エスィン・クラトゥルさん、ウインブルドン男子決勝で線審を務める
2022年07月18日付 Hurriyet 紙


テニスの4大大会とツアーのレベルで我が国を代表する選手の出現が望まれる近年において、4大大会決勝とオリンピックでトルコを代表するテニスの審判がいる。エスィン・クラトゥルさんである。4大大会の決勝で線審を務め、2022年東京オリンピックの決勝戦でも務め、最近ではウインブルドンのノヴァク・ジョコビッチ対ニック・キリオスの決勝戦もコートに立ったエスィン・クラトゥルさんは、本紙のスポル・アレナでブラク・アクンのインタビューに答えた。エスィン・クラトゥルさんは、私たちが大きな成功を望ぞむテニス界において誇りとなった。何十億人もの人が視聴する4大大会トーナメントの全てと直近2回のオリンピックで線審を務めたエスィン・クラトゥルさんは、仕事をとても好きで行っていると述べて、主審の資格も持っているが、線審を務めることに大きな喜びを感じており、主審になることを全く考えていない。」と述べた。

テニス界でトルコ選手の大きな大会での成功を私たちが望んでいることは真実である...。しかし、全ての4大大会とオリンピックで成功裡にトルコを代表する審判がいる。エスィン・クラトゥルさん。4大大会と2020年東京オリンピック決勝で線審を務めたクラトゥルさんは、先日のウインブルドンのノヴァク・ジョコビッチ対ニック・キリオスの決勝戦でもコートに立った。テニス界で私たちの誇りであるクラトゥルさんは、本紙スポル・アレナ(スポーツ・アリーナ)でブラク・アクン記者の質問に答えた。

-まず、テニスへの関心はいつからか。審判という職業はいつ浮かんだのか。

私は、セルチュク大学身体教育・高等専門学校を卒業した。学校でテニスを副専攻として選択していた。クラブと大学を代表してテニスの大会にも参加していた。その後、指導者資格を取得してテニスのコーチを始めた。その頃、コンヤで行われる予定の大会のために審判講習会が開かれた。私は、その講習会に参加した。私の審判としての冒険はこのような形で始まった。

■トルコを代表することはとても誇りに感じる

-テニスの頂点である4大大会の試合に出て、2回のオリンピックにも参加されました。最近では2022年のウインブルドン決勝戦でノヴァク・ジョコビッチ対ニック・キリオスの試合で線審を務めました。このような大きな大会でトルコを代表するのはどういう気持ちか。この意味で周囲からどのような反応を受けたか。

ええ、現在までに全仏オープンで3回、全豪オープン、全米オープン、ウインブルドンで2回ずつ、最近では東京オリンピックの決勝で線審を務めた。小さな大会あるいは大きな大会でトルコを代表するのは誇りに感じることであり、格別である。私の家族はいつも支援と祈りで助けてくれる。近い友達もメールや素晴らしい応援をしてくれる。同時にSNSでつながっている多くの人々がいつもメッセージや美しい言葉で私を応援してくれる。

■間違いは、私に悪く影響しない

-テクノロジーが昔に比べてかなり多く身近にある。サッカーではVAR、バスケットボールではチャレンジ、テニスでは「フォークアイ(審判補助システム)」の適用。審判が間違ったことが、フォークアイで明らかになる時どのように感じるのか。テニスにおけるこのテクノロジーをどう思うのか。

はっきり言うと、あまり多くのことを感じる時間がない。試合が続いているため、仕事を続けなければならない。もし、試合の最後、あるいはポイントのやり直しが必要となれば、チャレンジ(異議)失敗は、もちろん、いい思いはしない。私自身のことを話すならば、システムがいまだに間違えを抱えているため、とても少しの差のチャレンジ失敗はもはや影響を受けない。すぐに忘れて集中力を保ち、コートの仕事を続けることに努める。

■フォークアイは私たちの仕事を行うがとても高い

-コロナ禍とともに全米オープンと全豪オープンの試合では線審の代わりにフォークアイ・システムが適用された。線審の未来に関して意見はありますか。主審になりたいと思ったことはありますか。

テニスでフォークアイ・ライブシステムは、特にコロナ禍で急速に審判の代わりになり始めた。このシステムは、[ベースライン上の]足のミスからアウトの声掛けまで全てを行っている。つまり、線審が行う仕事をしている。しかし、システムは高価で、現在のところ4大大会のうち2つの大会とシーズン終盤の一部の大会で使用されている。予算の関係で1コートあるいは2コートでしかフォークアイ・システムを構築できない大会やシステムが使えない低予算の大会、クレーコートの大会では、まだ暫く、線審を人間が勤め続けるように思う。この期間がどのくらいかは、この先分かるだろう。フォークアイ・ライブシステムを使用しているトーナメントで始まった新たな仕事がある。マッチ・アシスタントである。試合の中で主審を支援し、ボールの交換を行い、選手がコート脇で休憩する時、同伴するといった役目がある。私は、今年初めてカナダの大会でマッチ・アシスタントを行うために招待された。この役目も今後もっと経験するだろう。

