トルコに「後見」?そのリスクは?
2022年03月30日付 Cumhuriyet 紙


ウクライナは和平交渉でNATO第5条と同様の枠組みの構築を求めた。この枠組みは、集団的安全保障の原則に基づくものである。かつてNATOのトルコ大使を務めたウミト・パミル氏は、ウクライナが議題に挙げた安全保障に関して、「将来ロシアがウクライナに対して再び軍事行動を開始した場合、それぞれの国に課される安全保障は、トルコが戦争状態に突入させる可能性がある」として、Cumhuriyet に語った。

1994年、ウクライナはブダペストで自国の核兵器廃絶を約束する覚書に署名した。パミール氏は、この覚書がそれが安全保障を構築するものであったにもかかわらず、それが機能しなかったことを指摘し、次のように述べた。「1994年、ウクライナで核兵器廃絶が行われた時、核兵器を放棄する代わりに、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアは、ウクライナの領土保全に対する安全保障を約束した。しかし、これまでどの国もこの安全保障に言及してこなかった。もしかしたらウクライナは、アメリカ、イギリス、フランスに対し、この責任を果たすか否かを尋ねたかもしれない。だが、前向きな回答を得られなかったのだと、そのように見受けられる。重要なのは安全保障システムの質だ。ウクライナが提案の中で言及したNATO第5条では、『周辺勢力から締約国に対して攻撃が行われた場合、全締約国は兵力の使用を含め必要と考えられる行動をとり、攻撃を受けた側の援助をする』ことを約束している。では、ウクライナが議題に取り上げた安全保障は、個別的な安全保障なのかそれとも集団的な安全保障なのか、この二つには大きな違いがある。ここに注目しなければならない。」

■「トルコが一国取り残される可能性も」

パミール氏は、集団的な安全保障では全ての締約国が共同で行動する責任を負うことを指摘し、次のように述べた。「集団的な安全保障を前提としているのならば、これら加盟国は全て共に決断を下し行動する必要がある。しかしながら、例えばキプロスのような個別的な安全保障では、それぞれの国がそれぞれ責任を負うことになる。キプロスでの安全保障体制は、トルコ、ギリシャ、そしてイギリスが『共同でまたは単独で』行動することができると約したものである。実際、イギリスがキプロスに介入しないのを見て、トルコは単独でキプロスへの介入を行った。ここにおいても安全保障がどのような形をとるかが重要なのだ。国が単独で行動を起こすことができる安全保障体制では、将来ロシアがウクライナに対して再び軍事行動を起こした場合、トルコが戦争状態に突入するという結果をもたらしうる。この点をふまえると、トルコが検討できるのは集団的安全保障のみである。『共同または単独での保障』という形を前提とするならば、先に述べた他の国々が『私は参加しない』と言った場合、トルコ一国のみが取り残されることにもなりかねない。」

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( 翻訳者:金子萌 )
( 記事ID:53183 )