シリア:アサド大統領一族、麻薬「カプタゴン」密輸に加担か(6)
2022年06月23日付 al-Quds al-Arabi 紙

■アサド一族が体制の資金調達のため麻薬「カプタゴン」の密輸に加担しているとドイツの捜査官らが公表

【ベルリン:本紙】

≪帝国の形成≫

数ヶ月にわたる調査レポートと複数の目撃者からの証言、および麻薬捜査官らとの様々な議論をもとに、『デア・シュピーゲル』誌およびイタリアの日刊『ラ・レプッブリカ』紙は、体制がその犯罪網に対し限定的に掌握しているという像を描くことに成功した。アサド氏の従兄らやヒズブッラー、また地元マフィアの親玉らは時に衝突し合う小帝国を築いたのである。

しかしことが輸送に関わってくると、大統領の弟であり第4機甲師団の指揮官マーヒル・アサド氏の名が繰り返し浮上する。捜査官らは同部隊が近年、貨物や工場の監視・港の支配・金銭の支払いを行う軍事部門を備えたマフィア連合のようなものに変容したとみている。

調査レポートによると、バッシャール・アサド氏はシリアの絶対的指導者かもしれないが、軍の有力な指揮官らや財界人、また親族にいたるまで、彼らの忠誠はただでは得られないという。事件の背後にいる、エッセン市で裁判にかけられている男たちもまた、アサド一族とともにビジネスを行なっていた。しかし、彼らを代表して多くのグループの指導者層の出身地であるキリスト教の町セイドナ(シリア)の情報提供者は、「彼らは様々な軽犯罪に関与するギャングだった」と語る。彼らには「クジラ」、「クジラ組」という名がつけられていたが、その名がどこから来たのかは分からないという。重要なのは、彼らがキリスト教徒だということだ。同氏は次のように語った。「戦争が勃発したとき、アサドは何があってもサイドナとキリスト教徒らに自分の側に残ってほしかった。だからギャングの成員らに、他の商売人らに対し好きなように振る舞ってよいという自由を与えたのだ」。

さらに、この同情提供者は調査員らに対し次のように続けた。「彼ら(クジラ組)は何年にもわたり略奪と脅迫によって生計を立てていたが、とうとうその収入源が枯渇した。『カプタゴン』は新たな実入りの良い収入源となったのだ」。また同氏は「彼らは今や、セイドナおよびレバノンとの国境近くに位置するランクース村の間の8箇所で『カプタゴン』錠剤を製造している」と明らかにした。


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( 翻訳者:吉岡珠実 )
( 記事ID:53814 )