トルクメニスタン大統領の自動車に関する奇妙な命令
2020年07月13日付 Hamshahri 紙


 トルクメニスタンの路上ではまもなく暗い色の自動車を見るのは稀になる。所有する暗色の自動車を白く塗り変えるため、多くの運転手が修理工場に殺到している。同国大統領が白を特に気に入っているからだ。

【ハムシャフリー電子版】ジャマーラーン[イランのニュースサイト]によると、ドイチェ・ヴェレ[訳注: ドイツ国営の国際放送局]は、グルバングル・ベルディムハメドフ同国大統領は白い自動車を大変好んでおり、政府役人や警察は国民に対し、所有する自動車を白くするよう求めている、と報じた。国民は現在、自動車の色を白くするため、修理工場に殺到している。或いは、早急に所有する自動車を売り払おうとしている。

 インターネットサイト「Chronicles of Turkmenistan」を運営する人権活動家ファリド・トゥフバトゥリン氏はドイチェ・ヴェレに対して「年が明けてから、白い色の自動車のみが許可されると噂になっている。この国の人々はこの噂を信じている。」と話した。

 同氏は更に、「トルクメニスタンは世界で最も独裁的な国家の一つだ。同国大統領の命令には法的効力があり、大統領の言葉は法に明記されることなく直ちに実行される。」と述べた。

 野党トルクメニスタン共和党党首ヌルムハメド・ハナモフ氏はトルクメニスタン国外で活動している。同氏はドイチェ・ヴェレに対して、「トルクメニスタンでは国会で可決が必要な特別な法律はない。大統領が口頭で命令を出せばそれで事足りる。」と語った。

 同国大統領は、二年以上前の車両を輸入することを禁じる命令を出した。

 人権活動家トゥフバトリン氏は、「女性もまた自動車の運転を非公式に禁じられている。そして今度は暗い色の車が非公式に禁じられた。不文律により今や、自動車の色は白、ベージュ、黄、もしくはシルバーでなければならない。」と語る。

 同氏は「交通警察は暗い色の自動車の持ち主に早急に自動車の色を白くするよう求めている。」と話した。

 同氏によると、警察はこの問題を運転手から罰金をとる口実にしている。また、小都市では罰金を回避するため、人々は自動車を白くするか売り払うことを余儀なくされている。

 同氏は、もしこのような法が正式に制定されれば、自動車の価格は2、3倍に上がるだろうと予想する。また同氏は、この問題は、自動車の色を塗り替える塗装サービスの費用が驚くほど増加する原因となるだろう。修理工場の多くは大統領に近しい者が経営しているからだ。

 ハナモフ氏も、「自動車の塗装にかかる費用は安くない。需要の高まりを鑑みて、これらの修理工場は価格を引き上げている。また、多くの非就業者にとって、自動車は唯一の収入源である。彼らは自動車をタクシーとして利用しているのだ。こうした禁止事項は、多くの家庭にとって困難で金銭的に厳しいものであり、そのため、大統領の白贔屓はこうした家庭にとっては害悪以外のなにものでもない。」と述べている。

 中央アジアの首脳陣の中でも、最も奇妙な人物はサパルムラト・ニヤゾフ前トルクメニスタン大統領であった。彼の命令の一部は未だ同国内で法的効力を保持している。一方、2007年に大統領が交代した後も、同国内では同氏の個人崇拝がいまだに続いている。現大統領は彼の家族の像を建立するよう指示した。ベルディムハメドフ氏は、国内の士官学校で祖父マリクグル・ベルディムハメドフ氏の像を自ら除幕した。

 同氏は生まれ故郷のヤーズギート村[訳注: 元のペルシア語記事ではYāzghitと表記されているが、日本の外務省によると「ババラプ村」となっている]に彼の父の名を冠した学校を設立し、父の像を建立するよう指示した。彼はまた、過去十年間で何冊もの本を出版している。また「我が白き薔薇よ、君のために」という恋愛ソングを歌っている。

 ハナモフ氏によると、トルクメニスタン当局はアシュガバード唯一の国立サーカスと科学アカデミーを閉鎖し、高齢者は伝統的にその子供が面倒を見るべきという考えのもと、高齢者への年金支給を廃止した。

 一方大統領の支持者達は、大統領が白や明るい色の自動車をより好むのは、トルクメニスタンの気候は気温が高い故に白い車を運転する方が理に適っていると考えているからだと主張する。

 しかしファリド・トゥフバトリン氏は、この推論は自動車に空調機能がついていない時のみに当てはまる考えに過ぎないと述べている。

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( 翻訳者:KM )
( 記事ID:49573 )