Abdulkadir Selviコラム:コロナ禍の中のアンケートは何を示す?
2020年05月20日付 Hurriyet 紙

コロナウィルが、健康分野のみに影響を及ぼしているとお考えなのであれば、それは間違っている。

恐らくは、健康問題同様に、経済でもその影響は明らかなものとなった。それは政治をも形づくっている。ジェナル(GENAR)は4月28~5月3日に3000人に対してアンケートを実施し、このアンケートはコロナウイルス禍における日々の政治を明るみにするものである。読者の皆様を数字で辟易させることなく、一般的な動向をここにお伝えしたく思う。

■エルドアンに対するHDPとSP支持者の関心

「あなたが最も好きな政治家」のアンケートではエルドアン大統領は第一位につけている。36.2%で第一位につけているエルドアン氏は、最も近しいライバルへ4倍もの差をあけている。トルコ政界は、エルドアン支持者と反エルドアンの間で分極化したために、以前のアンケートでは、他政党からエルドアン氏へは多くの支援がきておらず、自身の支持基盤が高い割合で支援をしていた。部分的に民族主義者行動党(MHP)支援者が関心を示していた。今回は他政党の支持基盤からも支援が見受けられている。人民の民主主義党(HDP)と至福党(SP)の支持層に、とりわけ注意を引きたいと思う。エルドアン大統領がコロナウイルスとの闘いで見せた力強いリーダーシップは、彼と他の指導者との間を何倍にも広げる理由となった。エルドアン氏は危機を統率するキャパシティが非常に高いリーダーなのである。 更には、力強いリーダーのお陰で国が抱える諸問題において国民を自身の周りに取り囲むことに成功している。私たちは国外へと軍を派遣した「オリーブの枝作戦」、「平和の泉作戦」において、またエルサレムの信任投票において、このことを目の当たりにした。勿論のこと力強さだけでは十分ではない。また危機に際して成功を収める必要があるのである。その逆を考えてみてほしい。もしもパンデミックのプロセスでトルコの医療制度が崩壊してしまっていたら、どうなっていただろうか?

■クルチダルオール氏の共同者

エルドアン大統領の後に、当然の成り行きとして二番目の順位には主要野党のリーダーとして共和人民党(CHP)党首のケマル・クルチダルオール氏がくることが予想される。しかしながらそういう訳ではない。クルチダルオール氏は以前に1-2段も後方につけていた。今や8番目の順番へと後退した。この間に、クルチダルオール氏は酷い過ちを犯すことはなかった。このため、ゲナル調査会社社長であるイフサン・アクタシュ氏に電話をかけて、理由を尋ねた。「エクレム・イマムオール・イスタンブル市長とマンスル・ヤヴァシュ・アンカラ市長は、クルチダルオール氏の点の一部を奪った」と語った。イマムオール氏とヤヴァシュ氏は、クルチダルオール氏より上位につけている。

■保健大臣が成功を収めている

コロナウイルスのプロセスは私たちの健康の話のみに留まるものではなく、同時に保健相の重要性をも明らかにした。トルコが世界で最も強力な健康システムをもつ国のひとつであることが明らかになった。ここでは医師たちの果たしている役割というのが非常に大きい。トルコに関する不満をアメリカに訴えたCHPのバルシュ・イヤルカダシュ氏は一体何を考えているのか?CHPの支持者たちは彼らのように考えてはいないからである。コロナウイルスとの闘いで、私たち国民の75.7%は、保健相がとった対策に満足を感じている。私たちの健康システムを信頼している人々の割合は、それより1ポイント上になっている。CHP支持者の61%が、 HDP支持者の37%が、善良党支持者の82%が、保健相がとった対策が十分だと考えている。[この件に関し]MHPでは85.7%、AKP支持者では89.5%と上昇している。

■保健相への支援

保健大臣のファフレッティン・コジャ氏の得点は、5段階評価における4.37であると言いたい。またCHP、善良党、HDP支持者たちからもファフレッティン・コジャ氏に対しての力強い支援がある。国民は奉仕する人を好むのである。

■エルドアンは11月1日前の流れを掴む

コロナウイルスとの闘いのみに関連するのか、それはわからないが、[2018年]6月24日の総選挙に較べると、AKPの支持率は2.8%上昇したということが明らかになっている。45.4%に上昇したAKPと9.8%のMHPの支持を集めれば「共和連立」への支持は55.2%に急上昇する。

さてこの国では一年前に地方選挙が行われた、AKPはイスタンブルとアンカラを失った。一年で何が変わったのか?このこともイフサン・アクタシュ氏へと問いかけてみた。「CHPは地方選挙で手中に収めた流れを失ってしまった。」と語った。これにはエルドアン氏が地方選挙の後に成功を遂げた手だてをとって風を背負うことに成功したことの影響も大きいと考える。他政党からも支援を得たエルドアン氏の支持率は、「共和国連立」以上であるように見える。エルドアン氏は、[2015年の]11月1日の総選挙前の流れを掴んだのである。

■アクシェネル氏とクルチダルオール氏の動き

私は野党のリーダーたちもこのことに気が付いていると考える。クルチダルオール氏も、善良党党首のメラル・アクシェネル氏も、戦略的な動きをみせて状況を変えようと取り組んでいるからである。アクシェネル氏からも、「国家一致会談」の提案がやってきた。クルチダルオール氏の経済に関する提案の数々は、注目を浴びなかった。しかし、早期選挙が生ずれば、善良党へCHPの国会議員たちを貸し出すのと同時に、アリ・ババジャン氏とアフメト・ダウトオール氏の党に国会議員たちを貸し出すことが出来るとのクルチダルオール氏の発言は肯定的に受け止められなかった。ギュネシ・モーテル事件を想起させるため、反発を受けた。

■政党の得票率制限は引き下げられるのか?

まずMHP党首のデヴレット・バフチェリ氏は、選挙で[政党が獲得すべき10%の]得票率制限が引き下げられ、政党法が変更されるよう望んだ。バフチェリ党首は、ババジャン氏とダウトオール氏の各政党が選挙に参加するため、国会議員を貸し出すというクルチダルオール氏の発表に激しく反発した。クルチダルオール氏が自らの国会議員を使って取り引きを行うことに対して、非難した。更に厳しい反発は、エルドアン大統領からやって来た。国会議員を使った取り引きを行う者、テロ組織と連帯する者にとって、最期が訪れていると語ったのである。

これらの発言は、[単に]政治的に語られた言葉とはなりえまい。明らかにこうした発言[を受けて]政治的結末が生じるはずの言葉であった。一体、選挙の得票率制限が引き下げられ、政党法が変えられるという方向での作業はあるのかと舞台裏を探った。まだ始まってはいないようである。だがこのことは今後も始まらないということではない。過去の選挙で得票率制限を超えられないと考えた諸政党は、連立を組んで、「合体ロボ」を作り出した。またさらに1%の得票率の政党も、このようにして国会に入るというチャンスを手にする。また選挙の得票率制限は民主主義の欠損でもある。そのため引き下げられなければならない。私はバフチェリ氏とエルドアン氏がこの発言を唐突に行ったとは考えてはいない。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:49129 )