イスタンブル協定とメディアのフクロウたち
2020年07月27日付 Cumhuriyet 紙

イスタンブル協定は、もはや周知の様に、署名した諸国に、「女性に対する暴力を阻止し、暴力から保護し、暴力行為を調査し被害者を支援するメカニズムを構築する」責任をもたらす国際的な協定である。普遍的な価値を基礎に据えて、女性の人権を強化するものである。

2012年に調印され2012年8月1日に施行されたこの協定の正式名称は、「女性に対する暴力とDVの阻止と対策に関する欧州評議会協定」である。しか し、協定に最初に署名し国際会議の主催国であったトルコでは2019年から反動的な書き手や団体は、「女性に対する全ての差別廃止に貢献し、女性の地位向上、真の意味での男女平等を促す」目的をもつこの協定を激しく非難し、廃止することを望んでいる。

■統合失調的な発言

彼らが訴える理由の中には、「イスタンブル協定が古典的なトルコ女性と家族の構造、あるいは古典的なイスラムの家族とムスリム女性の価値と大きな相違を提示していること」がある。

出生に由来する、生物学的で「生来的な相違を否定することは、イスラムの原則である既婚女性と未婚女性を分け、男性を性的平等の中で考えない」類のことからは出鱈目にあたる。これに加えて、メディアのフクロウたちは、「イスタンブル協定による女性に対する暴力の阻止という名のもとで、社会の中性化が努められ、家族なき社会が訴えられ、このことが、ある種の十字軍のゲームであり、イスタンブルの征服の復讐であり、再試合であるという意味を帯びる」といった統合失調症的な発言を行った。彼らは加えて次のようにも述べている。

「そもそも陰謀の発端はイスタンブル協定以前の女性差別撤廃条約(CEDAW)である。CEDAWも家族を消滅させるプロジェクトである。家族を崩壊させる攻撃の基本的な目的は、生来性への戦いである。つまり、神の創造に対する反意である。ムスリム達よ、気を付けなさい。」

「彼らは、全世界の社会的な男女平等を加速するために次々に新しい試みを始める中で、この件を、LGBT作戦に、男女平等の体裁を装った中性化・不道徳化作戦に変えようと努めている。」

さらに、「世俗的生活という名の下で逸脱を国の手によって無理強いし、あごひげ・口ひげの禁止を敷いて我が国民の中性化を進め、特に軍人と警官が女性化された男性のように見られるように努めている」と主張する。その後、7月21日付の新聞に「公務員にあごひげの許可が出た」という知らせが掲載されているのを私たちは目にしている。

■女性たちは気付いている

メディアのフクロウ達は、女性が職業生活を送ることにも反対している。「女性達を一切必要ない際、職業生活に無理に押し込むよう努めたことは大きな破壊に導いた。家族を亡き者とする諸々の法律が制定されることや、イスタンブル協定といった、ムスリム国家でスキャンダルとなるような諸行為が躊躇なく実行されている」と非難している。

彼らはもはやイスタンブル協定のみならず、彼らによると、「家族の根底を揺るがす」トルコ民法、トルコ刑法、女性差別撤廃条約をも廃止するために、何万もの署名を集め続けている。

アヤソフィアがモスクに変えられ、一県に複数の弁護士会が作られることを法制化し、世俗主義やカリフ制の再考を求める議論を行ったりといった正気に見えない様々な行為、男女平等を担保するため作られた法律や協定を廃止しようという数々の試みは、本紙の尊き執筆者が触れたように、「政治的イスラムが怒りに盲目となったことの証左である。」

こうした危険に気付いている女性達は、常識的に夏期休暇を行って、議論の場をメディアのフクロウ達に譲っているため、通常よりも一層注意が必要である。より強力な抵抗を見せて長年の努力と蓄積の末に手にした諸々の権利を決して手放してはならない。

(ネジラ・アラト教授の寄稿記事)

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:49643 )