トルコ中央銀行の人事異動、その背景に1280億ドル
2021年10月15日付 Cumhuriyet 紙

中央銀行での最新の人事異動の考えられる理由として、国外メディアでは「金利の引き下げに反対する者たちが解任された」という主張がさかんに行われた。ムラト・クビライ博士は「政権交替後に起訴が速やかに議題となることへの懸念」という可能性に言及した。 フィナンシャル・タイムズは、解任されたうちの一人が外貨準備金の処理に反対であると訴えていることが目につく。

公正発展党のレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領と中央銀行(TCMB)のシャハップ・カヴジュオウル総裁が昨晩に旧大統領府でサプライズの会談を行った後、深夜に官報に公表された決定は、市場を揺るがした。

中央銀行で金利の決定を行った金融政策委員会(PPK)の3人のメンバーは大統領令によって解任された。2021年5月にTCMBに副総裁に任命されたセミヒ・テュメン博士、2018年8月以降TCMBで副総裁を務めたウーウル・ナムク・クチュク博士、2008年以降アメリカで生活していた金融政策委員会のメンバーであるアブドゥッラー・ヤバシュ博士は、解任された。代わりに、2人の新しいメンバーが任命された。

昨晩9.10リラであった対ドルリラレートは、罷免の決定により9.18リラと[下落の上で]記録を更新した。

■FT「クチュク氏は外貨準備金の処理に反対していた」

アメリカの金融情報サービス会社であるブルームバーグとイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、解任されたウーウル・ナムク・クチュク博士が9月23日に100ベーシスポイントの金利引き下げが決まった金融政策委員会会議において唯一反対票を投じていた人物であることに注目した。

FTの報道は、ある銀行員を情報源として、2019年始めに開始しトルコリラを買い支えるためにTCMBの外貨準備金を使用するという方針にもクチュク氏が反対していたことを強調した。同氏が先週TCMBの投資家会議に参加しなかったことにも注目した。

■3つの可能性が浮上

中央銀行の政策の動向を密接に追い、1280億ドルのTCMB外貨準備金の使用が世間で問題となったことに大いに関わったムラト・クビライ博士は、昨晩の罷免騒動をソズジュ紙のエムレ・デヴェジ記者に語った。

クビライ氏は、解雇の裏にある3つの可能性に言及した。

第1に、金融政策委員会会議の現行の体制では、エルドアン大統領および金利引き下げに反対し、この件で拒否する力のあるメンバーがいないことに言及し、「したがって、ことの契機となったのが金利引き下げへの反対の可能性は比較的低い」と述べた。

クビライ氏は、「シャハップ・カヴジュオウル総裁も実際には世間が受け入れられる最低限度のことを満たすもので、大統領の要求する全てを黙認するレベルのものであった。」と述べ、「したがって、総裁の交代もあまり想定していなかった。」と述べた。

■「本人確認義務と同日」

クビライ氏は、「主な潜在的要因が、より政治的問題、または経済政策に関わる金利とは離れて、詮索されるべきである」と述べ、国庫・財務省が昨日外貨両替所で本人確認の義務を課したことに関する決定に言及しつつ、次のように続けた。

「私は、不幸な偶然であってほしいと望んでいる。同じ日に外貨両替所で行われる業務に関し、価格を問わず本人確認が規定された。そのため、外貨の流動性に向けてこの先中央銀行及び経済運営側がさらに緊密化する政策がとられれば、そしてこれに異議を唱える者がいれば、このことがさらに他のよりわずらわしい展開を招き得ると考える者がいれば、こうした反対派を排除しようとしたのかもしれない。しかし、実のところそうした可能性は低いと考えている。」

■「128億ドルの疑惑」

クビライ氏は、最後の可能性として1280億ドルのTCMB外貨準備金を消費したことが世間の話題となったこと、高まる政権交替の可能性と直近の解任との間につながりがあるであろうと指摘した。

「最も可能性があるのは、1280億ドルの問題が世間で深刻に受け止められた後に、政権交替後に起訴が速やかに議題となりえることへの懸念」であると述べたクビライ氏は、次のように続けた。

「かつてないほど政権交替が話題となっていて、この結果、書類上の不正であり、国家の安全上の欠陥を生み出した状況が内部で自問されることも求められていないのかもしれない。この件について内部で口裏を合わせることが求められているのかもしれない。」

■「非常に疑わしい」

最後に、つい5か月前にTCMBに任命されたセミヒ・テュメン博士が解任されたことに言及したクビライ氏は、「5か月で解任されたことは非常に疑わしい」と述べた。

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( 翻訳者:関口ひなた )
( 記事ID:51712 )