スウェーデンでのコーラン冒涜の影にロシアがあるのか?
2023年01月26日付 Milliyet 紙

ミッリイェト紙の取材に応じたウナル教授は、「(昨年)スペインのマドリードで締結された合意に反し、スウェーデンのNATOへの加盟を拒否することをはっきりと示すべきだ。」と述べた。また、ウナル教授は、トルコがスウェーデンのNATO加盟を拒否するようにロシアの諜報機関がこの行為を仕向けたとする意見も評価した。

メルト・イナン記者―スウェーデンで起こった神聖なコーランを燃やすというスキャンダルに対し、抗議が続く中、マルテぺ大学の政治学および国際関係学部のハサン・ウナル教授は、スウェーデンに対し“「平和と文明」の食卓”をもって応答する可能性について言及した。

ミッリイェト紙の取材に応じたウナル教授は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、「重い扇動を含むこのような行為に対し、トルコの宗教指導者たちとともにキュッリエ(モスク内の複合施設)で「平和と文明」の食卓という名のもと、食事会を催したほうがよい。この食事会には、トルコ国内のギリシア正教会、アルメニア正教会、シリア正教会そしてヤフディー教団の指導者らを招き、それぞれの信仰に対する敬意と友情、平和のメッセージを送ることができる。」と話した。

ウナル教授は、スウェーデンに対する抗議に関する提案として「我々の抗議は、スウェーデンのNATO加盟の問題に軸を置くべきである。きちんと手順を踏んで、合意文書に漕ぎ着けるか、そうでなければスウェーデンのNATO加盟を拒否することをはっきりと示す必要がある。」と話した。ウナル教授は、この問題に関する質問に対し、以下のように回答した。

・スウェーデンで起きた挑発的な行為の裏にはロシアの諜報部署が存在し、トルコがスウェーデンのNATO加盟を否定するようにこのような陰謀を仕掛けたとする意見についてはどう考えているか?

もし陰謀説を輸出できるような商品があるならば、トルコはこの分野でとても大きな輸出国になっただろう。このような陰謀をつくっている人々に聞くべきだ、ロシアの諜報部はアメリカやスウェーデン、西側諸国の諜報部署を凌いでこのような行為を計画したのか?つまり全ての西側の諜報部署は寝ていたということだろうか。この主張は合理的ではない。さらには、ロシアの諜報部は全ての西側の諜報部を凌いでこのようなことをすることがまず可能ではない。このような主張はアメリカの選挙の時にも耳にした。ロシアがアメリカの選挙に干渉していると主張していた人々はバイデン氏が勝利すると、全く逆の意見をし始めたものだった。

・トルコ側が厳しく非難するとわかっていながらなぜこのような行為を実行したと考えられるか?

スウェーデンで起こった破壊的な行為には2つの側面がある。スウェーデンの新政府が発足したすぐ後、トルコの要求のために「責務を果たすつもりでいる」と発表したが、スウェーデンのウルフ・クリステション新首相は、トルコ訪問後、スウェーデンへ戻ると正反対の主張をし始めた。クリステション首相は「すべての責務を果たすことはできない。裁判所のシステム上、難しいのだ。」と発言した。これには2つの理由が考えられる。一つ目はスウェーデン政府と世論が、トルコがNATO加盟を賛成しないと確信していることだ。
二つ目の可能性は、スウェーデンのディープステートがトルコに反対する好ましくない考えを課したことだ。コーランを燃やす行為が他のヨーロッパ諸国でも続いて起こる可能性を考慮しなければならない。この挑発的な行為に対して国家的な戦略を構築していくことが最も重要な課題となる。

・スウェーデンでの破壊的な行為に対するトルコの方針や行動はどうあるべきか。

重い扇動を含む行為に対し、エルドアン大統領はトルコの宗教指導者たちとともにキュッリエ(モスク内の複合施設)で「平和と文明」の食卓という名のもと、食事会を催したほうがよい。この食事会には、トルコ国内のギリシア正教会、アルメニア正教会、シリア正教会そしてヤフディー教団の指導者らを招き、それぞれの信仰に対する敬意と友情、平和のメッセージを送る。エルドアン大統領は、このような催しにおいて「平和と文明プロジェクト」を強調しながら、平和と共生、聖書への敬意の大切さを訴えることができる。同様の形で、宗教指導者たちからも似たような発表があると思う。このようにしてすべての西側諸国へ返答するだろう。トルコがこのような動きをすることで、西側は予測が難しくなり、コーランを燃やす行為の裏にもし諜報組織の存在があれば、この組織は失敗したことになる。スウェーデンに対して抗議するならば、この国のNATOへの加盟問題であるべきである。きちんと手順を踏んで、合意文書に漕ぎ着けるか、そうでなければスウェーデンのNATO加盟を拒否することをはっきりと示す必要がある。スウェーデンへのこのメッセージは同時に他のNATO加盟国への脅迫となりうる。PKKやPYDを支援したり、トルコを不快にするような多くの軍事行動をとる国に対してはNATOのカードを行使する、ということを示すことになる。NATO加盟への拒否権は、厳格に行使する必要のある、コーランを燃やす行為とは切り離して使うべき切り札である。

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( 翻訳者:大畠梨紗子 )
( 記事ID:54891 )