ゴミ屋敷から、児童発見―ブルサ県
2022年07月24日付 Cumhuriyet 紙


ブルサ県ニリュフェル郡ギョリュクレ・サカルヤ地区にあるアパートを所有するアイドゥン・S氏は、2020年7月1日にアパートのフラットをカムラン・プナル・A氏に貸し出した。しかし、カムラン・プナル・A氏が家主に対して家賃を一切支払わなかったため、アイドゥン・S氏がバトゥハン・アルソイ弁護士を通じて裁判所に申し立てをおこなっていた。

ブルサ第4執行法裁判所での審理にカムラン・プナル・A氏は一度も出席せず、裁判所は5月に未払い家賃を支払うようカムラン・プナル・A氏に通知を発出。しかし同氏は家賃を支払わず、裁判所が家の明け渡し(退去)を行うことを決定した。

この決議を受けて問題のフラットに向かった執行チームは、鍵業者の協力でフラットの扉を開錠し、ゴミ屋敷を目の当たりにした。フラットの玄関ドア横にあった物入れには、「家に入ろうとするな。侵入した奴らは家宅侵入で法廷に突き出してやる!」と書かれた紙が貼られていた。
また、壁に貼られた、多言語による数十枚に及ぶメモ用紙も目を引いた。
執行チームは扉の鍵を交換した後、アパートを後にした。

■施錠ミスにより再度侵入

執行チーム訪問時に不在だったカムラン・プナル・A氏は、帰宅時には鍵が交換された扉を開けられなかったが、昨日、鍵業者に連絡してフラットに入室した。窓が閉まり、カーテンが引かれているのを目にした大家の弁護士バトゥハン・アルソイ氏が警察に通報した。

フラットに駆け付けた警官は、裁判所の立退命令に従わず、入室したとしてカムラン・プナル・A氏を逮捕した。

警察署に連行されたカムラン・プナル・A氏は聴取後に釈放された。

■ゴミ屋敷から「児童」発見

一方、ゴミ屋敷を片づけるためニリュフェル郡庁は清掃チームに連絡。家屋を訪問した清掃チームは掃除を開始しようとする際、一部屋のドアが施錠されていることに気づいた。ドアを破壊して室内に入った清掃スタッフは、ゴミだらけの部屋で、意識のない様子で横たわっている児童を発見した。

児童は室内に閉じ込められ、トイレさえ室内で済ませていたとみられたため救急と警察に通報がなされた。ゴミ屋敷に監禁されていた児童は救急隊による応急処置を受けた後、救急車でブルサ・ウルダー大学附属病院に搬送され治療を受けた。

約1年間にわたって室内に監禁されていたとみられる児童の髪や爪は伸び、やせ細って、体には傷があることも確認された。

■児童は男の甥

事件後、警察隊は、児童の素性や、ゴミ屋敷に監禁されていた背景を明らかにするため捜査を開始。

捜査の結果、児童はカムラン・プナル・A(の子)ではなく、カムラン・プナル・Aの姉妹ヤーセミン・プナル・Aの子であり、氏名はジェム・ムハメット・Aであることが明らかになった。

カムラン・プナル・Aは、長期間、姉妹と会っておらず、甥にあたるこの児童についても、自ら世話をし、自宅で鍵のかかる部屋に閉じ込めていたことが明らかとなった。

ジェム・ムハメット・Aは、病院で治療を受けた後、郡の家族・社会政策局職員らに保護された。

また、カムラン・プナル・Aは再度逮捕された。

■「7ヶ月間、電気・水なし生活」

この件に関してバトゥハン・アルソイ弁護士は以下のように発表をおこなった。
「私の依頼人(大家)は、このフラットをある教師に貸し出したと思っていた。(その教師は)娘を伴って大家の元を訪れ、住むために家を借りたようだ。大家も教師であり、また入居者が母子二人であることから家を貸し出したが、その後家賃は一切支払われなかった。大家の再三にわたる警告にもかかわらず、入居者は家賃支払いを拒否したため、大家から我々に依頼があった。我々もこの件に関する執行フローを開始し、その後も家賃支払いがなかった場合の立ち退きを裁判所に申請した。その間、我々は依頼人と連携しながら、フラットの電気と水道を遮断した。つまり電気も水もない状態で7ヶ月間住んでいたことになる。これを受け、裁判所は入居者に対する退去を決定した。立退決議後、判決が確定されるとすぐに執行チームとともに家屋を訪れ、そこでゴミ屋敷であることが判明した。我々が訴訟を起こした後、アパートの近隣住民や周囲の人々から、何度も、一刻も早く裁判所の決定を得てほしい、悪臭がする、というクレームがあった。実際、とても住める状況ではなかった。フラットはもちろん、アパート全体に悪臭が広がっていた。我々はその事実を裁判所に報告した。そうした事情があり、早急に立退き決議が下された。立退き決議後、ドアを開けてみて、あのような光景に出くわした」と

■「母親が望まなかったので甥の面倒をみていた」

ブルサ県でゴミ屋敷を片付けようとした際、施錠された部屋でジェム・ムハメット・A(9歳)が意識のない状態で見つかった。この児童を1年間監禁した容疑で拘束されたカムラン・プナル・Aは、警察署での手続き後、「児童誘拐・監禁」の罪で裁判所に送致された。

その後、カムラン・プナル・Aは裁判所で不起訴とされ釈放された。

■供述内容が明らかに

カムラン・プナル・Aは警察署では黙秘権を行使していたが、検察庁で供述を行ない、(児童の)母親が子を望まなかったので甥の面倒を見ていたと供述した。

カムラン・プナル・Aは供述の中で、自身は警備員として働いており、妻と離婚し、子どもが1人いると述べ、「甥は祖母と一緒に暮らしていた。私の母(甥の祖母)が亡くなった後、市外で暮らす姉妹と連絡を取ろうとしたが、姉妹(甥の母)は子どもを望まなかった。そのため子どもを私のところに引き取った。実の母が望まなかったために私が面倒を見ていた。姉妹は子どもを望まなかったが、私は時々連絡して、(子を)受け入れるよう働きかけていた」と述べた。 (DHA通信)

■9歳のジェムは母のもとへ

家族社会福祉局の郡支局の保護下に置かれた児童は、治療のためにブルサ・ウルダー大学附属病院に搬送され、郡警察局公安部職員らが、アンタリヤで暮らしている児童の母ヤーセミン・Aと連絡を取った。

昨日、高速バスでブルサ県にやって来たヤーセミン・Aは、都市間バスターミナルで警察官と合流し、警察署に付き添われた。病院での初期治療を終え健康診断を済ませたジェム・ムハメット・Aは、検察の決定により母親に引き渡された。 ジェム・ムハメット・Aと母のヤーセミン・Aは、再び警察官がバスターミナルまで送り届けた。

母子は、昨夜のうちにアンタルヤへ向けて出発した。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:53798 )