Sedat Enginコラム:ようやく発表の感染者数、過去にさかのぼるべき
2020年12月02日付 Hurriyet 紙

保健省が隠ぺい体質の政策をやめて、COVID-19テストで陽性となった全ての感染例を先週から発表し始めることによって、初めて感染規模を、データベースでより現実味のある形で私たちは見始めるようになった。

このようにして、実際の「感染者の合計」が、つまりはCOVID-19テストが陽性となった全員の合計が「感染者」として発表されることで、テストが陽性で症状を示した人たちの4倍以上にのぼるということが明らかになった。例えば、先週水曜日の夜に行われた発表では、一日に2万8351人の陽性者、この内6814人の[症状を示す]「患者」数が通知された。陽性者数は、発症患者数のおよそ4.2倍の多さである。この割合は、その後数日以内に4.5倍に、さらにはこれを上回った。

■世界のランキングでトルコが上位に

勿論のこと、[発表の上で]透明性に転じた結果、COVID-19の感染件数に関連して作成される世界的な指標データ上のランキングでトルコの位置が一挙に上昇することになった。トルコは、以前に患者数[のみ]を発表していたことで、患者のみならず、テストで陽性となったすべての感染者数を、透明性をもって発表していた特に西側諸国の大部分に較べ、こうしたランキングで下位に位置していた。

この光景は一週間で部分的に変化した。例えば、国際社会で頻繁に参照される「ワールドメーターズ」ランキングでは、トルコは陽性者数全体を発表する前に24番目に位置していたが、陽性者全体が発表されると、いきなり18位に浮上した。また非常によく参照されるアメリカ合衆国の高名なジョンズ・ホプキンズ大学のデータベースにおけるランキングでも同様の状況が生じた。

これに対して世界保健機構は、保健省が既に感染者数を発表したのにも関わらず、未だに患者数を基にして、感染者数として提示し続けている。トルコは昨日、世界保健機構ランキングで22番目であった。

■実際の位置は更に上位に

ただ、世界保健機構のほか、その他のデータベースも未だに本当の状況を反映しているとは言えない。つまりはこういうことだ…。こうした諸組織もまた、保健省が感染者数を発表し始めた先週水曜日の夜まで、省が伝えた「患者数」で良しとしていたのであった。

数的に更に膨らんだ感染者数の発表が開始されると、ワールドメーターズ、ジョン・ホプキンズいずれも、11月24日までの患者数の総計(46万916人)に新たに発表された感染者数を加え、これを「合計感染者数」として発表し始めた。このこともまた、毎日3万人周辺の数がこの合計に規則的に付け加えられるという結果を生んだ。一昨日時点で、トルコの合計数はこのデータベースでは63万8千847へと増大したのである。6日間の増加は17万8千に近いものである。

ここでの問題は、11月25日以降、全感染者数が付け加えられた11月24日時点での累計総数は、過去の-感染者総数ではなく-主にこの一部割合を反映した患者数のみを含んでいることである。ある意味、発症患者数と感染者数と、二つのカテゴリーが生み出されたことが生んだ問題を孕む状況が存在している。11月24日にまで累積した合計46万程度の患者数が、実際には何件の感染者に対応するのかがわからない。

感染者数が先週水曜日以来の発表で6日間で17万8千程増大し、トルコをランキングであっという間に6段階も上昇させたことを斟酌すれば、この方法をさらに過去に遡って取り扱えば、我が国の感染者数の合計を、このランキングで非常に高い場所へと押し上げることになると予想することは間違いではないはずだ。

■遡って推測する試み

保健省は、未だに遡って感染者を公表はしていない。同省ではこの方向で作業が行われて、これらのデータが今後公表可能と言われている。

しかし未だに公式の発表がないとしても、私たちは幾つかの推測を行うことが出来る。例えば、全感染者が公表された11月25日以前に遡って、 この日の合計患者数に、一定の割合を掛け合わせることで予測数を得ることが出来る。医療関係者の間では、感染者数を割り出すのに合計患者数に通常5を掛け合わせている。だがトルコで発表された最新の数字は一般に4.5倍といった割合を持ち込んだ。

この点で、非常に困難なことに目を向ける必要がある。保健省が感染者数の発表から患者数の発表へといつ移行したのか、という点が明らかになっていない。省は、公表の際の用語を7月29日に変更したとしても、数字上の移行が更に以前に行われていた可能性が高い。グラフを眺めると、感染者数が上昇する中で突然下落に転じた7月初頭を、感染者のうち患者数のみを発表し始めた移行開始点として捉えられよう。

転換日について推測してみよう、好意的に捉えて6月30日にまで全感染者数が発表されたと(19万9906件)と考えてみよう。7月1日から先週の火曜日の夜(11月24日)までは患者数のみが発表されたと推察しよう。7月1日から11月24日までに発表された患者の累計数は26万1千人である。この患者数に4.5を掛けると、過渡期の感染者数へと遡る推測を行う事ができる。117万4千人である。

この数に、7月1日までの累計感染者数(19万9千)と先週の水曜日以降に発表された全ての感染者数の合計(約17万8千)を加えれば、155万といった数をはじきだすことが出来る。このことでトルコをイタリア(160万)に次ぐ世界9番目へと引き上げる。

しかしながらこの計算は抑制的なものであり得る。なぜならば7月1日よりも前は全ての感染者が発表されていたという前提から出発するものだからだ。もしも発表がされていなかったら?また、4.5倍という割合もまた低いものであり得る。つまりはその数が更に高いものであると訴えることは至極可能であり、個人的にはより高い数字であるとの見解をもっている。

一方で、感染症流行の最初の月々では検査策が広まっておらず、重点的に既に症状のある人達に検査が行われたために、この時期に関して感染者-患者の区別へ注力していたとするのはあまり現実的ではないだろう、との方向の見解も計算に含める必要があり得る。

■全体像を見るために必要なこと

この間に現行のデータから出発して、その他の算出方法に依拠し更に異なる結果へと辿り着くこともまた可能だ。

しかし様々な予測・計算に時間を費やす代わりに、保健省が、トルコの感染者総数を、このデータが非公表とされた時期も包括する形で明らかにすることが、最も正しいことだろう。パンデミックに対する世界におけるトルコの位置づけというのを、そのようにしてのみ完全に検討できるようになろう。

こうしたデータが知られることは、トルコを他国と比べるという点においても重要性をもつことになるだろう。過去に遡って、全ての感染例上のベールを取り除くことは、トルコにおける感染症の推移の規模に関して全体像を見ることを可能としよう。残念ながら現在のところ、私たちは全体像をみることが出来ないのだ。

常に強調するように、こうした数字が公表されるということは、何よりもまず、透明性を担保すると言うことである。先週水曜日(11月25日)の夜から今までの感染者数をいかに知ったとしても過去に遡っても知ることが出来ると言うのは、市民にとって至極当然な権利である。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:50265 )