アルジェリア:マリが国際司法裁判所にアルジェリアを提訴するも管轄権をめぐって手続きが凍結
2025年09月19日付 al-Quds al-Arabi 紙


■マリが国際司法裁判所にアルジェリアを提訴するも、手続きは進展せず…アルジェリアは「虚偽の訴え」と強く反発

【ロンドン:本紙】

国際司法裁判所(ICJ)は9月19日、マリがアルジェリアを相手取って提起した無人ドローン撃墜事件に関する訴えについて、アルジェリアが同裁判所の管轄権を受け入れないかぎり手続きを進めることはできないとの見解を示した。

マリは、4月1日の未明に両国の国境砂漠地帯で、アルジェリアがマリ軍所属の無人偵察ドローンを意図的に撃墜したと主張し、「これは国際法に違反する侵略行為だ」として国際司法裁判所に訴えを起こしていた。この問題は両国間の外交危機へと発展している。

裁判所は声明で、「アルジェリアは国連加盟国との紛争に関して国際司法裁判所に自動的な管轄権を付与していないため、マリの訴えはアルジェリア政府に付託した。アルジェリアが管轄権を受け入れるまで、この件に関していかなる手続きも進められない」と明らかにした。

アルジェリアの反応

この発表を受け、アルジェリア外務省は声明を出し、「9月4日にマリ政府が国際司法裁判所に訴えを起こしたとする主張はアルジェリアがすでに否定したものである。ところがマリ当局は16日になって正式に提訴に踏み切った」と指摘した。

また声明は、9月13日にアフマド・アターフ外相が記者会見で「マリの訴えは存在しない」と否定していたと改めて述べた。

外務省はさらに、「マリの軍事政権は国内で法と憲法秩序を踏みにじりながら、国際舞台では法を尊重しているかのように装っている」と痛烈に批判した。さらに「彼らは自国を政治・経済・安全保障の破綻に導いただけでなく、倫理的破産までも引き起こしている」と非難した。

声明はまた、「マリが国際司法裁判所に訴えたのは、自らの責任を回避し、アルジェリアをスケープゴートに仕立てるための試みにすぎない」とし、「あまりに稚拙で信じがたい企てだ。アルジェリアはこのような策謀に加担しない」と断言した。

その上で、「アルジェリアは国際法を高く尊重しており、国際司法裁判所に深い敬意を抱いている。ゆえに同裁判所を虚偽の主張で利用することは許さない」と付け加え、最終的には「適切な時期にICJへ正式に拒否を通告する」と結んだ。

背景と主張の食い違い

報道によれば、マリの暫定政権はすでにアルジェリアを「攻撃行為」で訴えていたとされるが、アターフ外相は「そもそもマリからの提訴は存在しない。もし提訴があれば、ICJから必ず通知が来るはずだ」と述べ、アルジェリア政府は事実確認のためICJに直接照会したが「何も確認されなかった」と説明していた。

マリ側は、撃墜された無人機は北部キダル州のティンザワティン近郊で作戦行動中だったとし、「武装勢力への軍事作戦を妨害することを狙ったアルジェリアの行為だ」と主張している。

一方アルジェリア国防省は、4月1日に「武装した無人機が領空を侵犯したため、ティン・ザウティン付近で撃墜した」と発表していた。

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( 翻訳者:木戸 皓平 )
( 記事ID:60799 )