを受けていた。

アナトリア通信社(AA)の記者団がその様子を追っているこの選挙では、当該地域のFETÖキャンプ内およびその近辺に住むFETÖメンバーも投票に参加した。
提携会社のオーナーであるハワード・ビアーズ氏とかなり密接な商業的関係を結んでいるFETÖの有権者たちは、ロス・タウンシップ本庁の庭園に設置された投票所を訪れ、投票を行った。

しかし、同地域におけるFETÖの「擁護者」として知られるハワード・ビアーズ氏は、モンロー郡の公式インターネットサイトに記載された未確定の初期結果によると、およそ30年間維持していたその座を、対立候補のザホロイコ氏に明け渡した。

ビアーズ氏の対立候補ザホロイコ氏は、非公式の初期の数字によると、53%の得票率で当選したが、FETÖ派のビアーズ氏は47%の得票率で落選した。
ビアーズ氏はFacebookのページで、30年を経て一線を退き、家族や友人との時間を過ごすと述べており、落選を受け入れている。
62歳のビアーズ氏は、1990年以来ロス・タウンシップ長を務めていた。

■メルセデスの愛車で投票所へ

FETÖ幹部のフェトフッラー・ギュレンと組織幹部らが住んでいる「ゴールデン・ジェネレーション(黄金の世代)」キャンプの内部および近辺に結集し、その地域をFETÖの本部にしたギュレンの支持者たちも、今回の選挙で投票に参加した。
FETÖのある関係者は、メルセデス社製の車でロス・タウンシップの本庁を訪れ、本庁の庭園に設置された投票所で投票を行うと、再び高級車に乗ってギュレンが居住している邸宅に向かう様子が目撃された。

ビアーズ氏は、当該地域でFETÖへの支持を行ったことで町の人々から反感を受けていたが、ロス・タウンシップ長を務めていたため、また、提携会社を通じて建設作業を行ったため、FETÖにとっては重要な人物であった。

ロス・タウンシップが管轄するセイラーズバーグの町にはFETÖの本部とギュレンが住むキャンプがあるが、ハワード・ビアーズ氏は、同キャンプ内に2015年に建てられた数百万ドル相当の広大な邸宅を競売で落札した人物として知られていた。

■「王様のような待遇だった」

ハワード・A・ビアーズ氏がオーナーを務める建築会社、「ハワード・A・ビアーズ株式会社」は、この10年でFETÖキャンプ内にあるいくつかの建物の建築と、うちいくつかはリフォーム作業も引き受けており、こうした情報はアメリカ最大手の新聞でも報じられた。
米誌ワシントンポストでは、FETÖによる2016年7月15日のクーデタ未遂のあと、2016年8月3日に報じられた記事で、ビアーズ氏がギュレン・キャンプのいくつかの建物のリフォームと新たな建物の建築を引き受けたことや、FETÖを介して前妻のマーシャ・ビアーズ氏とトルコへの休暇旅行に行っていたことが明らかになった。

マーシャ・ビアーズ氏は同誌のインタビューに答え、「ギュレンの人たちが」かつてビアーズ元夫妻を指導者たちに紹介するためトルコに送り出したと話し、「ボスフォラス海峡をヨットで周り、6つ星ホテルに泊まって、一日中スパを堪能した。王様のような待遇を受けた」と述べていた。
マーシャ・ビアーズ氏は、自宅がギュレンとその支持者から贈られたプレゼントでいっぱいであることも明らかにしていた。

■「ビアーズ氏はかなり利己的な動きをしている」

ペンシルヴァニア州のロス・タウンシップが管轄するセイラーズバーグで、FETÖ幹部のギュレンとその支持者たちが不正な商業的関係を結んだことで、当該地域に住むアメリカ人たちは不快感と反感を示した。
キャンプの近辺でコストンバドル農場を営む73歳のデイヴィッド・ボンサーさんは、AAの記者のインタビューに応じ、町の行政がFETÖ関係者に対し、公共事業や認可に関して特別な対応していたことを指摘した。
ボンサーさんは、FETÖ関係者らの商業的関係は十分にチェックされていないと不満を表し、次のように述べた。
「建物を壊すつもりなのか、許可などは必要なく、やりたいことは何でもやっている。街の行政とどんな関係を持っていて、ここでどんなことが起きているのか私はちゃんと知らない。しかしこの町がこんな風に動かされるのには納得がいかない。彼らのしていることを私がやっていたとしたら、国はとっくに私を許していないはずだ。」
ボンサーさんは、ハワード・A・ビアーズ氏の組織関係者との商業的関係と、組織を擁護する彼の役割について強調し、「ここではたくさんの政治的な企みが動いている。(ビアーズ氏は)かなり利己的な動きをしている。事態をこのままにしてはならず、この状況はいわゆる二重苦だが、まさにそうだ」と述べた。

自宅の改築を一切許可されなかったことについて提訴し、その後家を失い、うつ病になった町の住民、ロックニー・ニュエル2013年にハワード・ビアーズ氏が議長を務める議会に乗り込んで3人を殺害し、ビアーズ氏にもケガを負わせた。
ニュエルは警察に対し、障害があるから働くことができず、お金がないから弁護士を立てたり新しい家を買ったりすることができなかったと供述し、全てを失ったから凶器による攻撃に臨んだと話した。

■記者からの質問に応じず

ハワード・ビアーズ氏は、2010年に「ポコノ・レコード」誌のインタビューで、週に6,7回はFETÖのキャンプを行き来しており、自身が行っている建築現場を訪れていると述べていた。
AAの記者団は、昨年FETÖキャンプのすぐ近くでビアーズ氏を撮影し、同氏に対してFETÖとの関係について、また、建築・改築に関して自治体から公式の許可や認可を受ける際に特別な対応を受けているとの主張について、質問を行った。
ビアーズ氏は、高級なピックアップトラックから降りることなく、質問には一切答えたくないと述べ、その場を済ました。

■1999年以来ペンシルヴァニア州で生活

FETÖ幹部のギュレンが1999年以来住んでいる「ゴールデン・ジェネレーション(黄金の世代)」という名のキャンプは、ペンシルヴァニア州のロス・タウンシップの境界にまたがるセイラーズバーグにある。
モンロー郡にある16の自治体の1つであるロス・タウンシップの人口はおよそ5500人だ。これらの自治体は、6年の任期で選ばれる行政官によって運営され、当該地域の登記や公共事業、衛生といった地域規模の事業を管理している。

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( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:48002 )