アンタキヤにとって早急:間違った再建計画
2023年02月20日付 Cumhuriyet 紙


文化の道プロジェクトと集合住宅局が3月上旬に建設を始めて1年で住宅建設を完成させるとの発表は、文化財復元の専門家達を驚愕させた。

ハタイ県で視察を行ったメフメト・エルソイ文化観光大臣が、文化の道プロジェクトと「1年以内という短期間でここを再建させたいと望んでいる」と述べたことは、この地域の歴史的な重要性という点からいくつかの懸念を生んだ。エルソイ大臣は、「特定個人が所有する私有財産に関する法律改正を行うこと」も付け加えて、3月以降再建事業が始まると述べた。この地域の複数の建物にトルコ共和国文化観光省という印のある「認定文化財。無許可での進入禁止」というプレートが掛けられていることは、喜ばしい展開である。実業界から政界入りし、観光業にも従事しているエルソイ大臣が、ハタイ県の歴史、文化、ガストロノミーの点から価値を知り、保護し、再建を望んでいることは、それだけ称賛に値するものではある。にしても、文化財復元の専門家達は、アンタキヤでとても多くの建築物の下にとても価値があるモザイク画があることが知られているにも関わらず、傾いた建物が原因で明るみにできなかったと指摘し、壊れた作品のみならず、全アンタキヤを考古学地区と繊細に捉え、あらゆる災禍からも良いことは生まれるとの考えで、特に博物館ホテルの建築中に出土したモザイク画がどのような折衷案によって守られたとしても、破壊後の当地域の他のモザイクも取り出して、アンタキヤ再建前に救い出すことが必要であると述べた。

■以前にも倒壊した

知られているように、ハタイ県の郡であるアンタキヤ(アンティオキア)の歴史は紀元前にさかのぼる。ここは、その後発展・成長し、ローマ帝国の4大都市の1つとなった。その時代から残っており、歴史が明るみにされる第1通りも地震までは健在だった。複数の文明の揺籃の地として記憶されるアンタキヤは、今日まで続く文化的な生活の中で、シリア正教徒からムスリム、ユダヤ教、東方正教へと様々な多くの宗教と彼らの礼拝所を抱えている。残念なことに、世界で最も古い教会のうちの一つであり、モスクに転用されたハビビ・ネッジャール・モスクとユダヤのシナゴーグ、ウズン・チャルシュ(長いアーケド付きの商店街)、東方正教会、アンタキヤ・カトリック教会、さらに新しいものでは[フランス委任統治期の]ハタイ議事堂が倒壊したことは、アンタキヤ最大の損失である。

文化財復元専門家たちは、文化観光省のプロジェクト同様に彼らが仕事を委ねた業者が行う誤った干渉を恐れており、例としてガズィアンテップで地震の際に角砂糖の様に崩れ落ちたガズィアンテップ城塞の城壁を例示し、これらは最後の改修を請負った業者が行った石の積み上げ作業であると述べている。

■保護のプレートが掛けられた

現在、文化観光省および公的文化財の被害検証が終了している。個人の私財となる建物にも保護のプレートが掛けられ、無定見な瓦礫の撤去作業を妨げている。こうして同省がハタイ、アンタキヤにある全ての登記された建物の責任を担っているのは、保護の点で非常に重要かつ有用である。今後、地域専門家達と共同してアドゥヤマンで唯一倒壊しなかったコマゲネ文化センター、ネムルート地区運営のような恒久的なものを作る[べきである]。アンタキヤは歴史上常にこうした大きな地震で破壊され、倒壊し、何十万もの人を失ってきたが、灰の中から再生してきた。

アンタキヤ文化遺産保護協会のケナン・ユルタギュル会長も地震の中で偶然にも生き残った一人である。同会長は、経験したことを雑誌birartıbir(1+1 Express)に語った中で、離れざるを得なくなった町に再び戻ってくると言い、再建を焦るべきではないと述べている。

「三月初めにTOKİは家の建設を始めると指示したが、信じられない。大アンタキヤ地震をも考慮して町の計画を練るべきである。倒壊場所に同じような家を据えて人々に死を宣告するのを認めてはならない。これだけの瓦礫をどこに運ぶというのだ。アーミク平野に置いては、農業が終わることになる」と述べた。

同会長が「戻ってくる、希望を絶やすな、ハタイ」と述べるように、地域の人々と長期的な共同計画を作るべきである。アンタキヤ、ハタイは[イスタンブルの]バシャック・シェヒルや博物都市になってはならない。傷を覆い、作業を終え、瓦礫を取り除き、人々が身を寄せる場所を作る、文化財を保護する、これらは確かに最も重要だ。しかし取り戻せない過ちを作ることよりも、大惨事をチャンスに変え、アンタキヤを再建することも可能としなければならない。10日後に建設を始めるようでは、建設業者に利益をもたらすのみである。

■サヴァシュ市長「共にやろう」

ハタイ広域都市のリュトフ・サヴァシュ市長はハルクTVのセルハン・アスケルの番組に出演して、環境・都市・気候変動省のムラト・クルム大臣に呼びかけ「ハタイを共に考え、立ち上がらせよう。断層から遠い場所に新都市を建設しましょう。すぐに建設を始めないでほしい、ひと月、数ヶ月遅れたとしても、きちんとした仕事をしよう。ハタイの特色が失われるのを望まない。私たちはいくつかの大学と共同している。ハタイの様々な職業団体も招いて、再び特色・特徴に適った都市を作りましょう」と要請した。

(後略)

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:55076 )