■線審は主審より楽しい

線審と主審はとても異なる役割を要する仕事である。私は実際に主審としても働いている。持っている資格のため、とても大きな大会でなければ、国内外で一部のWTA主催の大会、多くのITF主催の大会で主審を務めている。大きな大会で主審を務めたいかと問われるなら、全く考えていないと言える。線審の仕事をとても楽しんでいるので、主審は最低限務める。でも条件が変わったら、どうするかわからない。重要なのは仕事を好きで楽しくやること。

-四大大会では近年「独特の伝統」がとても蔓延り始めた。試合の最中に審判に示されるべき敬意を、不要な攻撃性や侮辱に及ぶ態度が取って代わった。過剰に怒るテニス選手は審判にどう影響する。

ひどく影響しているとは思わないが、もちろんこの種の出来事は気分を滅入らせる。審判はルールの中で選手をコントロールし試合を進めようとしている。もしとても過剰な行動があれば、実際に必要な処罰はコートの内でも外でも行われる。

-こういうことコートで経験されたことはありますか。

そういったことは経験しなかった。

-2020年の全米オープンでとても話題となった事件が起きました。ジョコビッチは苛立って打ったボールが線審の喉に当たって失格となった。事件後にどう思いましたか。[線審の]ローラ・ロブソンさんとこの件で話しましたか。

大して驚かなかったし、何も感じなかった。ルールは全選手に関してあるのであって、皆に同じように適用される。この種のことは時々コート上で起きる。でも審判だけでなく、時々コート内にいる全ての職員(ボールを集める子供たち、カメラマン)、さらには観客でさえ、こうした事件に遭う。でも言ったように、そうした行為の結果、酷さの程度により、様々な決定が下される。

ローラは、全米オープンの際、仕事外でとても楽しい時を過ごした審判の一人だった。事件後すぐに元気なのを知り、お見舞いを述べた。

■2019年のナダル対フェデラーの準決勝戦はとても特別だった

-審判を務められた試合の中で最も思い出深いのは。

数試合ありますが。2019年ウィンブルドンのナダル対フェデラーの準決勝。審判たち全てが口にした試合だった。皆が決勝以上にこの準決勝戦で務めたいと望んでいた。私は幸運な一人だった。そして最近では東京オリンピックで私が務めたズべレフ対ハチャノフの男子決勝は、私がゴールデンスラムを遂げたという意味でとても特別なものだった。

-世界で何百万人もの人が観戦する試合で審判を務められてます、時に5−6時間にまで試合が延びます。気が散る要因がたくさんあると思います。線審として集中力をどうやって保っているのですか。

通常、私は一時間働き、一時間休みます。特に四大大会では男子の試合は5セットになると、長く続き得る。コートでの仕事から楽しみを見つけるように努め、絶えず自分を動機づけして、集中力を常に高く保とうと努めている。

-試合に当たって何かルーティンはありますか。試合のルーティンであなたを驚かせた選手はいましたか。

普通、試合会場に祈りながら入る。もし線審を務めるなら、試合の冒頭に主審の席の右側にある席に座るといったルーティンがある。様々なルーティンのある選手はいるが、それに慣れたし、もはや普通に感じる。

-ウィンブルドン男子シングルス決勝ではムスタファ・ヴァタンセヴェルさんも審判を務めた。彼について言うことは。

ムスタファはとても好きな審判仲間の一人。彼はロンドンで暮らしているので彼とはウィンブルドンの時だけ会う事ができる。彼と決勝を務めたのはとても楽しかった。もっと多くの決勝戦で共に務めたい。

-トルコではテニスはかつてに比べ大きな関心を受けているが、選手、コーチ、審判の数は十分ではない。あなたはこのスポーツにとって重要な目標です。テニスの審判になりたい若者たちに何かおっしゃりたいことは。

トルコ・テニス連盟は年間で十分な数の審判講習会を行っている。関心を持つ人は、連盟のインターネット・サイトを追って、講習会に参加できる。私に連絡をとってくる人には、可能な限り指針を与え、協力している。テニスを愛することはとても重要で、私は本当にテニスが好き。長きにわたって審判や異なる役割でテニス界の中に身を置き続けたいと思う。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:53772 )