シリア:イスラエルのシリア攻撃に関してシャルア暫定大統領が声明
2025年07月17日付 その他 - シリア国営通信 紙
■シャルア暫定大統領:シリア国民はシリアの統一の安定の維持のための愛国的闘争の渦中に立つ
【ダマスカス:本紙】
アフマド・シャルア・シリア・アラブ共和国暫定大統領は「シリア国民は自由と尊厳のために自らを犠牲にして偉大な勝利を実現した。彼らは今日、シリアの安定を標的とし、人々の間に混乱を植え付けようとするイスラエル政体の試みに直面して、国家の統一と祖国の粘り強さを護るための愛国的闘争の渦中に立っているのだ」と述べた。
シャルア暫定大統領は今日の夜明けに放送された演説の中で以下のように述べた:
「親愛なる祖国を震撼させている一連の出来事のさなか、これらの言葉を心からのメッセージとしてあなた方国民に贈ることは愛国的な義務であると感じている。あなた方国民は、常に困難に立ち向かい続け、1日たりとも確固たる信念を取り下げることはなかった。シリアが自由で高潔であり続けられるように、かけがえのない犠牲を払ってきたあなた方国民は、誇りと尊厳を切望する諸国民の最前線に立っている。あなた方国民は自身の自由を得るために革命に出て、多大な犠牲を払いながらも勝利を収めた。しかし依然として、いかなる脅威によってその尊厳が損なわれた場合に備えて、闘いに身を投じる準備ができているのだ。
誇り高きシリア国民たちよ、我々は今日この新たな課題に直面している。我々は国家の統一の国民の尊厳、そしてウンマの粘り強さを護るための闘いの渦中を生きている」。
さらに同大統領は、次のように説明した。「前体制が崩壊して以降、イスラエル政体は我々の安定を標的とし、我々の間に混乱を生じさせることに当たり前のように慣れ親しんできた。この政体は今再び、我々の高潔なる大地を終わりなき混乱の舞台へと変えようとしている。そうすることによって、シリア国民の統一を破壊し、国家の再建・復興へと前進する我々の能力を弱体化しようと試みているのだ」。
この政体は、シリア国民が長い歴史を通じてあらゆる分断と分裂を拒否してきたという事実を無視しながら、あらゆる手段を用いて対立と紛争の種を撒くことをやめようとしない。偉大な力を所有していることは、必ずしも勝利の実現を意味するわけではない。同様に、ある場所での勝利は他の場所での成功を保証するわけではない。戦争を始めることは可能であるかもしれないが、その結末をコントロールすることは容易ではない。我々はこの土地の子供たちであり、政体イスラエルが我々を引き裂こうとするあらゆる試みを乗り越える力を有している。我々はまやかしの分断によって揺るがされることは決してない」。
さらに同大統領は続けた。「この土地の子供たちである我々は、誰が我々を戦争に引きずり込もうとしているのか、また誰が我々を引き裂こうとしているのかをよく知っている。彼らが我々の大地で引き起こすことを望んでいる戦争に、我々の国民を巻き込む機会を彼らに与えることはない。つまりそれは、混乱や破壊に向けて我々の祖国であれ努力を打ち砕く以外の目標を持たない戦争である。シリアは外国の陰謀のための実験場ではなく、我々の子供たちや女性たちの血を犠牲にして他者の野望を叶える場所でもない。
同大統領は次のように強調した。「シリアという国は皆のための国家であり、祖国の尊厳や威厳そのものである。この国家を通じて、祖国が自ら再建される姿を見ることは、全てのシリア人にとっての夢である。我々は皆、シリアに威信を取りもどし、シリアを諸国の最前線へと押し上げるために、この国家を通じて差別なく一つになるのだ。
新しいシリアを建設するために、我々全員が我々の国家のもとに結集し、その原則を遵守しなければならない。そして祖国の利益を全ての個人的な利益や限定的な利益よりも優先させなければならない。我々が今日必要としているのは、我々皆がこの建設における同志となり、直面している全ての課題を乗り越えるために手を取り合って働くことだ。団結は我々の武器であり、真摯な取り組みは我々の道である。そして我々の確固たる意志こそが、その上に栄えある未来を建設するための基盤である。
