大統領府より「テロのないトルコへの移行プロセス法」へヒント
2025年08月24日付 Cumhuriyet 紙
トルコ大統領筆頭顧問メフメト・ウチュム氏が、『テロなきトルコへの移行プロセス法!』と題した論説のなかで、「現状に即しつつも個別・特化型の『移行プロセス法』制定が最適解だ」と述べた。
大統領筆頭顧問メフメト・ウチュム氏が、政権が「テロなきトルコへ」と名付けた新プロセスに関する論説を発表。そのなかで、トルコ大国民議会に設置された「国民連帯・同胞愛・民主主義委員会」が移行プロセス法の展望を確立すべきと述べた。
ウチュム氏は、既存の法律への補追というかたちではなく、移行プロセスに個別化・特化した「移行プロセス法」の制定が最適解だと指摘した。
■大統領府からの「移行プロセス法」に関するメッセージ
メフメト・ウチュム大統領筆頭顧問は、トルコ大国民議会内に設置された「国民連帯・同胞愛・民主主義委員会」が移行プロセス法の展望を確立すべきと述べた。
また、既存の法律への補追というかたちではなく、移行プロセスに個別・特化した「移行プロセス法」の制定が最適解だとした。
■「移行プロセス法案は個別・特化型であるべき」
ウチュム氏は、新規制の導入は個別・特化型の法律によってなされるべきだとし、次のように強調した。
「一般法のなかに特別法を組み込む場合、平等性の問題を含む法的議論が巻き起こる。そのため、現状に即しつつも個別・特化型の「移行プロセス法」を制定することが最適解となる」
ウチュム氏の論説では、制定されるべき新法の具体案が次のように列挙・説明された。
■移行プロセス法案の特徴!
テロなきトルコに向け、社会の団結とともに実質と形式を備えた刑法が導入される際には、移行プロセスの特性に特化した政策方針が展開されるべきである。この考え方に基づいて、法整備政策の構成要素を次のように列挙した。
単一性:(移行プロセスに関する)あらゆる要件を、通常の関連法とは別枠としてひとつの特別法でまとめ、追加規制が必要となった際には特別法のほうに追加するかたちで進める。これは多くの点で適切な法政策である。
一時性:移行プロセスの進行中のみ適用され、プロセス完了をもって失効する一時的な法規制とすべき。
特別性:この法律は特別法とし、解散したテロ組織の地下活動や支援といった要素がある者のみを対象とすべきである。つまり、この規制は明確かつ議論の余地のない形で制定されなければならない。同じ状況にある者には同じ規則が適用されるというのが憲法上の平等原則である。特殊な状況にある者には特殊な規則を適用できる。したがって、解散したテロ組織という特殊状況を考慮した特別法の制定は平等原則に違反しない。
独自性:規制内容は、トルコ独自の紛争解決モデル、つまり「テロなきトルコへ」の目標の特殊性に立脚したものでなければならない。このモデルの主な特徴は、テロに対しては無条件かつ交渉の余地も妥協も許さない終結、民主的統治範囲の拡大、視野の狭いアイデンティティ政治の終結、あらゆる分野で国や社会を基本とした政策が優先されること、そして民主主義の強化である。こうした特徴に立脚した独自手法が法的アプローチの基礎となる。
包括性:この法律には移行プロセスに必要なあらゆる要素が含まれていなければならない。その文脈にあてはめると、社会経済活動への参画・統合化に関する法、刑罰と執行に関する法、ならびに社会全般の法が中心となる。
十分な合意:移行プロセスにとっての最重要要件のひとつは、可能な限り広範かつ十分な社会的・政治的合意を得ることである。この合意に関しては作業部会が意義ある機会を保証しうる。
■移行プロセスの大原則!
移行プロセス関連法の大原則は次の2点に要約できる。
第一に、関連法は憲法に違反しないかたちで制定されねばならない。憲法違反の可能性があるアプローチを強要することは無意味であり、移行プロセスを妨げる。
第二に、移行プロセス関連法の制定には、政府、国家、国民の感情や、倫理的価値観の境界線が基本的なものさしとして考慮されるべきである。
結論:移行プロセス関連法案の基本は、プロセスを正しく完了させるために必要な要項の整備に集約される。
移行プロセスでは、通常の要求や権利ではなく、対象となる個人の移行を担保する、理論的で実践的な法的条件(の整備)がその本質となる。完了後は国民民主主義の強化がなされ、権利・自由を拡大する取り組みが議論され、合意のもとで実行されることになる。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:60695 )