ボアジチ学生会、エルドアンに公開書簡
2021年02月06日付 Cumhuriyet紙


ボアジチ大学の学生らは、AKPのレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領からのコメントを受け、公開書簡を発表した。学生会は、「私たちを、あなたに無条件に従うような人たちと一緒にしないでください。あなたはスルタンではありません。また、私たちもあなたの臣民ではありません。しかし、度胸という話をするのであれば、私たちも短いながらそれにお答えしましょう。私たちには一切不逮捕特権はありません!しかし、あなたは19年間にわたり、不逮捕特権を笠に着て、怒りに任せて吠えているのです」との声明を発表した。

AKP(公正発展党)のレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領が、AKPで長年政治に関与してきたメリヒ・ブル氏をボアジチ大学の学長に任命したことに対する反発が広まっている。

ボアジチ大学の学生会「連帯(Boğaziçi Dayanışması)」は、ボアジチ大学の学生に対して[度胸があれば大統領も辞任すべきだと言うのだろうと]コメントしたエルドアン大統領に対し、公開書簡を発表した。

「連帯」のツイッターアカウントは、「何日にもわたってメディアを通して私たちをやり玉にあげる第12代大統領への公開書簡」と題した文書で、エルドアン大統領に「あなたはスルタンではありません。また、私たちもあなたの臣民ではありません」と声明を出した。

抗議行動の動機と要求が列挙された公開書簡の全文は以下の通り。

「以前、メリヒ・ブルに『ある扇動者についての実験的詩(Bir Provakatör Üstünde Şiir Denemeleri)』という詩で返答しました。問題の真の責任者があなたであることを理解した上で、あなたが返事をされたことは喜ばしいことです。あなたは今日まで、TÜRGEV(トルコ青少年教育財団)を通して内密に、私たちとの面会を要求していました。いま、あなたは私たちとメディアを通して議論しようとしています。私たちは、間に何かを通すことを好みません。直接、また誰に対しても公開された形で話すことを選びます。あなたも、この形で続けることを望みます。

■まずは、あなたに私たちの抗議行動の動機と要求を思い出していただきましょう。

あなたは私たちの大学に、学生や教職員を一顧だにせず理事を任命しました。あなたの行為は合法でしょうか。そうです。あなたがあらゆる場面で繰り返したように、合法です。しかし、正当ではありません。この任命は、社会においてこれっぽっちも正義感を持ち合わせない人でさえも反抗に駆り立てる任命です!

なおいっそう、あの金曜日の深夜の決定は人びとを駆り立てるでしょう。あなたは、教員・学生・職員みなを抑え込むため、学部を創設し、学部長を任命するのです。私たちの大学を自身の権力闘争の仲間で満たそうとするさまは、あなたが陥った政治的危機の指標です。あなたが引き起こした危機による犠牲は、日に日に大きくなっています!

■要求を列挙

私たちは、私たちの憲法上の権利を、あなたが引き起こした不正義を社会の隅々にまで知らせるために行使します。以下が私たちの要求です。

この期間に勾留・逮捕されたすべての人の即時解放
LGBTI+とその他のあらゆるグループに対する誹謗中傷の終了
この勾留・逮捕・攻撃の原因となったメリヒ・ブルをはじめとするすべての理事の辞任
大学における、大学のすべての構成員が参加する民主的な学長選挙の実施

■『私たちを、あなたに無条件に従うような人たちと一緒にしないでください』

あなたは、度胸があるならと言いました。大統領に辞任を要求することは憲法に認められた権利でしょうか。そうです!それならば、憲法上の権利を行使することがいつから度胸の問題になったのでしょう。

私たちを、あなたに無条件に従うような人たちと一緒にしないでください。あなたはスルタンではありません。また、私たちもあなたの臣民ではありません。しかし、度胸という話をするのであれば、私たちも短いながらそれにお答えしましょう。私たちには一切不逮捕特権はありません!しかし、あなたは19年間にわたり、不逮捕特権を笠に着て、怒りに任せて吠えているのです。内務大臣は宗教感情を刺激する嘘をついています。私たちは、自発的な検閲をしません。あなたはLGBTI+の人たちを倒錯者だと言いました。私たちは、LGBTI+の権利は人権だと主張します。AKP党員がソマで鉱夫を蹴り飛ばしました*1。私たちは、労働者のそばにあります。また、運動を通して[労働者を]支持してきました。そして、これからも支持します。

