Erdal Saglamコラム「金利への固執とインフレ爆発」
2021年12月16日付 Cumhuriyet 紙

今日の中央銀行の会合で出されるであろう金利決定は、また重大な決定のひとつとなるだろう。決定がどんなものであろうと、タイイプ・エルドアン大統領の金利への固執は、もはやインフレを爆発させる段階まできており、年末には非常に高い数字を目撃する可能性があると言えるだろう。

市場の大多数は、今日の会合で100ベーシスポイントの金利引き下げの決定が出されるとみている。現在までの指標を見てもこの予想は正しいといえる。
ただしここ数日の出来事が、金利決定に影響を与える可能性があることから目をそらさないことが必要である。「合理的でない政策に固執している」ことはわかっているが、今回は予想通りの結果となるだろう。このような決定は「本質的に金利引き下げを続けている」といった文言で緩和されるだろう。こうして、「大統領がまた政策を転換した」と批判されるのを止めにしたいのであろう。

要するに、大統領や大臣らからのメッセージが、100ベーシスポイントの金利引き下げを示唆していることは明らかだ。しかし、市場緩和の必要性が拡大していることを今回気づく可能性がある。もし、100ベーシスポイントの金利引き下げが行われると、為替レートの上昇が加速することを、昨今の動きからから知っていたに違いない。為替介入が250億ドルに達したのにもかかわらず、もはや為替レートを下げることができないと理解したのだろう。年末になって、対ドルレートが15トルコリラを大幅に超えていたら、政府が与えた高い最低賃金も意味をなさないことを、もう認識しているだろう。このため、金利引き下げを今回中断する可能性があると考えている。

100ベーシスポイントの金利引き下げの決定がなされると、対ドルレートが、もうすぐそこまできている15トルコリラを上回ることは避けられないであろう。それがどこまで進むかは介入の決定や、これから取られる他の措置によって変わるだろう。金利引き下げの中断となれば、レートは少し緩和されるであろうことは確実だ。しかし、これが長く続かないであろうことも明確だ。FRBからのニュースの影響で、レートの方向性は再び上昇するだろう。しかし、銀行の年末の収支勘定作成の伝統の影響で、年末には15トルコリラを下回る、14トルコリラ付近となる可能性がある。

レートの上昇を止めるためには、少なくとも合理的なレベルまで戻すためには、根本的な決定の見直しが必要である。つまり、現在、隠されている「政策の方向転換」がはっきりと言及されるべきである。現政権がこの時点に到達するのは、まだ早く、私たちが置かれているこの悪い状況はさらに悪化が予想されるといえるだろう。

■インフレは30%を超えるか

今日の金利決定がどうなろうと、タイイプ・エルドアン大統領の金利固執のためにインフレのパーセンテージの高まりが加速することは、簡単に言及することができる。今日の決定が、レートの方向性はもちろん、貿易面で始まった苦境、そのためにインフレにも大きな影響を与えるだろう。

およそ3カ月前に始まった政策変更と4ポイントに至るまでの絶え間ない金利引き下げの影響が、12月以降、より目立って見え始めるだろう。市場は、12月の消費者物価の増加予想を「少なくとも5ポイント」としたことが注目を集めた。この数字をも超え、年末には25%を超す懸念を示す者もいた。

ドゥンヤ紙のアラッティン・アクタシュ氏は、トルコ統計機構長と行った会議の後、12月のインフレが2桁となる予想を発表した。長年、トルコ統計機構から良い情報を手にしている記者のひとりであり、数字の分析に詳しいことで知られているアラッティン氏は、年末のインフレが32%を超えるだろうと話している。トルコ統計機構長が以前注目した自動車価格の上昇が11月には反映されないとする論文を受け入れ、方向転換とともにデータが取得され、12月に蓄積された上昇が反映されるだろうと話した。この影響も、12月に物価の上昇が2桁となることを思い出させる。

要するに、「新しい」といって始められた、合理的な根拠が一切見られない金利引き下げに基づく金融決定は、既に高くなっているインフレを爆発させている。この選択の影響は、今後のインフレデータにおいて顕著に現れるであろう。この選択から、どれだけ早く撤退するかが「トルコは40%台を超えるインフレから脱するか脱しないか」の問いの答えとなる。

チャートでは、インフレ-為替レート-金利の連鎖的変動が大きくなっている。「金利が下がれば、インフレもおさまる」との主張を続ける大統領が、金利引き下げ後のインフレの高まりをどう説明するのかは、もちろん彼の知ることである。

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( 翻訳者:大畠梨紗子 )
( 記事ID:52011 )