シャーヒン博士「夏の終わりには集団免疫」
2021年03月19日付 Milliyet 紙


新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンを開発した、ドイツのバイオテクノロジー企業BioNTech社の共同創業者であるウウル・シャ-ヒン博士は、ワクチン接種をスピードアップすることにより、ヨーロッパでは夏の終わりまでには集団免疫ができるだろうと発言した。

シャーヒン博士は、アナドル通信の特派員に対し、次のように語った。
「パンデミックの新しい波が今後数ヶ月間、人類にもたらされるでしょう。できるだけ多くの感染を防ぐことが非常に重要です。これと並行して、ワクチン接種を継続する必要があります。

当局によって承認された4つのワクチンにより、ヨーロッパでは夏の終わりまでウイルスに対する免疫ができると私は信じています。しかし、それについてはまだやるべきことがたくさんあります。

英国で出現したウイルス変異体による新たなパンデミックが始まっています。英国で出現したCOVID-19変異体の問題は、ウイルスがより速く、より簡単に伝染することです。私たちは、あらゆるレベルにおいてこれに取り組む必要があります。誰もが自分自身と他の人を守らなければなりません。これがパンデミックを制御する唯一の方法です。」

シャーヒン氏は、流行がまったく予想しないときに起こったことを強調し、次のように述べた。
「私たちはこの流行と1年間闘っています。医学史上、これほど早いワクチン開発はありませんでした。これは研究者の知識を国際的に利用することで可能となりました。今後6か月でこの問題を解決します。重大な将来の流行に備える必要があります。ワクチンの生産能力を引き上げる必要があります。もう一度流行が発生した場合は、より迅速に行動できるように計画を立てる必要があります。

ワクチンの研究を始めたとき、目的は安全で効果的なものを可能な限り多くに配分することでした。私たちはこれに成功しました。ワクチンを1年以内に開発し、分配を始めました。2021年の目標は、可能な限り多くのワクチンを分配することです。60カ国以上へのワクチンの分配を開始しました。」


■1人に2種類のワクチンが接種可能

シャーヒン博士は、2種類のコロナウイルスワクチンを同じ人に接種することが可能なのかについて、「それは可能かもしれませんが、検証が必要です。イギリスでこれについて治験が開始されています」と説明した。
また、ドイツ政府のワクチン接種戦略に対する批判について、自らの見解を表明して、次のように語った。
「私は目標の達成に注力することに信を置いています。他人を批判する時間はなく、そんなことをしている場合ではありません。誰もが最善を尽くしています。私たちはこれまで経験したことのない状況に直面しています。箱の中に期待される解決策はありません。我々はこれに対処しなければなりません。このような困難な状況では、全員の協力が重要になるでしょう。人々が注意して自分の身を守ることが手助けになります。今後より多くのワクチンを分配します。これらのワクチンをできるだけ早く配る方法を見つけることが重要です。」

■TÜBİTAK(トルコ科学技術研究機構)と調整中

シャーヒン博士は、TÜBİTAKと癌研究に関する共同研究を行うべく調整が続いていることを強調し、こう語った。
「双方の科学者が面会しています。目下、感染拡大に伴い、すぐに最終結果を出すまでには時間を要するでしょう。しかしながらこの件に関する取り組みは必ず継続していきます。
トルコに送られる約450万回分のワクチンについては、規制・技術・品質を管理をすることが必要でしたが、これらが先週完了しました。全てが順調にいけば、今月末にはトルコでワクチン接種を始めることができます。2021年の後半には、私たちはより多くのワクチンの配布に取り組みます。」

■「人々の出身に関係なく、貢献したことのみを見る必要があります」

シャーヒン博士は、ドイツでの移民と統合に関する議論についてあまり語らないことが自分たちにとって重要であり、人々は出身に関係なく、その人が貢献していることだけを見る必要があると述べ、こう語った。

「わが社では60カ国の人々が働いています。多くのドイツ人、多くのトルコ人、ヨーロッパ、アジア、さらにはアメリカ出身の人々が私たちと一緒に働いています。彼らの民族ルーツや出身地は何の役割も果たしていません。

こうしたことは質問されるべきではありません。私たちが移民をルーツに持つことが、多くの人に模範と見られていることを知っています。しかしながら、科学者として模範になることが本来の姿です。

科学は私ができる最も胸躍るものの1つです。科学に従事したい人は誰でも好奇心を持って科学を愛するべきであり、これに加えて、人々を助けることができるというのは素晴らしいことです。」

将来の世代にどのような遺産を残したいかという質問に対しては、「今は答えられません。大切な仕事が好きなら、それを上手にすることです。役立つ人になろうと努力することです。何かをしようとするのなら、他の人があなたを手助けすることを許しなさい。我々は時にすべてを自分自身でやろうとしますが、一緒に仕事をすれば、大きく成功できるでしょう」と語った。

シャーヒン氏は、目標は年末までにワクチンの生産量を24億回に増やすことだとして、こう述べた。
「私たちの目標は、全世界に届けるのに十分なワクチンを生産することです。これにより、通常の生活に戻りたいと思っています。ヨーロッパだけを守っても、この感染流行を克服することはできません。全世界を守る必要があります。政治はこのことを知り、これに従って行動していくでしょう。」

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( 翻訳者:宮崎友裕 )
( 記事ID:50808 )