ウォールストリートジャーナル「なぜヨーロッパはエルドアンに甘いのか」
2025年04月01日付 Cumhuriyet 紙


アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、「ヨーロッパはトルコを必要としているため、エルドアンの弾圧を黙認している」というタイトルの記事で、過去においてトルコの野党弾圧の試みに対してヨーロッパが厳しく反応していたが、現在ではそうした批判がかなり限定的なものになっていると指摘した。

イスタンブル広域市市長エクレム・イマムオール氏の「汚職」捜査による拘束は、海外メディアでも波紋を広げ続けている。
WSJは記事で、「ヨーロッパ諸国がアンカラにおける抑圧的な政策に対して沈黙したままであること」を批判している。

記事において、過去にはトルコの野党弾圧に対してヨーロッパが強く反応していたが、現在ではそうした批判が限定的なものになっていると強調されている。WSJは、その根本的な理由として、ロシアによる安全保障上の脅威とワシントンとブリュッセル間が緊張状態にあることで、ヨーロッパとトルコの間に地政学的な結びつきが存在することを挙げている。

■「ヨーロッパの声明は弱いままだった」

WSJは「フランスをはじめとする一部のヨーロッパ諸国がイマムオール氏の拘束に対して、『深い懸念』を表明したものの、これらの声明は弱々しく、トルコの内政と安全保障協力との間に関連性を見出さなかった。」と報じている。

記事では、ドイツ国防省の元高官でミュンヘン安全保障会議の上級メンバーであるニコ・ランゲ氏の見解も紹介された。ランゲ氏は「ヨーロッパ人は倫理的優位性を有し、正しいことをするという伝統が存在する。しかしながら、安全保障に対してより『成熟した』地政学的アプローチが必要だ。トルコと協力することは我々の利益になり得る。」と述べた。

ニューヨーク・タイムズに寄稿した記事において国際社会の世論に訴えたイマムオール氏の拘束は、多くのヨーロッパ政治家の間でも話題になった。
イタリア下院議員リア・クアルタペッレ氏はWSJが行った取材で、「ヨーロッパ人は、エルドアン体制の権威主義的な性質をはっきりと認識すべきだ。トルコをノルウェーやカナダのような民主主義国家と同じカテゴリーに置くことは大きな誤りだ。」と話した。

■「この状態は永遠に続くのか?」

ヨーロッパ外交問題評議会の上級政策研究員で、NATO事務次長も務めたカミーユ・グラン氏は、トルコとの安全保障関係において、内政の動きを無視し続けることの限界を指摘し、次のように述べた:

「この状態が永遠に続くのか?現在の状態はやや複雑だ。トルコ国内での弾圧や抗議の規模次第である。」

ヨーロッパにおける全体的な対応を「安全保障のための沈黙」と表現するWSJは、トルコが地理的にも戦略的な重要な国であるため、西側の主要な同盟国であり続けている一方で、それが民主主義や人権に関する妥協の言い訳となっていると述べた。

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( 翻訳者:鈴木啓太 )
( 記事ID:59904 )