レバノン:「ヒズブッラー」はイスラエルによるイラン侵略に反撃する意向を持たず
2025年06月13日付 al-Quds al-Arabi 紙


■「ヒズブッラー」はイスラエルのイラン侵略を非難するに留まる…「イスラエルへの攻撃に着手するつもりはない」

【ベイルート:本紙】

イスラエルのイラン侵略を受けて、レバノンの一部の人々は、この攻撃に対する2つのシーア派勢力の立場、特に「ヒズブッラー」がイスラエルに対する報復に加わる可能性について予測していた。しかし同「党」の幹部は、『ロイター』通信に対し、「我々はイランへの攻撃に応じて、イスラエルに対する攻撃に着手するつもりはない」と述べた。

ヒズブッラーが発した公式声明ではいかなる報復についても言及されず、むしろ侵略の非難がなされるに留まった。声明では次のように述べられている。「ヒズブッラーは、イラン・イスラーム共和国を標的としたイスラエルの不正な侵略を強く非難する。この侵略は、米国の全面的な支援や庇護のもとで、あらゆる規範やルールを逸脱するシオニストの経路における、危険なエスカレーションを体現するものである。ヒズブッラーは、この敵がいかなる論理や法を遵守することはなく、殺戮、発砲、破壊という言葉しか知らないことを確認する。そして自らの侵略的目的に資するよう、また自らを内部的な危機から救うために、愚行へと飛びつき、地域全体に火をつけかねない無謀行為に走るようになった」。

声明は加えて、「これまでの間、地域の安定と安全を守るために費やされた全ての努力は、敵性政府によって粉砕され、台無しにされた。彼らは地域的・国際的な安全を深刻な危機にさらしており、その影響は望ましくない結末をもたらす可能性がある。この地域の人々と国々は、もしこの侵略が、拒絶や非難、あるいはイランとその国民に味方する立場によって対峙されないことになれば、この犯罪政体は、侵略と暴政をさらに拡大し、この地域に対する米国とイスラエルの覇権計画を強め、人々の利益の毀損、富の略奪を強化するだろうということを意識しなければならない」と述べた。さらに、「イスラーム共和国はこれまでの間、自制を保ち、イスラエルの煽動や敵対的な行動に巻き込まれることがないよう尽力してきた。また自国に発展と進歩と安寧を保証する平和的な核エネルギーの生産という当然の権利を保たせながら、危機の火種を除去するための、あらゆる国際的な働きかけに応じてきた」と指摘した。

さらに同党は次のように声明を続けた。「敵であるイスラエルは、それによって方程式が変わると考えながら、全てのレッドラインを踏み越えた。しかし彼らは、偉大なるイラン国民が、自らの正当かつ当然の権利により固執し、自らの自由と尊厳と独立を強く擁護し始めることに気が付くだろう。ヒズブッラーは、この侵略は、もし米国の直接的な同意や調整、支援がなければ起こらなかったと明言しているが、米国政府は、いかなる影響を回避するためにそれを否定しようとしている。ヒズブッラーは、この危険な攻撃に関して、指導部に対してであれ、国民に対してであれ、イラン・イスラーム共和国との完全なる連帯を表明し、このような侵略がイランを弱体化させることなく、むしろ危機への対峙に際した力強さと強固さを、そして自らの主権と安全保障を守る決意を増させるだろうことを確認する」と述べた。

ヒズブッラーは、「アリー・ハメネイ師や、イランの共和国大統領と政府、革命防衛隊の司令官、そして親愛なるイラン国民に対し、この不実な侵略のなかで召されてしまった全ての敬虔な殉教者に関する心からの弔意」を送ることで声明を締めくくった。そして、「アッラーがその広大な慈悲で彼らを包み込んでくださいますように」と祈り、「アッラーのお許しがあるならば、この潔白な血は、必ずこの犯罪政体にとって災い以外となることはないだろう」と確認した。

一方ナビーフ・ビッリー国民議会議長は次のように声明を発表した。「イラン・イスラーム共和国を標的としたイスラエルの侵略は、国際法や独立国家の主権、その近隣地域の安定に対するあからさまな侵害とみなされるかぎりにおいて、あらゆる基準のもとで非難されるべき行為である。またそれは、決定的な証拠をもって、また疑いの余地を排斥するかたちで、ガザ地区やレバノンでの、そして本日夜明けのイラン・イスラーム共和国に対する継続的な侵略戦争を通じて、さらにその政治、軍事、治安といった各レベルでの振る舞い通じて、この政体が、各独立国家の国境を越え、国際的な安全保障と安定に対する脅威となっていることを示している」と確認した。

さらにビッリー氏は次のように述べた。「我々は、指導部に対してであれ、国民に対してであれ、革命そのものに対してであれ、イラン・イスラーム共和国への完全に連帯し、同国の側にあり続けることを確認するとともに、この不実な侵略によって命を落とした殉教者の遺族に対して、もっとも深い心からの弔意を分かち合い、負傷者らに対しては速やかな回復を願う。また国際社会に対しては、手遅れになる前に、イスラエルの侵略に歯止めをかけ、それを停止するための真剣で明確な立場を取るよう呼びかける。イスラエルの侵略は、人間や子ども、安全保障、安定、国際法、国際決議だけを殺しているのではなく、何よりも先に、世界と中東地域において、公正かつ包括的な平和の基盤を築くための、あらゆる取り組みや努力をも殺している」。

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( 翻訳者:庄司陽 )
( 記事ID:60313 )