幻の町キプロス・マラシュ、年末めどに開放へ
2020年08月07日付 Hurriyet 紙


キプロス島の1974年以降に閉鎖された「ゴーストタウン」として知られるマラシュは、市民生活を再開するため口火を切った。トルコ政府と北キプロス・トルコ共和国(KKTC)政府は「軍事管轄区」にあるマラシュの地位を変更する決定をした。

北キプロス・トルコ共和国の権益を保護する目的で東地中海において続々と重要な手を打つトルコは、KKTCの経済成長と発展のために口火を切った。マラシュの開放は、フアト・オクタイ副大統領と北キプロスのエルシン・タタール首相との間で行われた会談の最重要議題となった。重要な会談の後に発表された声明では、「マラシュをできるだけ早く開放するという方向で作業を加速させていく点で見解が一致した」と発表された。

■タタール首相:エルドアン大統領注目

トルコでの接触の後、KKTCで発表を行ったタタール首相は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領もマラシュの開放を注目していると話した。タタール首相は次のように述べた。

「私たちもマラシュの開放を検討しています。今後、必ずマラシュの開放があるでしょう。基本にあるのは、マラシュがKKTCの治世下で再居住化されるということです。これらはアンカラでの会談で明確にされました。この流れを注目していきます。」

マラシュの開放に関して文民・軍関係者との間で長時間の会議が執り行われた。会議の末に明らかになった事項に沿って、トルコ政府およびKKTC政府は共同の措置を取ると決定した。これを受けて、KKTCの閣議は、作成された報告書に則ってマラシュ地域の軍事ステータスを「民間」に変更するため作業を開始した。

■再建される地域

マラシュ地域のステータスが変更された後には、1974年以前にマラシュに土地をもっていた人々に呼びかけが行われる。マラシュで私財紛争が起こった時点以降について、KKTCの不動産管理委員会(TMK)はことに対処することになる。キプロス共和国の住民たちはTMKに訴え、問題解決を模索中である。KKTCワクフ管理局も地域の「ワクフ地」に関する措置を講じる予定だ。町の開放に伴い、一部の建物は所有者によって改修され、また一部は再建のために取り壊される。

■46年間の閉鎖

46年の間廃墟となっていたマラシュは、かつては豪華な高級車、豪邸、国一番のビーチとハリウッドスターたちも愛用した七つ星ホテルがある場所だった。「ゴーストタウン」としても知られるマラシュは、国連安全保障理事会の決定に従い居住と移住の双方が禁じられていた。

■地中海のラスベガスだったマラシュ

マラシュは地中海のラスベガスとして知られていた。1974年に閉鎖される以前には、マラシュには1万のベッド数を備えた45のホテル、60のアパートホテルがあった。キプロス観光業の58パーセントがマラシュにあった。3000の商業施設、99の娯楽センター、143の行政事務所、4649のプライベートハウス、21の銀行、24の劇場と映画館、380の建築途中の建物、英語・ギリシャ語・トルコ語の8500冊の蔵書を誇る図書館も存在した。全長8kmの砂浜のビーチがあるマラシュは、1974年までは地中海のラスベガスとして知られていた。今では「ゴーストタウン」と呼ばれる町は、1974年に[トルコ共和国による]キプロス平和作戦以後、国連安全保障理事会の決定に沿って定住が禁止された。マラシュがかつての状態に戻るには約100億ドルが必要とされている。

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( 翻訳者:木内唯理 )
( 記事ID:49703 )