あなたはHDP(人民民主党)党首*2を不法に勾留しています。新聞記者も労働組合員も……。私たちは、真実を恐れることなく声を上げる人たちとひとつです。ともにあります。すべての[任命された]理事に反対します。あなたはベルキン・エルヴァン*3の母を会合で非難しました。私たちはベルキン・エルヴァンのそばにあります。あなたは『オスマン・カヴァラの女もこの扇動者の中にいる』と言って、名前すら出さずにアイシェ・ブーラを侮辱し、私たちを攻撃しました*4。あなたは、一人の女性の、言及するに値する唯一の特徴がその人の妻であることだというような、性差別的で、無分別で、年齢不相応な言い方をしました。私たちは、『アイシェ・ブーラは私たちの大切な先生です。そして、一人の研究者です』と宣言します。(いま、あなたはこの文書が犯罪者を称賛したとして、大統領を侮辱したとして、何十回も訴訟を起こすでしょう。私たちは分かっています。しかし、正しいことを言うことを絶対に諦めません。このことも分かっています!)

あなたが、自分で任命した学長を学校に留めておく力がないために、新しく作られる学部と追加職員によって学校に留めておこうとすることも、さして度胸のある姿勢ではないでしょう。したがって、私たちは度胸というあなたがした話を真剣に取り合いません。

私たちは、ボアジチ大学がトルコで最も重要な組織であるわけでも、メリヒ・ブルの任命がトルコにとって最も重要な問題であるわけでもないことは分かっています。あなたの辞任を要求するにあたって、私たちはこの問題をその理由としません。なぜでしょうか。あなたに辞任するつもりがあるなら、

フラント・ディンク*5が殺害されたとき、あなたは辞任していたはずです!ソマで301人の鉱夫が殺害されたとき、あなたは辞任していたはずです!ロボスキで34人のクルド人が殺されたとき*6、あなたは辞任していたはずです!非常事態特別政令による失業者をはじめ、あなたが失業中のまま放置した人たち、あるいは仕事が見つからない何千人もの国民の生活苦を目の当たりにして、あなたは辞任していたはずです!

それならば、国民を貧困に追いやるあなたの経済政策が行き詰まったとき、あなたは娘婿*7を生贄にする代わりに責任を取ったはずです。例を挙げればきりがありませんが、とにかくあなたは辞任しませんでした。あなたは、自身が言うところの度胸がある人としてではなく、純朴にも[娘婿に]騙された人として見られることを選んだのです。いま、私たちはどうしてあなたに辞任を要求しているのでしょうか。私たちは、メリヒ・ブルがその座にある限り、抗議活動を拡大しながら続けます。この問題において、必要なことをするかどうかはあなたが決めることです。私たちは、民主的な権利と自由を奪われた人たちのそばにあります!あなたが、この地で抑圧されている人たちを、広場から、演壇から、叫び、脅し、やり玉にあげ、黙らせようとしないことを願って。」


訳者注
*1 ソマ郡はトルコ西部マニサ県北部に位置する。2014年5月13日、郡内の炭鉱で坑内火災が発生し301人が犠牲になった。鉱山労働者らは2013年から労働環境改善を求めて抗議活動を行っていた。また、事故の翌14日にはユスフ・イェルケル首相補佐官が抗議中の鉱夫を蹴り飛ばし、大きな反発を呼んだ。
*2 セラハッティン・デミルタシュ氏のこと。デミルタシュ氏は2016年11月4日以来拘置されている。
*3 ベルキン・エルヴァン君は、2013年のゲズィ抗議の最中に衝突の巻き添えに遭い、翌年亡くなった当時14歳の少年。警察隊が放った催涙弾を頭に受け、269日間脳死状態を彷徨ったのち息を引き取った。ベルキン君の死はトルコ全土に衝撃を与えた。
*4 オスマン・カヴァラ氏はトルコの実業家。2017年10月18日以来拘置されている。アイシェ・ブーラ教授は、カヴァラ氏の妻で現ボアジチ大名誉教授(政治経済学)。
*5 フラント・ディンク氏はアルメニア系トルコ人のジャーナリスト。ディンク氏は2007年1月19日、自身が発行する新聞アゴス社の前で拳銃により暗殺された。
*6 トルコ東部シュルナク県ウルデレ郡ロボスキ村で2011年12月28日、PKK(クルディスタン労働者党)との戦闘の最中に、民間人がトルコ空軍の戦闘機によって誤爆された事件。村人34人が犠牲となり、トルコ南東部各地で抗議活動を引き起こした。
*7 ベラト・アルバイラク前財務大臣のこと。アルバイラク氏は2004年にエルドアン大統領の娘エスラ氏と結婚している。アルバイラク氏は2018年から財務大臣を務めたが、経済政策の行き詰まりから2020年11月10日辞任した。

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(翻訳者:麻生充仁)
(記事ID:50643)