トルコ映画:これは映画にして残さなければならない物語―シリア紛争の死体写真家の映画『フラッシュメモリ』公開
2020年10月29日付 Hurriyet 紙


今年映画ファンと8度目の邂逅をするボスフォラス映画祭は、映画の上映会とスペシャルイベントの数々と共に続いている。

“#ありとあらゆることに関わらず(HerŞeyeRağmen)”というスローガンと共に受賞作品の数々を映画ファンに邂逅させている映画祭は、文化観光省映画総局の協力とアナトリアエージェントのグローバル通信の共同によって開催されている。フェスティバルの6日目に監督のデルヴィシュ・ザイム氏がシリア内戦の最初の時期に起こった事件の数々を物語った『フラッシュメモリ(Flaşbellek)』の上映が、映画スタッフの参加とともに行われた。

カドゥキョイ・シネマで行われた上映会において監督のデルヴィス・ザイム氏は、ラインプロデューサーのエムレ・オスカイ氏、俳優の一人であるハニン・アバジュ氏、アリ・スレイマン氏、ナディ・ギュレル氏、ムハンメド・ルフ氏、フサム・アリ氏が観客の質問に返答した。

■「シリアは、私たちの真横でそして私たちをダイレクトに影響を与える問題の一つだ」

監督のザイム氏は、シリアで起こっている事態がスクリーンに反映されることが必要だと述べながら、「これは私たちが行わなければならないことの一つだ。なぜならばすぐ隣でそして私たちにダイレクトに問題をもたらす事態の一つであるからだ。この映画とともにトルコ映画界において一つの初めてとなる試みに挑みました。『シリアにおいて、本当は何が起こったのか?』という問題を取り上げてみようとしたのです。非常に複雑な問題ですが、私たちは出来る限りに冷静な形でそれらをスクリーンに反映させようと尽力しました。」と語った。

ザイム氏は、映画を7週間程度の期間で撮影をしたものの映画の準備には4-5年を要したと語った。」映画の各場面において暴力が前面に出ないように配慮したと強調したザイム氏は、「沢山の殺戮や死を提示はしませんでした。暴力が謳われたり暴力のポルノグラフィを行うことは望みませんでした。戦争における暴力を観客たちに感じさせないことが必要でしたが、このことを行う際に非常に気を付けたのです。」という表現を用いた。

ザイム氏は、メインキャラクターの一人が、話ができないことについても言及をして言葉を以下のように続けた。「この映画において同時に語ることのできない人たちもまたメタファーであると考えています。なぜならば、自分自身の物語を語る事のできない人たちの物語を説明するということについて頭を悩ませていました。メインキャラクターが話をすることができないのをご覧になるでしょう。語ることのできる唯一のものはオバマの声なのです。ここにも一つのアイロニーがあります。真実を描くときにアイロニーを、コメディを、メタファーを用いたのです。真実をただ純粋な形で固定しようとはしませんでした。
ネオリアリズムのスタイルにはなりませんでした、そうならなくてよかったです。これも私を幸福にする理由の一つです。」

■「フラッシュメモリ」の映画について

シナリオをデルヴィシュ・ザイム氏が手掛けた『フラッシュメモリ』の俳優陣には、セレン・バキリ、アリ・スレイマン、セラ・エル・ドビュシ氏そしてフサム・チャダト氏が名を連ねている。

映像監督のアンドレアス・シナノス氏が、編集はアイリン・ゾイ・ティネル氏が、美術監督をスラ・カラジャ氏とセダ・サチュル氏が担当した映画は、シリアにおいて50万人以上の犠牲者が出たにも関わらず今も続いている戦争を物語っている。

現実の事件を題材にした物語の登場人物たちは根深い軋轢のために消耗し、緊張と不確実性に満ちた未来に一歩を踏み出そうとする一方で、映画では戦争の際に負傷したために話すことができなくなったアフメトに降りかかるアイロニックな物語が基幹をなしている。

10月30日に閉幕する予定のフェスティバルのプログラムの詳細には、www.bogazicifilmfestivali.comのアドレスからアクセスが出来る。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:50148 )