ゼレンスキー、ウクライナ代表団を発表、イスタンブルでロシアと交渉へ
2025年06月01日付 Hurriyet 紙
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ代表団が停戦協議のため月曜(2日)にイスタンブルに到着すると発表した。他方、ウクライナ軍はロシアに対して、過去最大級の包括攻撃に乗り出し、ウクライナから約2000キロ離れたシベリア東部の露空軍拠点を無人航空機で攻撃した。ウクライナ当局は、これまでに露軍航空機を少なくとも40機破壊したことと、作戦の継続を発表した。露プーチン大統領はこの攻撃を受けて安全保障理事会の招集を決定。
トルコ外務省筋は、明日(2日)イスタンブルで開催されるロシア・ウクライナ会談について情報を公開した。会談は13:00に開始される。両国代表団はチュラーン宮殿で一堂に会することになる。
ウクライナの独立死守に尽力してきたとウクライナの指導者ゼレンスキー大統領は、自身が任命した代表団が月曜(2日)にイスタンブルに到着し、ロシアの代表団を待ち受けると述べた。
ゼレンスキー大統領はテレグラム(SNSのひとつ)アカウントで文書声明を投稿。この声明で大統領は、国防相、外相、保安部隊の幹部らと会議を行ったことを明らかにした。また、ロシアとの会談では「完全かつ無条件の停戦」のほか、捕虜および拉致された子ども達の帰還も議題に上がるだろうと強調した。
イスタンブルでの和平交渉の場で議論されるべき課題について、ゼレンスキー大統領は次のように述べた。
「ウクライナ代表団が提示する議題として、第一に完全かつ無条件の停戦、第二に捕虜の解放、第三に誘拐された子らの帰還が上げられる。確実かつ永続的な平和を確保し、安全を保障するために最高レベルの会談を整えねばならない。指導者層同士でしか根本的な問題解決はなされない。月曜のウクライナ代表団は、ルステム・ウメロウ国防相が団長を務める。」
■ロシア代表団も出発
ロシア国営通信社「タス」は、月曜(2日)にイスタンブルで行われる会談に出席するため、ロシア代表団が出発したことと報じた。タス通信は、匿名のクレムリン幹部発言を引用する形で、ロシア代表団が予定通り会談に出席するとの見込みを報じた。
先週、クレムリンのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、イスタンブルでの和平交渉継続を示唆する文脈で、ロシア代表団をトルコに派遣することを決定したと発表していた。露セルゲイ・ラブロフ外相も、イスタンブルでの交渉でロシア代表団がウクライナに覚書を提出すると述べた。ただし覚書の内容に関する情報はロシア側からは明らかにされていない。
トルコ外務省筋によれば、明日イスタンブルで予定されている露ウクライナ会談は、13:00からチュラーン宮殿で行われる。
■露空軍へのウクライナの軍事作戦
ウクライナ軍は、ロシアへの包括的な軍事作戦に乗り出したと発表。ウクライナ当局によれば、この軍事作戦はロシアの防空システムおよび戦闘機を標的としている。ウクライナ情報筋は、ウクライナの情報部隊と軍の連携による攻撃作戦だとしている。
AFP通信は、ウクライナが今日(1日)、露軍機に「大規模な」攻撃を開始したことがウクライナ治安部隊情報筋によって裏づけられたと報じた。この情報筋によれば、ウクライナは国境から数千キロ離れたシベリア東部のロシア空軍基地を攻撃した。
ウクライナのメディアは、この攻撃でこれまでに40機以上のロシア軍機が破壊されたとしている。また各ニュースも、今回の軍事作戦は特にロシアの軍事航空拠点に対して行われたものだと報じた。ウクライナ当局は、軍事作戦は継続中と発表している。
■ウクライナ、露戦略巡航ミサイル運搬母機の34%を撃墜と発表
ウクライナ保安庁(SBU)も、無人航空機(UAV)を用いた露軍事空港への攻撃に関して、テレグラムアカウントで上で声明を発表。
同庁は、「パブティーニ(ПАВУТИНИ:蜘蛛の巣)」と名づけられた「特殊作戦」が実行され、ロシア航空戦略全体に70億ドル相当の損害を生じさせたとの推計を明らかにした。
この声明では、作戦に関する詳細情報は後日発表とされているが、「ロシア連邦の主要空港に設置された戦略巡航ミサイル運搬母機の34%を撃墜した」との情報が明らかにされた。
声明は、ウクライナ領内のロシア軍を後退させるためには「できることはすべて」行うと強調されている。
■ロシア側も攻撃みとめる
露メディアのひとつであるロシア・トゥデイ(RT)は、シベリア東部イルクーツク州の軍事施設がウクライナの無人航空機の標的となり攻撃されたことをイゴール・コブゼフ州知事がみとめたと報じた。コブゼフ知事によれば、攻撃されたのはバイカル湖から約150km離れたスレドニィ村付近。
コブゼフ州知事は、無人航空機は小型トラックから発射されたと述べる一方、攻撃に用いられた無人機の数は明らかにしなかった。同知事は、攻撃を受けた空港は立ち入り禁止措置がとられていると述べ、「民間人が危険にさらされる状況はなかった」と付け加えた。また、救急隊と法務執行官が現場に派遣されたことも報告した。
ロシア北極圏のムルマンスク州アンドレイ・チビス知事も、ムルマンスク州が無人航空機攻撃の標的とされたことを発表した。チビス知事は、ロシアの防空システムが同州へ飛来した無人航空機を阻んだとの声明をテレグラム上で発表した。
■ロシア国防省の声明
ロシア国防省も、ロシア領内航空拠点で爆撃機40機以上が撃墜されたウクライナの攻撃に関して発表をおこない、「キエフ政権は、ムルマンスク州、イルクーツク州、イヴァノヴォ州、リャザン州、アムール州の空港に対して無人航空機によるテロ攻撃をおこなった」との声明を明らかにした。
同声明によれば、イヴァノヴォ州、リャザン州、アムール州の軍事空港への攻撃は退けられた。「ムルマンスク州とイルクーツク州では、飛行場付近の地域から無人航空機が発射され、その結果、航空機数機が炎上した。火災は鎮火され、軍人および民間人にはいかなる損害もなかった」と明らかにされた。
また、攻撃にかかわった人物が拘束されたことも発表された。
■プーチン大統領が安全保障理事会を招集
露プーチン大統領は今回の攻撃を受けて安全保障理事会の招集を決定。露メディアは、クレムリンが攻撃に対して報復するのではないかと主張している。
露メディアはこの件について、攻撃の際、ウクライナがロシアの核弾頭搭載爆撃機を破壊したと報じている。
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( 翻訳者:原田星来 )
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