エリザベス女王葬儀へトルコから150万本のカーネーション輸出
2022年09月11日付 Cumhuriyet 紙


スコットランドのバルモラル城で、96歳で亡くなった英国エリザベス女王の追悼儀式・葬儀で使用されるとして、トルコのアンタルヤとウスパルタでは生花需要が90%増加した。葬儀に向け、少なくとも150万本のカーネーションの出荷が開始された。切り花業者にとっては9月11日、18日の日曜日も作業をおこなうこととなる。

エリザベス女王の死後、アンタルヤとウスパルタの切り花業界では大変な騒ぎが始まった。9月8日のエリザベス女王崩御を受け、英国王室は追悼・葬儀のため10日間にわたる一連の行事を準備した。
それにより、英国からアンタリヤへの、主として葬儀用の切り花需要は80~90%増加している。

■生産端境期

トルコ一の切り花生産を誇るアンタリヤでは11月から6月にかけて(花の)収穫が行われる。そして6月から11月にかけては高原地域とされるウスパルタで生産が行われ、それによって12か月間切れ目ない生産プロセスとなるよう隙間を埋める。

今回のエリザベス女王の死は、ウスパルタ地方での高原生産期の終盤と重なった。

■需要は英国が第一位に

アンタリヤでの温室栽培品の収穫は11月に始まることから、現在、英国からの多大な需要にもかかわらず切り花が不足しており、業者は注文を間に合わせることができていない。

業者は、(これまで)英国向け切り花を7~8日かかる陸路でトラックによって輸出していたが、エリザベス女王の死後は連日コンテナを空輸するようになった。業者が労働者と労働時間を増やすなか、英国は切り花の輸出先として第一優先国となった。

■訃報後の注文

アンタリヤ貿易取引所 (ATB)議会と切り花・観葉植物専門業者委員会のメンバーであるセルチュク・チェレビー氏によれば、9月8日夜、エリザベス女王の訃報を受けた後から、英国内顧客から花の追加注文が入りはじめたという。

同氏は、「英国で行われる国喪・国葬行事は10日間続くと言われている。しかし、その期間、アンタリヤでは切り花の生産はなく、ウスパルタでの高原生産も減りつつある時期だった」と述べた。

■長距離トラックではなく空路で輸送

セルチュク・チェレビー氏は、通常の週次契約分の花の出荷が困難になっている一方で、出荷計画にプラスされる新規注文によって切り花部門では英国が首位に立っているとし、「葬儀のため、今週からは長距離トラックで輸送するはずだった商品を空輸に切り替えた。トラックだと7~8日かかるが、航空機なら翌日に顧客の手に渡る」と述べた。

■「あらゆる色のカーネーションを出荷」

チェレビー氏は、エリザベス女王死去により切り花注文は80~90%増加したと明かし、「とはいえこの時期は端境期であるために、注文増加分の40~50%に対応できるよう努力している。現在、生産している品種はカーネーションで、あらゆる色のカーネーションを出荷している。10日間の葬儀関連行事以外にも、約一カ月程度、この動きが続くのではないかと予想している」と話した。

チェレビー氏は、アンタリヤとウスパルタの切り花の生産者らは、英国への直接輸出に加えてオランダにもかなりの量の花を輸出している点を挙げ、これに関しては、オランダの顧客も入手したトルコ産の花を(女王の)葬儀のために英国に送っていると述べた。

■従業員数と労働時間の増加

生花を取り扱う企業で品質管理と在庫管理を担当する農業エンジニアのラビア・ユルドゥルム氏は、高原地域での生産量が少ない時期であるため、通常は一日あたり8時間勤務の行程を組んでいるところ、女王の死去を受けて従業員と労働時間の両方を増やさなければならなくなったと語った。

ユルドゥルム氏によれば、調整の結果、1日あたり2時間ずつ勤務時間を増加させ、かつ、9月11日と18日の日曜日も作業日とすることに決定したと述べた。また同氏は、30人だった労働キャパシティは45人に増加したと明らかにした。

■「最低でも150万本」

中央アナトリア観葉植物・商品輸出業者協会のイスマイル・ユルマズ会長は、高原地帯と呼ばれるウスパルタは、夏場、6月から11月にかけてアンタルヤが暑くなる時期の不足を補っているとし、次のように述べた。

「我々は12ヶ月を通して確実に生産できるようにしている。ウスパルタにある生産エリアのほとんどはアンタリヤの生産者で構成されている。ウスパルタにある200万平米の土地は、合計で2億5000万本の生産能力を有する。通常、この時期は毎週60万~70万本の花が英国市場に向けて出荷されるが、エリザベス女王の死を受け、葬儀中の出荷数は最低でも150万本に達するだろうと見込んでいる。英国からの需要が大幅に増している。現在、高地生産ではカーネーションを重点とした生産体制を敷いている。追悼・葬儀関連行事の後も、一定期間はこの需要が続くと予想している」

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:54036 )