同大統領は次のように述べた。「同様に私の言葉を、この祖国を織り成す正真正銘の一部で、我々の国民であるドゥルーズ派にも贈る。シリアは分断と分裂の場に、あるいは国民の間に混乱を植え付ける場には決してならない。我々はここに、あなた方の権利や自由を守ることが我々の優先事項であり、あなた方を外国勢力のもとへ誘引することや我々の社会の間に分断を引き起こそうとする全ての試みを拒絶することを確認する。我々は皆この大地における同志であり、いかなる集団がシリアやその多様性を表現する美しいイメージを損なうことを容認しない。
シリア国家はその全ての機関や指導部とともに、意志と決意をもって、スワイダー県やその周辺地域で発生した、長きにわたる相違に起因する武装グループ同士の内的戦闘を抑制するために介入を行った。しかしその結果、事態の鎮静化に国家が役立とうとする代わりに、混沌や混乱や無為、不和の扇動に慣れ切った不法グループが現れた。そしてこのギャングの指導層は何か月にもわたって自ら対話を拒みつづけ、自らの偏狭な個人的利益を祖国の利益よりも優先させたのだ。さらにここ数日にいたっては、民間人に対して犯罪という犯罪を実行し続けたのだ。
これにもかかわらず、内務省と防衛省は、治安の維持や同地域で起こっている情勢激化を抑えるための取り組みの一環として、スワイダー県で広範な展開を実行した。その結果、イスラエルの介入にもかかわらず安定を取り戻し、不法グループを追放することに成功した。ここでイスラエル政体は、こうした取り組みを損なうべく、民間や政府の施設を標的とした広範な攻撃を実行した。これにより状況は大きく複雑化し、事態は広範囲にわたる激化へと導かれてしまった。
もしこの地域を未知の運命から救ってくれた、仲介を目的とした米国やアラブ諸国、トルコの効果的な介入がなければ、我々は2つの選択肢の狭間に置かれることとなっていただろう。一つ目は我々の民であるドゥルーズ派と彼らの安全を犠牲にしたイスラエルとの無制限の戦争であり、シリアや地域全体の安定を揺るがすこととなっただろう。二つ目は、ドゥルーズ派の有力者やシャイフが正気に立ち返り、祖国の利益を高貴なる山の民の名誉を毀損したい考える人々に対して、祖国の利益を優先するのを許すことであった」。
さらにシャルア大統領は次のように付言した。「我々は戦争を恐れる者ではなく、困難に立ち向かい人々を守ることに年月を費やしてきた。しかし我々は、混乱や破壊よりもシリア人の利益を優先してきた。そしてこの局面において最善の選択肢は、祖国の最大限の利益に基づいて、祖国の統一や国民の平和を護るために慎重な決断を下すことであった。我々はそれゆえ、スワイダーにおける治安維持の責任を地元派閥やシャイフ・アクルたちに託すことを決めたのである。この決定は、祖国の統一に対する現状の危険を重々に認識していることに起因するものであり、国家が新たに広範な戦争へと滑り落ちていくのを避けるためでもあった。そしてその戦争とは、破壊的な戦争から復興し、前体制が残した政治的、経済的苦境から立ち直るという最大の目標から、国家を遠ざけかねないものであった」。
同大統領は最後に次のように述べ、声明を締めくくった。「我々は、我々の国民であるドゥルーズ派を虐げ、傷つけた者を問責することに意欲的である。ドゥルーズ派は現在、政府や高官の保護下にあり、法と正義は例外なく皆の権利を守っている。我々は今ここに、シリアが解放されて以降、着手している再生と復興の道筋を損ないかねない全ての危険から距離を置きつつ、国の統一や安定、そして国民の平和を守り、国民の未来を保全するために尽力していくことを確認する」。
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( 翻訳者:清久功介 )
( 記事ID:60492 )