サルイェルの教会、襲撃される
2024年01月28日付 Hurriyet 紙


イスタンブルのサルイェル地区にあるサンタ・マリア教会が、覆面をしたふたりの人物により襲撃され、トゥンジェル・ムラト・ジハンさん(52)が命を落とした。襲撃の容疑者は逮捕された。容疑者逮捕後、トルコのイェルリカヤ内務大臣が事件に関する最新情報を共有しつつ、「30箇所で家宅捜索が行われ関係者47名が拘束されるとともに、2名の容疑者が逮捕された。2名とも外国人で、1人はタジキスタン出身、もう1人はロシア出身。我々はこの2名をイスラム国(IS)メンバーではないかと考えている」と述べた。

サルイェルのサンタ・マリア教会は、日曜礼拝中の11時40分頃、覆面の2名により襲撃された。この襲撃でトゥンジェル・ムラト・ジハンさん(52)が命を落とし、襲撃犯2名が逮捕された。


■襲撃犯2名逮捕、47名拘束

イェルリカヤ内務大臣は、サルイェルのサンタ・マリア教会で起きた襲撃事件に関し、イスタンブル県警本部で記者会見をおこなった。

サルイェルで起きた襲撃事件で命を落としたトルコ国民トゥンジェル・ムラト・ジハンさんの遺族・近親者にあらためて哀悼の意を表し、「ご存知のとおり、本日、サルイェルのサンタ・マリア教会は、日曜礼拝中、覆面をした二人の人物による武力攻撃を受けた。この襲撃事件でトゥンジェル・ジハン氏という名の市民が不幸にも命を落とした。事件直後に発表した声明のなかで私は、加害者を一刻も早く逮捕して司法の裁きにかけると述べた。そしてこの事件を強く非難すると述べた。凶悪な襲撃を受け、イスタンブル警察は非常に迅速かつ包括的な捜査を開始した。我々の警察部隊は一日かけて 30箇所の住所を捜査し、これまでに 47 人が拘束された。

最終的に、特定された住所に対しておこなった強制捜査により22時に凶悪な殺人容疑者2名ともが逮捕された。両容疑者が外国人であることをお伝えする」と締めくくった。

■「外国人二名は、ひとりはタジキスタン出身、もうひとりはロシア出身のIS」

トルコのイェルリカヤ内務大臣は殺人容疑者2名が逮捕されたとし、「事件発生から12時間以内に殺人容疑者をふたりとも逮捕したイスタンブル警察と英雄的な活躍をみせた警官らに感謝したい。教会で発生した殺人事件の闇は、容疑者からの聴取を経て解明されるだろう。親愛なる報道関係の方々に強調しておきたいことは、我々の文明の至宝であるイスタンブルは何世紀にもわたって多様な宗教・宗派を受け入れてきたし、今後も受け入れていくということだ。我々は(それを)トルコの平和と呼ぶ。我々は、トルコの平和を破壊しようとする者、テロリストとその協力者、国内外の犯罪集団、さらには我が国の団結を危うくしようとする者には断固たる措置を取る。改めて、命を落とされた国民とそのご家族、親戚の方々にお悔やみを申し上げる。最後に、我々は分離主義によるテロをはじめとするあらゆるテロと決意と覚悟をもって戦う。2023年6月1日以来、我々は特にイスラム国(IS)に対して1046件もの作戦を実施してきた。それにより2086名が逮捕され、529名が拘束された。さらに404件の法的制御(取り締まり)にかんする決定が下されたことも示しておきたい」と述べた。

■エルドアン大統領からお見舞い

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、イスタンブルのサルイェル地区にあるサンタ・マリア・イタリア教会で起きた襲撃に関して、教会関係者らと電話で話した。エルドアン大統領は教会信徒全員のためにお悔やみを述べ、その中で、「犯人を一刻も早く逮捕するために必要な措置が講じられている。あいにくこういった殺人者はどこにでも現れ、そうした者どもはいつも明らかに無実の人々に代償を払わせる。現在、我が国の警察が総力を結集している。犯人はまもなく捕まるはずだ。知事らも現場にかけつけており、追跡している」と述べた。

またエルドアン大統領は、サルイェル地区オメル・カライル区長の隣にいた在イスタンブルポーランド総領事のヴィトルド・レスニャク氏とも電話会談をおこなった。エルドアン大統領は「まずはお見舞い申し上げたい。また、私からのお見舞いを教会信徒の方々全員に伝えていただければありがたい。皆さまに平安がありますように。遅かれ早かれ、というより24時間以内に犯人を見つける」と話した。レスニャク氏総領事もエルドアン大統領に謝意を表明した。

■襲撃の瞬間を教会防犯カメラが記録

礼拝中の教会で起きた襲撃の様子が教会の防犯カメラに記録されていた。映像では、まず覆面をした容疑者2人が教会に侵入する。その後、容疑者らが発砲し、覆面をした人物が、襲撃直前に教会に入った人の頭を銃で殴り、逃走していく(という様子が記録されていた)。

■トゥンチ大臣:容疑者らは拘束中

ユルマズ・トゥンチ法務大臣は自身のSNSアカウントで、「イスタンブルのサルイェル地区にあるサンタ・マリア教会で、礼拝中にトルコ国民が襲撃され亡くなった事件について、イスタンブル共和国検察庁が実施した一連の捜査で容疑者が拘束され、逮捕された。容疑者とその周辺関係について多面的かつ綿密な捜査が進められている。お亡くなりになった国民のご遺族に哀悼の意を表したい。我が国民の平和と安全を脅かすテロ組織や悪の集団に機会が与えられることは決してない」と述べた。

