アルジェリア:アマーズィーグ人の王の彫像をめぐり論争が白熱(4)
2021年01月12日付 al-Quds al-Arabi 紙


■彫像とファトワーのはざまで…アマーズィーグ暦新年を迎えるアルジェリアの「頭痛」

【アルジェリア:アナトリア通信、フッサームッディーン・イスラーム】

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〇アイデンティティをめぐる戦い

「過去のファトワー」とシェションク王像の設置に対するSNS上の反応は様々であった。

アルジェリア人メディア関係者のムスタファー・ファラハート氏はFacebook上で、「『ヤナーイル』を祝うことは古くから存在していた。それは夕食の食卓や菓子、ナッツ類、そして家族で余暇を楽しむ過ごし方に表れている」と述べた。

さらに、「『ヤナーイル』は、唯一神アッラー以外の神々を祝うことであるとか、シェションク王がエジプトの王位に就いた日であるとか、そのようなことが頭に浮かんできたことはなかった」と語る。

そして、「それは、ある地域でだけのものではなくすべての地域に共通する、自然発生的で素朴で美しいものだった」と強調した。

ファラハート氏によれば、「アイデンティティをめぐる戦いが起き、歴史が国家に独占される中で、アマーズィーグ主義を信奉する者のなかには、伝説を教義へと変容させる者もいる。サラフィー主義の信奉者の間でも同様のことがみられる」という。

政治学の教授であるズハイル・ブーアマーマ氏は、「西部のトレムセン県ブニ・スヌースや東部のバトナ、および南部のガルダイアに至るまで、今年の『ヤナーイル』の公式祝賀行事は、その始めから学術的かつ戦略的手法によって研究・調査されたことはない」と指摘する。

ブーアマーマ氏はFacebook上で、「当局は感情やイベント性、そしてナショナリズム的でも科学的でもないような想像をかき立てているだけなのだ」と論じている。

そして、「我々は『ヤナーイル』を政治的に利用する人びとからそれを奪ってしまうのではなく、彼らとうまく合わせて、彼らと同じように[棲み分けされた]『民族分布』を広めるという役割を果たすのだ」と述べた。

問題の像に関して、活動家のイマール・ベン・トゥーバール氏は、「歴史的には、アマーズィーグ人の王シェションクが実在したことを示す確かな証拠は何もない」と記した。

さらに、ベン・トゥーバール氏はFacebook上で、「ファラオの姿をしたシェションク王の像を設置することにした人びとは、皆の想像上のシェションク王の伝説に従ったのだ。しかし、彼らのしたことは一切史実に即してはいなかった。というのも、彼らはそもそもそんなことには無関心なのだ」と述べた。

一方、活動家のスフヤーン・マーズィユ氏は自身のツイートのなかで、「私は像そのものにはそれほど反対はしないが、その姿形や、像がまとっているエジプトの衣装には反対だ。美的な側面も芸術的なセンスも欠落している」と語った。

また、メディア関係者のマルヤム・ベン・カーラ氏は、同氏が「モンスター」と表現したものに立ち向かうよう呼びかけた。「私たちはムスリムである。今この社会に起きていることの狙いは、単なる像1つに留まらない…。偶像崇拝が復活する、文化の皮をかぶった宗教戦争なのだ」と訴える。

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( 翻訳者:下宮杏奈 )
( 記事ID:50519 )