ロシア・ウクライナ緊張にトルコ軍地産業長官「関与なし」
2021年12月05日付 Hurriyet 紙


トルコの国防産業庁のイスマイル・デミル大臣は、「モスクワ・キエフ間の緊張を背景にトルコがウクライナに無人武装航空機を輸出している」という理解は正しくないと述べた。デミル大臣は、「これは一つのプロセスであり、もともとの合意の要件として当初から議論されていたものがあるとするなら、それはプロジェクトの進捗である。ウクライナに輸出された無人航空機(UAV)および無人武装航空機(SIHA)は同地域における最近の進展とは何ら関係ない」と述べた。また同大臣は、「国防戦闘機(MMU)についてロシアとの交渉がありえる」とも明らかにし、「TAI Hürkuş(HÜRKUŞ)戦闘機はアゼルバイジャンからも注目されている」とした。さらにF-35について同大臣は「プログラム・パートナーシップ料金あるいは航空機のフランチャイズ料金に関する方向性を確認するために会議を行なっている」と話した。

デミル大臣は、アンタルヤで開催された防衛・航空産業グローバル戦略会議の一環として記者グループと会談し、次のように質疑に応じた。

「ロシアとの会談では非常に多くの協力項目が議論される。ここには国防戦闘機(MMU)に関連する議論も含まれる。MMUは2023年の納品を予定しており、エンジンの種類や認証システムも選ばれている。しかし議論が進めば認証システムの変更・開発に伴う更新・ローカライズといった細かなプロセスになっていく。今回の交渉過程でもシステムのローカライズについてロシアと会談を行う可能性はある。」

■アラブ首長国連邦も注目

「(ロシアとウクライナの)緊張が高まっている間も、防衛産業でトルコとの関係が続いていることを示す数字がある。また我々は、トルコの防衛産業における立ち位置と技術レベルがアラブ首長国連邦(UAE)からも注目されていることを知っている。関係が軌道に乗ればこうした連携がいっそう良好になると言っておきたい。」

■最近の進展とは無関係

「トルコは無人武装航空機(SIHA)をウクライナに売却した。ただし、現在この地域で緊張が高まっているから売る、というようなものではない。それは単なる一つのプロセスであり、もともと議論されていた引き渡し相互協定があった。ウクライナは明確な生産・投資プロジェクトをもっていた。もともとの合意の要件として当初から議論されていたことがあるとするなら、それはプロジェクトの進捗である。同地の最近の進展とは無関係だ。 「(二国間の)緊張状態を背景にトルコがウクライナにUAVとSIHAを輸出している」という誤解がないようにしたい。」

■F-35に関する最新の動向

「F-35戦闘機については、トルコがプログラムから除外されたという非常に詳細な声明が米国から発表されている。一般的にトルコにはプログラムのパートナーシップに基づいて明確な利益があった。これらの一部は実現された。現在は、「プログラム・パートナーシップ料金あるいは航空機のフランチャイズ料金に関する方向性を確認するために会議を行なっている。それが会議の枠組みだ」

■S-400ではロシアとの協力分野

「S-400ミサイル注文の第2バッチでは、ロシアとトルコの間で特定の協力分野が想定されており、共同製造と協力に向けた段階が重ねられている。また具体的な取組みがなされている。第2バッチの主要な要素の1つは技術移転だった。こうした(防衛)システムは戦略的なものであるため各国は秘密保持を願うものである。この件についてはシステム製造時にさらに詳細に説明する。」

■「SAMP-T」は最終段階

「パトリオットミサイルについては米国との間に進展、あるいは接触はない。一方、フランス、イタリアとの共同によるSAMP-T(ミサイル防衛システム)認証作業が完了している。これに関していくつか具体的な文書に署名した。その後、以前から議論してきた枠組みのなかで話し合い、SAMP-T計画の立案を進める。」

■米国のインド・イニシアチブ

「インドがおこなっているS-400交渉についても承知している。米国はインドに例外を認めることでイニシアチブをとっており、我々はそれを注視している。米国の姿勢は明確なリトマス試験紙となった。」

■対空防衛ミサイルはさらによくなる

「Siper(防空ミサイル)の射程と高度データについて、特に軍との合意に基づき明らかにすべきはないというアプローチがあるものの、Siperの最新バージョンははるかによいものとなる。」

■TCGアナドルは2022年に

「TCGアナドル(強襲揚陸艦)は2022年デビューを目指して取組んでいる。同艦にUAV /SIHAを配備に関するプロジェクトも継続している。アゼルバイジャンからも注目されており、この話題では近々進展が見られるだろう。」

■ATAKヘリの機関砲ローカライズ

「ATAKヘリコプター(AI/アグスタウェストランド T129 ATAK)の機関砲開発プロジェクトも開始されており、成熟段階(最終段階)に達している。我々の理想としては、リスクを伴う可能性があるあらゆる要素を(トルコ仕様に)ローカライズしたいと考えている。

ALTAY(戦車)は韓国との契約が予定されている。2022年2月に韓国側がトルコを訪問し対面で交渉する。高いレベルでイニシアチブがとられ、案件が軌道に乗るという報告を受けている。」

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:51957 )