シリアで分裂深まる―シリア政府パリ協議から退く
2025年08月09日付 Medyescope 紙


シリアのダマスカス政権は、北部及び東部シリア自治行政区(通称ロジャヴァ)で開催された地方分権的憲法の制定を呼びかける会議に反意を表明。仏首都パリで開催予定の協議に出席しないことを発表した。

シリア政府は、シリア民主軍および同軍の支配地域の将来に関する議論を目的としてパリで開催予定だった協議に参加しないと表明した。この協議は過去にも一度延期されており、今回、シリア政府がパリ協議への不参加を表明したことで(開催が)不透明な状況に陥っている。

政府の声明は、ロジャバで開催され約500人が参加した「北部及び東部シリア構成地域共同方向性会議」直後に発表された。シリア政府高官がシリア国営通信社SANAに語ったところによれば、この会議はシリア民主軍の中央政権への統合を目指す3月10日合意に反するものだという。同関係者は、「この会議は現在進行形の交渉努力を妨げた。したがって我々はパリで開催予定のいかなる会議にも出席しない」と述べた。

■ロジャヴァで何が議論されたのか?

ロジャヴァ会議では、地方分権を基本とする新たな憲法の制定が呼びかけられた。同会議は、シリアの民族的、宗教的、文化的多様性豊かさが強調され、この多様性を政治的・行政的な枠組みで強化する必要性があると締めくくられた。あわせて自治行政モデルが国にとって適切かつ有益であることが表明された。

会議のなかでは、最近、数百人が戦闘で命を落としたドゥルーズ派とアラウィー派それぞれの指導者からのビデオメッセージが共有された。出席者には、3月10日合意に署名したシリア民主軍マズロウム・アブディ司令官も含まれていた。当時、アブディ司令官は、シリア暫定政権のアフマド・フサイン・アッ=シャラア暫定大統領と共に署名していた。

■中央集権か、地方分権か?

年内に終了予定だったはずのパリでの統合協議は、ダマスカス政権の決定により開催計画が危険にされされることになった。シリアとトルコの両政権は国内の中央集権的な統治構造を維持する方針である。米国アンカラ大使兼シリア特別代表トム・バラック氏もこの姿勢を支持しており、「一つの祖国、一つの民族、一つの軍隊、一つの政府」の理念を主張した。

一方、ロジャヴァを支配するシリア民主軍は非中央集権的な統治モデルを主張。シリア民主軍は、シリアが1961年から使用してきた公式名称「シリア・アラブ共和国」から「アラブ」という単語を削除し、民族的多様性の強調と、完全な武装解除を拒否する権利の保持を求めている。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:60622 )