ドラマはパンデミックで滅入っている社会を元気づける
2021年01月25日付 Cumhuriyet 紙

パンデミックが生活に入り込んだのはずいぶん昔である。しかし、私たちは2020年3月に自粛生活に入り、ほぼ1年である。口と鼻をふさぐことを学び、マスクの使用率はほぼ85%になった。もちろんマスクを衛生的に使用しているかは、わからない。4時間に一回交換するようにと言われるが、ポケットにあるマスクを何日間使用しているかはわかっていない。しかし、少なくとも、通り、公共交通機関、スーパーでは、もはや全ての人がマスクを着用している。それでも医師たちは満足していない。この措置を実際に効果的にするには、使用率を95%にする必要があると言う。 マスクの着用と同じようにソーシャルディスタンスと衛生状態も重要である。

手を頻繁に洗うことをどれほど学んだか私はわからない。しかし、私たちは地中海の人間である。近距離での触れ合いを好んでいる。人々との接触に興味津々で、いまだに距離をとることに慣れていないと思う。いまだにお互いの距離は近い。実際に経済危機が直撃した。パンデミックの条件下で閉鎖となった職場、中小業者の状態は明白である。だから、とても不幸である。ドラマに話を変えよう。文化芸術欄のページで書いているのだから。先日、カディル・ハス大学の社会学的傾向調査が公表された。社会は、空いたほとんどの時間を画面やソーシャルメディアで過ごしている。

新聞や本を読む率は大きく減少している。新聞の情報は、もちろん、私たちの様に真実を書いたものは、心温まるものではないから。本も同じである。その時、現実逃避を始める。画面のドラマで人々の唯一の悩みは、ふたりの関係である。シナリオは、恋、別れ、離婚、陰謀、家族の中で展開する。しかし、私の注意を引いた点がある。話は現在であっても現実味がない。こうしたドラマのどれにもパンデミックはない。パンデミックがなければ、マスクもない。皆さん、見たことがありますか。

ドラマを見る人々に尋ねてみた。トルコドラマでは全くマスクはない。しかし、背景の映像では全ての働く人がマスクを着用し、頻繁に検査されている。カメラの前に出ると、マスクが外される。カメラの前では暮らしはマスクなしで続いている。とても熱い抱擁により、クローズアップの撮影で抱擁し、寄り添って、言葉がないため、パンデミックの光景がないのか。

■模範となる

しかしワクチン、マスクの着用、ソーシャルディスタンスに注意を払うことを社会に周知させるのにドラマはとても効果があるのか。ドラマのファンがいる。彼らは好きな配役の人物がマスクをつけたり、衛生状態、ソーシャルディスタンスに注意を払い、ワクチンを接種しようとするのを模範にして、これに倣う。なぜ利用しないのか、これほど効果的な伝達手段を。ドラマにはレイティングの問題があり、人生はバラ色でなければならない、視聴を願って。まさに抗うつ的影響を生んでいる。もちろん、このことも脚本家の仕事を難しくしている。『私の扉を鳴らして』というドラマの主人公エダとセルカンの各国の多くのファン達は、ふたりがいつも一緒にいて、恋が続くのを願っているが、そうしたら話しが進まない。二人の恋人の間に黒猫のように入り込み(隙間風を吹かせる)バルジャと父方の祖母役はレイティングが落ちると降ろされた。結婚式も行おう、二人が仕合せになるよう。ロマンチック・コメディーで結婚となったら、ドラマは最終回となる。やめとこう、続けよう、視聴者が望むから。その場合は結婚式前にショックなことが。セルカンがいなくなって、結婚式はキャンセル。事態も一新して続編が期待される。誰がマスクをつけようか。

■国外のドラマではどうなっている

国外のドラマでは、こうしたことがどのように進んでいると映像の専門家エルチン・ヤフシに尋ねたら、次のような答えを得た。

「『感染症』を脚本に取り入れた最初のドラマは『This is Us』である。その後、『シェイムレス』の制作者はファイナル・シーズンがパンデミックとその経済的影響を含むと伝えた。『グレイズ・アナトミー』も新シーズンには確実にCovid-19を取り上げると明らかにした。他のドラマの脚本家達の一部は、パンデミックが春になって終息するものと考えていたので、話しの流れに感染症を付け加えるのを当初考えていなかったと答えた。複数の宇宙の中で暮らしている訳ではないので、パンデミックを脚本の流れの中に取り込むドラマは徐々に増えているが、議論も続いている。

■学校は閉鎖中、学園ドラマはどうなる

スーパーヒーローのドラマの中にパンデミックはどのように取り込まれるのか。どうなるかは今後わかることになるだろう、ということだ。」

「国外のドラマだけを見る」という他の人物は、新シーズンで推理ドラマのうち「Special Victim」と「Bull」では、covidに関連してマスク、距離、衛生といったテーマが扱われているという。あなたはどちらのタイプのドラマがいいですか。好きで視聴するドラマにパンデミック、マスク、ソーシャルディスタンスはいりますか。そうではなくて数時間、皆が素敵で、粋で、恋して、経済危機もパンデミックもない夢の世界で過ごしたいですか。抗うつ剤のように、一杯のアルコールのように、麻薬のように。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:50562 )