トルコ文学:トルコ文学史上初の小説が現代トルコ語に―オスマン末期のジェンダー文学『ジェラルの夢』とは?
2020年07月23日付 Yeni Safak紙


私たちの文学において先駆的な存在であるレジャイザーデ・マフムト・エクレム氏の兄であるメフメト・ジェラル氏が著した『ジェラルの夢(Hayal-i Celal)』が、遂に陽の目を見た。文学者のエンギン・クルチ氏は、140年前に書かれた作品を現代トルコ語へと蘇らせたのだ。

文学界に新たな興奮がもたらされた・・・コチ大学出版から「奇妙な事象」というカテゴリー内で『ジェラルの夢』といタイトルの書籍が刊行された。サバンジュ大学のエンギン・クルチ氏が、ラテンアルファベットに転写し、文章表現を読みやすくした本の作者はと言えば我が国の文学において初のリアリスト小説である『車好き(Araba Sevdası)』の作者であるレジャイザーデ・マフムト・エクレム氏の兄であるレジャイザーデ・メフメト・ジェラル氏なのだ。213頁の長さの作品は、トルコ語で出版された史上初の小説の一つであるという特徴を有している。『ハヤーリ・ジェラル』の冒険をクルチ氏に伺った。

■文学の潮流の常識が塗り替えられた

この作品は私たちの文学の歴史の知られている潮流を変えるものだと言えるのでしょうか?

―間違いなくそうです。今日発見されたこと以上に、140年間に渡って忘れ去られていたという事実の方が一層注目すべきことのように私には思えます。
現代トルコ文学の黎明期に執筆された小説の数は決して多くはありません。その時代に書かれた『ジェラルの夢』も無視しなくてはならなかったり、その他の作品に劣る側面は全くありません。なので、今後このようなその時代に関しての諸研究は、この小説へ、取り上げたテーマの数々そして、そこにもたらされた興味深いパースペクティブに言及することなしに行われることはないでしょう。

■彼は「小説」を書いていることを知っている

この作品は私たちの文学においてどのような重要性をもつのでしょうか?

―作家は、レジャイザーデ・マフムト・エクレム氏の兄です。レジャイザーデ家において更にもう一人小説家がいるということが分かったのです。本はヒジュラ歴の1290年、つまりは1873-1874年というかなり早い時代に出版されました。この意味において現代トルコ文学の最も早いものの一つという特徴を有しています。しかしながら最も注意を引くに値する特徴というのは、作家が本に書いた「エピローグ」で使用した表現に隠されています。そこでは「私が考案して執筆しそして印刷をして皆様に届けたこのような‟小説(roman)”
へ・・・」と作家は言うのです。これがどうして重要なのでしょうか?
同時代においてナームク・ケマルは『新生(İntibah)』という小説に書いた序文において「フランス語では物語(Hikaye)のことを‟小説(roman)″という」と書いています。その後にハリト・ズィヤ・ウシャクルギル氏が執筆した「物語(Hikâye)」というタイトルの研究書のテーマもまた実際のところ小説なのです。つまりは、種類ごとの区別にまだはっきりと名称がついていなかった過渡期において、小説を書いているということに意識的であり、そしてそのことをそのように名付けた作家の小説なのです、『ジェラルの夢』は。

■小説の中身について言及してもらえますでしょうか?テーマそして、スタイルの観点からどのような姿が経ち現れてくるのでしょうか?

―小説の中心においては「結婚」のテーマがあります。より正確にいえば、ある若者が彼がおこなった不適当な行為によって、このために社会的な様々な関係性さらには周囲の敬意をも失い、そして結婚をしようとすると異なる社会層によって罰せられるという物語を読むことになるのです。この枠組みでは、読者にオスマン帝国末期の社会における有効な結婚の慣習、社会におけるジェンダーのコード、さらに男女関係に関する非常に興味深い視点を提示しています。そしてまたその問題を各個人のせいに帰するのではなく、この諸関係を規定するシステムに見出し問いただしているのです。

(『車好き』の23年前に出版された本は、作家がまだ若い頃に亡くなったために(1838-82)忘れ去られたと推測されている。)

■スノビズムの概念が前面に

クルチ氏は、兄-弟の間の作家の関係性については以下のように語っている。「小説というジャンルに属する作品を生み出したことは共通の特徴です。またこの作品群の間における一時期の関係性は「スノビズム」のテーマに見いだせます。レジャイザーデ・マフムト・エクレム氏は、『車好き』の小説における主人公であるビフルズ・ベイを通して「ヨーロッパかぶれのスノビズム」タイプの最も有名な例の一人を提示しています。この小説の23年前に兄が書いた『ハヤリ・ジェラリ』もまたシェイダ・ベイというキャラクタ-において、特にヨーロッパかぶれではないものの、スノビズムのタイプの最も早い例を見ることが出来ます。

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(翻訳者:堀谷加佳留)
(記事ID:49924)