■襲撃事件に関する報道規制

サンタ・マリア教会で発生した襲撃事件に対する報道禁止令が発動された。

■宗務長官による弔問

宗務庁のアリ・エルバシュ長官が襲撃事件の起きた教会を訪れた。訪問後、アリ・エルバシュ長官の発言は次のようにコメントした。

「本日、サルイェルの教会で悲しい事件が起こった。礼拝中の教会を正体不明の人物が襲撃し、市民の1人が死亡した。これを受け、我々は弔問とお見舞いを述べるために司祭と教会関係者を訪った。特に申し上げたいのは、多様性というものは我々にとって財産だということだ。礼拝中の至聖所の神聖さは侵してはならない。我々の信仰に照らせば、どの宗教であれ、モスクだけでなく教会やその他のシナゴーグも、それらの聖なる場所は不可侵性を持つ。したがって、私は教会で、しかも礼拝中に起きた襲撃を強く非難する。亡くなられた被害者のご遺族にお悔やみを申し上げ、回復をお祈りする。我々は国家として、そして国民としての団結と連帯を常に維持していく。」

■「襲撃者には罰が下る」

異なる信仰を持つ人々が共に生きることは、我々にとって宝なのだ。我々の文明は、歴史を通し今日まで、異なる信仰や文化をもつ人々が平和に共存してきた、そして世界の模範となる国家なのであり、祖国なのである。このような文化、文明の申し子として、我々はわが団結と連帯を壊そうとするあらゆる悪とは一致団結して戦う。わが国家は偉大であり、内務省や法務省、関係者らがこの事件を解決するのは間違いない。襲撃者はまもなく逮捕され罰が下る。命を落とした同胞のご遺族にお悔やみを申し上げるとともに、ご回復をお祈りする。こうした痛ましい出来事が二度と起こらぬよう願っている。悲痛な事件が、教会でもシナゴーグでもモスクでも、いかなる場所でも二度と起こらぬよう願っている」

■「犯人らの目標は達成されない」

公正発展党のオメル・チェリキ報道官は、「イスタンブルのサルイェルにあるサンタ・マリア教会で礼拝中にトルコ国民のひとりが武力攻撃を受けたことに対し強く非難する。我が国の治安部隊が事件に関する大規模捜査を行っている。トルコ国民の平和と安全を脅かす者がその目的を達成することはありえない」と声明を発表した。

(政府関係者のコメント)
ジェヴデト・ユルマズ副大統領:
「我々はイスタンブルのサルイェルにあるサンタ・マリア教会で礼拝中に起きた襲撃を強く非難する。また、命を落とした方のご遺族にお悔やみの意を表する。事件を解明し、正義の下に加害者の責任が追及されるために我々の治安部隊が大規模捜査を行っている。」

大統領首席顧問(外交政策・安全保障担当)アキフ・チャアタイ・クルチ氏:
「サンタ・マリア教会への襲撃を強く非難し、命を落とした方のご遺族にお悔やみを申し上げたい。トルコではこのような挑発行為は決して許されない。襲撃事件について多方面の捜査がなされており、各機関が必要な作業を進めている。加害者はまもなく早く逮捕され、司法の下に責任を問われるだろう。」

公正発展党イスタンブル広域市長候補ムラット・クルム氏:
「サルイェルのブユクデレ地区にあるサンタ・マリア・イタリア教会で礼拝中に行われた襲撃を強く非難する。私はアントン・ブライ司祭に電話で弔意を表した。幾世紀にもわたる我々の同胞愛の法則と共生をめざす意志を狙った卑劣な襲撃がその目的を達成することはありえない。」

イスタンブル広域市のエクレム・イマムオール市長:
日曜礼拝中に覆面をした2名によって襲撃されたサルイェルのサンタ・マリア教会を訪問した。市長は「残念だ。イスタンブルは歴史を通じ、あらゆる異なる信仰や民族を受け入れてきた都市だ。この点で私は今日起こった襲撃を非難する。亡くなった市民にお悔やみを申し上げる」

■「誰に対しても敵意を持っていなかった」

襲撃で死亡したトゥンジェル・ムラト・ジハンさんの母方のおじであるカーズム・アイデミルさんは、「トゥンジェルは誰に対しても敵意など持っていなかった。私も別の教会にいたが、電話を受けてすぐにここにやって来た」と語った。

■「暗殺ではなく運命」

また、殺害されたトゥンジェル・ムラト・ジハンさんの父方のおじであるチャウン・ジハンさんは、「(被害者は)政治や人間関係において何も悪いことはしていない。ただ偶然現場に居合わせただけだ」と語った。そして「(被害者は)敵意をもった人間でしたか?」との質問には、「純粋で素朴な、純朴な人間だった。間違いなく無実の犠牲者だ。決して暗殺されるような人物ではない。運命だった」と回答した。(被害者は)自分の子供ではなく、アリベイキョイで母親と暮らしており、軽度の知的障害があったことも明らかにした。

■「天使のような人物」

事件後、最初に教会に入った人々のひとりであるジャック・ムトゥル氏は、「とても驚いた。(被害者は)皆が言う通り謙虚で天使のような人物だった」と語った。

■犯人らは自動小銃で武装

CNNトルコ放送局イスタンブルニュースのディレクターであるニハト・ウルダー氏は、襲撃犯は自動小銃を持って教会にやって来たと語った。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:57213 )