イスタンブル地下宮殿、崩壊の危機
2020年12月10日付 Hurriyet紙


地下宮殿の修復工事中、柱頭に隙間が見つかり、崩壊の危機が検出された。イスタンブル広域市の文化財総局のオクタイ・オゼル局長は、「我々には今後一秒も猶予はない」と述べた。

地下宮殿の立ち入り禁止エリアでおよそ4年間続く修復工事の最中、共和国後期の修復作業でつないだ梁が、柱頭部分で途切れており、連続していないことが判明した。この状況は地震があったら地下宮殿に大きな損害をもたらす、もしくは崩壊すら起こりえることを示している。地下宮殿だけでなく、周辺の建物も危険にさらされている。

■「これは非常に深刻な状況だ」

イスタンブル広域市文化財総局のオクタイ・オゼル局長は、「修復作業のなかで明らかな発見があった」としてこう語った。
「ここは1500年前に建設されたビザンツ時代の貯水池で、特別な建築物だ。歴史半島地区の中心に位置する観光名所でもある。ここは長年工事中で、細心の注意を傾けて修復作業を続けている。修復中に明確な発見があった。柱頭と呼ばれる支柱の上部に隙間があった。この隙間を調査したところ、見えている梁は連続していおらず、柱頭と柱頭をつないでいないことが分かった。これは非常に深刻な事態である。なぜなら組積造の支柱は、耐震性に大きな問題があるからだ。耐震補強のつなぎ部材は鉄だ。もちろん、建てられた時代、イスタンブルはすでに何度も地震を経験していた都市だ。歴史上、幾度も地震に見舞われていたため、ローマやビザンツの建築家によって、地震の経験を糧にいくつかの支持構造設計が開発された。その一つが、柱頭に据えられた木材のつなぎ梁であった。この木材のつなぎ梁は次第に鉄製の梁に替わった。共和国時代に鉄製の梁は新しいものに取り換えられた。この時に、非連続構造で設置され、特に柱頭の梁の連続性が考慮されなかった。」

■補強プロジェクトが整備され、保護委員会の承認を待っている

オゼル局長はこれら判明したことを受けて、建築技術専門家によって建物が模型化されたと述べて、こう語った。
「我々はもちろん科学委員会を設置した。科学委員会の戦略アドバイザーはフェリドゥン・チュル博士だ。彼は修復作業を調査し、鉄製の梁材を取り換える方向の決定が下された。広域市当局ならびに専門の技術者らによって、補強プロジェクトが整えられた。このプロジェクトの内容は、柱頭にある隙間をなくし、持続性を持たせる形で鉄を新しくするものだ。損傷リスクがある支柱も、さびない金具で補強する。このプロジェクトは市当局によって整えられ、関係する保護委員会に速やかに伝えられた。保護委員会はこの件に関心を以て取組み、現地で調査を行った。プロジェクトが承認され次第、請負業者とともに速やかに地下宮殿の耐震補強工事を行いたい。」

■「地下宮殿だけでなく、周辺地域にも被害が出る」

地震があった場合、地下宮殿で起きうる崩壊のリスクについて話したオゼル局長は、地上の建物や宮殿の周囲にも影響が及ぶ可能性があることを強調し、こう語った。
「もちろん歴史的建造物に対して、特に耐震補強の面でアプローチすることが最も困難な課題だ。手を加えられることは限られている。1500年の歴史をもつ建物だ。行われる修復には一定の制限がある。この制約のなかで構造模型を完成させたところ、地震発生時には、特に柱頭部で応力集中が起きるだろうことを突き止めた。

応力集中するということは、地震が起きた際に、その場所の被害が深刻になることを意味する。これは崩壊などの危険な事態を起こす可能性につながる。そのため、速やかに対策を講じる必要がある。この危機は地下宮殿だけにとどまるものではない。地上は人が多く行き交う観光名所だ。このほかに、公的に使用される建物や私的所有の建物もある。我々はこれらに被害が出る、危険で、想像すらしたくない事態に直面しているかもしれない。つまりこういうことだ、私たちは今から一秒も無駄にできない。地下宮殿の耐震性を確保しなければならない。関係機関や組織と協力し、至急対策を講じる。我々は1500年前の人類による遺産について話している。この遺産の保護は我々全員の義務だ。」

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(翻訳者:山下鈴奈)
(記事ID:50293)